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世の中の違和感や理不尽な思いを、法律に基づいてより良い方向へ進んでいけるようにサポートしたい

シンママStyle編集部

離婚を考えて、離婚して、初めて弁護士の世話になったという方も少なくないでしょう。弁護士による離婚の無料相談もありますが、30分だけ無料でその後は高い相談料がかかるのではないかとか、相談したら依頼する流れになるのかなとか、経験のない女性なら敷居が高く感じられることもあるかもしれません。

話し合いでは決まらず弁護士に頼むしかないときも、知り合いの伝手を頼るか、ネットで検索するか、費用が不安でまず法テラスに連絡するか悩みますよね。

漠然と「弁護士=高い」というイメージがあって、弁護士の世話にはならずに別れたいと考える方が多いのも現実です。今回お話しを伺った旭合同法律事務所の福島宏美弁護士は、そんなイメージを覆す「法の代弁者」でした。(取材・文/浦邊真理子)

まだまだ女性の少ない業界で奮闘中

―なぜ弁護士を志したのですか。

福島さん:中学2年生のころに、たまたま姉が見ていた『アリー・myラブ』という米ドラマを見て、主人公の女性弁護士が一人の依頼者に寄り添う姿に憧れを抱きました。幼いころから両親に「人の役に立つ人になりなさい」といわれて育ち、まさにこれだと思い、弁護士になりたいと思うようになったのです。

―女性が少ない業界だと思いますが苦労などはありますか。

福島さん:私の所属する旭合同弁護士事務所(所在地:愛知県名古屋市)では、女性は私一人ではありますが、孤立することもなく、先輩弁護士から適切な指導を受け、弁護士としてのスキルを磨きつつ、ときには愚痴も聞いてもらいながら精神面でも支えてもらっています。

しかし、愛知、岐阜、三重の方々からのご相談のなかで「女性弁護士を希望」とのご要望にお応えするのは身ひとつだとなかなか難しいときもありますので、一日でも早く女性弁護士が増えることを願っています。

―ひとり親家庭、離婚を考える方、またその子どもたちへ、弁護士の役割はなんだと考えますか。

福島さん:弁護士は法的な観点から、離婚に関わる問題点を解決していきますが、ときには、感情の面から法的な考えをなかなか受け入れられないケースもあります。相手との交渉事でもあるので、あまり相場以上の話し合いは期待できませんが、代弁者として、依頼者の気持ちにも寄り添いながら交渉していくことで、できるかぎり法律と気持ちの乖離を少なくするように努めています。どこまで弁護士が役に立てるかはケースバイケースですが、事件として一区切りついたときに少しでもスッキリしてもらえるよう、力を尽くしていきたいと思っています。

画像:親しみやすい笑顔と朗らかで優しい応対の福島さん。歴史ある市民派弁護士事務所という評判に納得

子どもやひとり親家庭への支援は高まっている。しかし…

―どのような相談が多いですか。

福島さん:さまざまな相談がありますが、親権、養育費や面会交流など子どもに関する相談や、不貞行為があった場合の相談が多いですね。

―離婚における子どもに関するアドバイスなどはありますか。

福島さん:離婚事件では、お子さんが夫婦間のいさかいに板挟みになっていたり、どちらかの親と一緒に住めないさみしさを抱いていたり、と気になることがあります。ただ、弁護士としては直接お子様と関わる機会はないので、「パパとママは君のことを大切に思っているんだよ。大丈夫だよ。」という言葉をかけられないのが現状です。

法的アドバイスをする立場としても、なるべくお子さんにとって幸せな解決になるようなアドバイスを心掛けています。例えば、「面会交流」の話し合いでは、どんなお子さんなのか、どういうふうに交流すると喜ぶのか、などを具体的にイメージしながら提案させていただいています。夫婦間の葛藤が強いと、なかなか思うような面会交流の実施が難しいですが、夫婦としてではなく、父母としてお子さんのことを考えて、協力しあっていけるようにと願いながらアドバイスをしています。

―養育費についてはいかがでしょうか。

福島さん:養育費については、昨年末に裁判所で新たな算定表が発表され、若干の加算傾向にありました。いい傾向になってきていると感じています。しかし、他にも問題点は山積み。養育費を決めても、払い続けてもらえないという相談が多々あります。養育費の金額決定後も、相手方に支払い続けさせるという法的な仕組みづくりが必要なのではないかと考えています。子どもの生活、未来を支える大事なお金なので、一般的な金銭債権よりも、より重点的に、支払を促せるような仕組みづくりを期待しています。

ADR(裁判外紛争解決手続)という新たな仕組み

―弁護士を立て離婚を成立させることに後ろ向きなイメージがあるのはなぜでしょうか。

福島さん:離婚事件は、当事者に根気を強いることが多い事件です。そのなかでも、離婚調停は調停期日が1月~3カ月に一度しか入らず、長期化してしまうことがよくあります。また、当事者同士だけでは話し合いができないけれど、どちらかに弁護士を立てて話し合おうとすると、それだけでも弁護士費用がかかってしまい、なかなか踏み出せない人もいるのではないでしょうか。

