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会って話して聞くこと~ベーシックで地道な支援を行う 神戸市ひとり親家庭支援センターの取り組み~

取材に伺った神戸市立総合福祉センターの3階。ひとり親家庭支援センターの事務室に足を踏み入れると、ひとりの女性が電話で相談を受けているようだった。その丁寧な受け応えは優しさに溢れ、まったく事務的ではない。何だろう、この安心する感じは…。

その疑問を解き明かすべく、お話を伺いました。(取材・文 浦邊真理子)

 

【神戸市ひとり親支援センター 野元所長】

 

人と人、ひとりひとりに向き合う支援

 

―神戸市ひとり親家庭支援センターの活動内容を教えてください。

野元さん 神戸市ひとり親家庭支援センターは、神戸市より委託を受け「神戸市母子福祉たちばな会」が指定管理者として運営を行っています。神戸市母子福祉たちばな会は昭和27年3月に設立と歴史は長く、ひとり親家庭・寡婦の福祉向上のための活動を続けています。

ひとり親家庭には経済的な問題をはじめ、育児、健康、精神面、又子どもをとりまく環境の変化等、多くの課題があります。神戸市に在住のひとり親家庭やその子ども、これから離婚を考えている方を対象に、自立したより豊かな暮らしを送るための就業相談、法律相談、ふれあい事業、日常生活支援、学習支援教室を5本柱として、行っています。

―学習支援を行う自治体や支援団体が増えて来ていますね。どのような学習支援をされているのでしょうか。

野元さん 現在は週に1度、90分間、こちらのセンターで小学校4年生から中学3年生を対象に行っています。ひとり親家庭の低学力化は無視できない問題です。基礎的学力をつける、学習習慣をつけることをモットーとしています。塾に通うことが経済的に難しいひとり親家庭だけでなく、家庭環境により心に傷を受けている、小学校に通うことができない子どもや、ひとりの時間が多くなる子ども、様々な子どもの「居場所作り」の側面も兼ね備えています。

お迎えに来ていただいたときに、保護者とコミュニケーションを取ることも大切にしています。講師は学生や、リタイヤ後の元教職員の方などざまざまです。志願していただき、現在10名のボランティアの方が志高く頑張ってくれています。

子供のころに通っていた方が、社会人になり「恩返しに」とボランティアで戻って来てくれることもあります。

―素晴らしい取り組みだと思います。応募が殺到しているのではありませんか。

野元さん 学習塾とは違い、勉強以外の個々のケアも必要ですので、現在は2名につき1人の先生で指導しております。キャンセル待ちも多く、残念ながら、現在新規受付を行えていません。今後このような支援が広がる社会になって行くと思っています。

 

「キラッ」と目の輝く瞬間を見逃さない


―個別就業相談会をとても頻繁に開催されていますね。

相神さん 神戸市8区役所やハローワークでも月1度、 支援センターでは月によって2~4回、平均して月に11〜12回開催しています。

―3日に1度以上の頻度ですね。

相神さん 働いて自立した生活を営むということは、離婚後安定し幸せに暮らしていけるかどうかを決める最重要な部分なのでとても力を入れています。シングルマザーの経験があるキャリアアドバイザーがマンツーマンでお話を聞くことから始めます。就業相談といっても 仕事を紹介するだけではありません。

仕事を探されている、転職や就職のみの話でしたらハローワークに相談されても良いのですが、私たちの就業相談では、まだ働いていない方、これから離婚するけれど何から始めれば良いのか分からない、ブランクがある、子供が小さい、心身傷つき働くことができない、一人一人が全く異なった様々な悩みを抱えています。ですから、まずお話しを聞き、働くための心の元気、社会に出る力をつける、その方の強み、可能性、適している仕事を探っていきます。

―今まで働いていなかった、ブランクのある方にとって、子供を抱えて、一人で社会に出ることは怖いという思いがあります。

相神さん 働けない、適職がないと思っている方も、お話を聞いて、様々な提案をする中で、ご自身の気持ちが整理され持っている能力に気付き目がキラッと輝く瞬間があります。どんな方にも、これまで歩んできたキャリアや強みがあります。

「そう。 そんな仕事がしてみたかった」「やりたい事かも…」と前向きになる事が大切だと思います。そのような場合は私たちからハローワークにお繋ぎし、状況、背景を共有するフォロー体制を組んで、ご本人の就職に向けて動きだします。

「一番悩んだ時に、話を聞いてもらえアドバイスしてもらえてよかった!」「あの時、相談して勇気をもらい資格取得をして無事に就職が決まりました。」などの報告を受けるときが、相談員としてとてもうれしい瞬間です。


【アロマテラピー講座を担当する相神氏】

初心者向けマンツーマンのパソコン講座や資格取得支援講座を開催

 

―サポートは他にも何がありますか。

相神さん ただでさえ困難な状況にあるひとり親家庭にとって、就職時にパソコンスキルや資格は大きな武器になり、必要不可欠と言えます。

ひとり親家庭の親子を対象に、より良い就業ができるよう、就職に結びつく可能性の高い技能や資格を取得するための講座を受講料無料、託児付きで開催しています。

※平成30年12月25日まで。現在申し込み受付中
詳細はhttps://ssl.hp4u.jp/kobe-shugyoshien/site:kobe-hitorioyashien

初心者向けマンツーマンパソコン講座では、これからの就職に必須スキルであるパソコンスキルを身につけていただく講座です。マンツーマンなので苦手な所、必要なスキルがよく分かり、この講座を受けて就職する事ができたという声も多い人気の講座です。

 

公正証書の作成の仕方を手伝う弁護士相談や心のケア

 

―共同親権、養育費が多く取り上げられるようになって来ました。

野元さん 私たちのセンターでは弁護士相談会を月に4回開催しています。費用が心配な弁護士相談ですが、無料で何度でも利用できます。担当する弁護士も30年来相談を担当してくださる女性弁護士で、いつ行っても同じ方に相談できます。相談しにくい内容でも、離婚問題専門のベテラン先生なので、どんなケースでも相談できる安心感があります。養育費のための公正証書の作成の仕方を助けてくださいます。

―公正証書の作成依頼は大切ですので、有難い支援ですね。

相神さん 他にも月1度イベントを開催しています。ひとり親家庭の悩みや就活を応援するセミナー、親子旅行、心のケアや、リラックスするためのアロマ講座や親子料理教室など、バラエティー豊かな講座を開催しています。

―是非たくさんの方に利用していただきたいですね。これからはどのような活動を進めるご予定ですか。

相神さん 時代に左右されない、今までの支援を変わらずに続けていくことと、時代の変化に沿った方法で情報を届けること、両方が必要だと考えています。

現在は情報収集をインターネット、スマートフォンでされる方が中心なので、フェイスブックでの発信やできるだけ最新の情報をWebでお知らせするようにしています。また、今年はキャラクターを作り、リーフレットやセミナーチラシに活用するなどしてより親しみやすいセンターを目指しています。支援を必要としている人に、ちゃんと届けたい。

野元さん 私たちは、こちらで支援を受けて、自立した生活を送る利用者の声に励まされています。これからも一人でも多くの方のお手伝いをしていきたいと思っています。

 

お話を伺ったのは…

神戸市ひとり親家庭支援センター 所長 野元恵子氏

神戸市ひとり親家庭支援センター 広報担当・就業相談員 相神ゆり氏

問い合わせ先
ホームページ http://kobe-hitorioyashien.com

〒650-0016 神戸市中央区橘通3丁目4-1
電話(078)341-4532

神戸市ひとり親福祉センター Facebookページ