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シングルマザーが抱える“仕事”の問題を解決する大きな道筋に 子どものそばで働ける「ママスクエア」

シングルマザーだからこそ働いて収入を得なければならないのに、「働く場所がない」「子どもを預ける場所がない」といった問題が浮上します。この問題を大きく解決に導くのが、「ママスクエア」です。「ママスクエア」は、子どもをキッズスペースで遊ばせながら、お母さんはワーキングスペースで仕事に集中することができるという新しいモデルの施設です。株式会社 ママスクエア代表取締役の藤代聡さんに「ママスクエア」の仕組みや魅力を伺いました。(取材・文/編集部)

 

【藤代 聡(ふじしろ さとし)さん 株式会社ママスクエア 代表取締役
1966年東京都生まれ。1989年に株式会社リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)入社。多くの企業と接点を持つなかで、成長する企業の3つの条件を見出す。1つめが「現金商売であること」、2つめが「女性が活躍しているか、あるいは女性対象のサービスを提供していること」、3つめが「世の中から必要とされている会社であること」。2003年に同社を退職し、2004年に3つの条件を満たした親子カフェ「スキップキッズ」を創業。さらに、2014年12月にお母さんたちの新しいワーキングスタイルを提案する株式会社ママスクエアを設立。https://mamasquare.co.jp/

 

“保育園でもない在宅でもない”。ママの新しい働き方

 

―「ママスクエア」は、“ママが子どものそばで働ける 保育園でもない、在宅でもない新しいワーキングスタイル”というキャッチコピーがついていますが、具体的にはどういった仕組みになっているのでしょうか。

藤代さん 「ママスクエア」には、キッズスペースとワーキングスペースが併設されています。キッズスペースはお子さんの遊び場、ワーキングスペースはお母さんの職場です。そのため、お母さんはお子さんの様子を確認しながら、安心して仕事ができるスタイルになっています。

―キッズスペースは、保育園や託児所とは違うのですか。

藤代さん 「ママスクエア」は、お子さんを“預ける”のではなく、お母さんとお子さんが同じ場所にいることになります。そのため、保育園や託児所などの施設には当てはまりません。分かりやすくいえば、カーディーラーのショールームなどにある子どもの遊び場と同じ扱いになるのです。

―保育士さんなどはいらっしゃるのですか。

藤代さん もちろんです。お母さんは仕事をしているわけですから、保育士や保育補助を配属してお子さんが安全に遊べるように様子を見ています。

―保育士や保育補助は何人くらいいらっしゃるのでしょうか。

藤代さん 認可外保育園の基準を満たした人数を配置しています。だいたい子ども4~5人に1人といったところです。

 

さまざまな企業からさまざまな仕事を「ママスクエア」が受注

 

―ワーキングスペースではどのような仕事をしているのでしょうか。

藤代さん さまざまな企業からさまざまな仕事を受注して、お母さん方に仕事をしていただいています。たとえば、聖蹟桜ヶ丘店やララガーデン川口店では、人材紹介会社の電話営業を行っています。ビビット南船橋店では、テレビショッピングの電話注文受付をしています。一ヵ所のワーキングスペースで全員が同じ仕事をしているケースもあれば、複数の仕事を受けているケースもあります。

―お母さん方を雇用するのは「ママスクエア」ということになりますか。

藤代さん はい。弊社が各企業から受注した仕事を、弊社が雇用したお母さん方にやってもらうという仕組みです。

―現在、「ママスクエア」は何店舗あり、スタッフは何人くらいいらっしゃるのですか。

藤代さん 全国に37拠点あります。本部で働くスタッフが約30人、各拠点で働くパートやアルバイトの方は約800人います。そのうち約95%が主婦です。

―実際に仕事をしているお母さん方はどのようにおっしゃっていますか。

藤代さん 「『ママスクエア』のモデルがなかったら、仕事を始めることはできなかった」という声が多く、とても喜ばれています。仕事を見つけることも大変ですし、保育園にもなかなか預けられないといった問題もありますからね。