―そのような話はとてもよく耳にします。長引く調停期間に婚姻費用も払われず、自分の貯金を切り崩し、借金などをしてなんとか調停期間を耐えているという話や、弁護士費用が高すぎて支払えず分割で長期間支払いを続けているケースも多くあります。

福島さん:現代にあったさまざまなニーズが求められているなかで、離婚事件を扱う裁判外紛争解決手続(以下ADR)があることを知りました。これを活用できれば、裁判所外でも公平な立場から話を聞いてもらい、その上で必要な話し合いを進めて行けますし、仲裁委員と当事者の都合だけで日程調整ができるので比較的早期に柔軟な解決が望めます。より簡便、より迅速、より柔軟な解決手段として今後普及していくのでは、と思っています。

―先日東京都港区で円満な離婚に向けてADRの助成を決定したことで注目されています。詳しく教えてください。

福島さん:簡単に説明すると、ADRは離婚や男女間の問題に限らず、裁判ではなく、第三者が関与し話合いで問題を解決する仕組みです。特徴としては、同席調停でお互いの言い分をその場で聞ける(前提としてあまり紛争性が高くないものに限られています)。仲裁に入っている弁護士から法的な知識を聞きながら、中立的な解決方法をとることができる利点があります。他にも裁判所だと、1~2カ月に一度しか期日が入れられず、紛争が長期化してしまうのが常ですが、一人の仲裁委員の都合に合せて柔軟に開くことができるので、早期解決が望めるということが最大の利点かもしれません。

―費用はどの程度かかるのでしょうか。

福島さん:ADR弁護士だと事務所などで話を聞き、3回程度の短期で終わることができ、費用も1回1万円程度です。弁護士を立てるより大きく期間も短く費用も安くなります。ただし、地方ではまだまだ離婚事件を扱うADR機関はないため、中部地方でも仲裁制度を利用できるように、ADRの仲裁委員として当弁護士事務所を登録しました。

全ての事案が対象にはなりませんが、より少ない負担で、必要なアドバイスを聞いて、出来る限り早く解決して、お互い新しい未来に進める、という道の選択肢を愛知から多方面へ広げていければいいなと思っています。

より良い方向へ進んでいくように小さな活動をコツコツと

―弁護士の立場から現在のプレシングルマザー、シングルマザー、また離婚後のひとり親家庭を見て、問題点はどのようにお考えですか。

福島さん:まず、離婚する前と後で、行政的なサポート、母子手当などの給付の有無などに違いが出ている点は行政面での問題として気になっています。一部の市町村では、離婚調停が申し立てられていれば、母子あるいは父子家庭として、離婚後の取扱いに準じた扱いをしてくれるところもあるようですが、市町村によって取り扱いがさまざまなことも気になっています。

また、離婚成立時によくある相談として、妻と子が、夫の健康保険の扶養から外れ、妻の会社の社会保険に入る手続をするのに時間がかかり、新しい保険証が届くまで保険証がなく、健康保険が利用できないという相談があります。病院によって取り扱いがさまざまなので、健康保険を利用できるところもあるようですが、小さいお子さんの場合、急病になって病院へ行かなければならないことは多々あるでしょうから、保険証がないという不安のまま過ごすことについて改善していただきたいと思っています。

―どちらも制度によって親子が振り回されてしまっている現状ですね。

福島さん:制度以外でも、ひとり親家庭のなかでは、貧困の問題や親子関係が希薄になりやすいなどの問題点も感じています。働きながら子どもを育てて行かなければならないことで、子どもと接する時間が限られてしまうことはなかなか難しい問題です。地域の中で孤立しない、孤立させないような仕組みや雰囲気づくりが大事だと感じています。

―今後の夢をお聞かせください。

福島さん:現在の活動を続けながら、ADRの普及、より良い社会への活動を続けていきたいと思います。趣味で動物などのイラストを描くのが好きなので、将来的には夫婦間の紛争の板挟みになっているお子さん向けた絵本を製作したいという夢があります。

【プロフィール】

旭合同弁護士事務所 福島宏美弁護士

昭和61年10月21日生まれ。

広島県広島市出身。広島修道大学法学部卒業、同大学法科大学院卒業。

2014年司法試験合格。2015年弁護士登録。旭合同法律事務所に入所。

趣味は絵(イラスト)を描くこと

・養育費や面会交流に関する説明会や、よく寄せられる相談や経験なをもとにコラムを掲載中。https://asahigodo.jp/divorce/

・面会交流の第三者機関に弁護士側からのアドバイス、サポートを行っています。

http://www.wb.commufa.jp/fvsnet/

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