―お子さんが何歳になるまで働けるのですか。

藤代さん 基本的に1~6歳までのお子さんを持つお母さんを対象としています。お子さんが6歳を過ぎたらお母さんは卒業として、派遣の仕事を紹介することも可能です。しかし、お子さんが大きくなっても働き続けている方もいらっしゃいます。それだけ働きやすく居心地がいいのだと思います。しかし、「ママスクエア」の本来の目的は、「ママが子どものそばで働ける」こと。お子さんが大きくなったお母さんがキャリアアップできるよう、次のモデルも考えていかなくてはならないと思っています。

 


【子どものそばで働けることを当たり前の世の中にするのが藤代さんの使命だ】

 

子どものそばで働けることが当たり前の世の中に

 

―ここから、藤代さんが「ママスクエア」を立ち上げた経緯を教えていただきたいと思います。きっかけはなんだったのでしょうか。

藤代さん 私の子どもたちが小さいとき、妻が子育てしながらカリカリしていることがありました。そんなとき、子どもたちも「お母さんは機嫌が悪いな」と萎縮していました。そこで、「買い物でも行ってくれば」と妻を外出させてみるんです。すると、買い物をしたり映画を見たりした妻は、ストレスが発散されており、家の中のオーラが明るくなるんです。こういった経験をして、子どもたちを健全に育てるためには、お母さん自身が心身ともに健全であることが必要だと思いました。そこで、まず立ち上げたのが「ママスクエア」の前身となる「親子カフェ」でした。

―「親子カフェ」はどういったお店だったのですか。

藤代さん 子どもの遊び場とカフェが併設されているだけなんです。カフェを利用してもらうことが目的ではなく、24時間365日休みなく子育てをするお母さんたちのストレス発散の場になればいいと思っていました。というのも、たとえばボールプールといった遊び場所がありますが、そこで子どもを遊ばせることはできても、お母さんたちが休む場所がありません。子どもが遊んでいる横でコーヒーも飲めないんです。もしも、そこにテーブルがあって、椅子があって、コーヒーが飲めれば、お母さんのストレスをためることなく、子どもが飽きるまで遊ばせてあげることができるのになとも思っていました。この思いを形にしたのが「親子カフェ」です。

―その「親子カフェ」でママスタッフも雇用していたそうですね。

藤代さん はい。20店舗ほど出店して、2000人くらいのお母さんの面接もしました。そのなかで気がついたことが、いかにお母さんの働く場所が少ないかということでした。子どもがいるというだけで、面接すらさせてもらえない経験を何度もしたお母さんが多くいて、「親子カフェ」に面接に来られただけで、うれしくて泣いてしまう方もいらっしゃるほどでした。この経験が、「ママスクエア」の道筋になりました。さらに、採用したスタッフのなかでシングルマザーになっていくお母さんが少なくないことにも気がつきました

―つまり、「親子カフェ」の「カフェ」の部分を「ワーキングスペース」としたのが、「ママスクエア」というわけですね。

藤代さん その通りです。そうすることで、シングルマザーの方も働けるのではないかと考え、4年前に設立しました。リクルートさんの協力もあり、またシングルマザーの雇用を求めている企業も多く、設立から4年ですがかなり順調に進んでいます。さらに、物流センターに設置したり、ビルのテナントに入ったり、キッズスペースだけを運営していたり、「ママスクエア」がカスタマイズされたさまざまなモデルも誕生しています。

―仕事や収入の問題を抱えているシングルマザーはまだまだ多くいると思います。今後、シングルマザーと「ママスクエア」はどのように変化していくでしょうか。

藤代さん これまで「ママスクエア」のような事業はほとんどありませんでした。お母さんが働こうと思ったら、子どもを保育園や幼稚園、あるいは親族に預けなければなりませんでした。その選択肢のなかに、「ママスクエア」のようなモデルが加わってほしいと思っています。そのためにも、拠点を増やしていくことが重要で、本年度には100ヵ所くらいの「ママスクエア」を設置していきたいと考えています。将来は、子どものそばで働けることが当たり前の世の中になればいいと願っています。