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教育費ってどうやって捻出すればいいの? 「20年表」でおカネが必要な時期を把握することから始めましょう

シングルマザーとして子どもを育てていく過程には、大変なことがたくさんあります。なかでも、おカネの問題はシビアです。子どもが大きくなればなるほど、生活費だけでなく教育費もかさんでいきます。しかし、きちんと計画を立てておくことでクリアできる問題も増えるのです。今回は、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントなどとしても活躍するしんぐるまざあず・ふぉーらむ理事の丸山裕代さんに、“おカネ”にまつわる具体的なお話を伺いました。(取材・文/編集部)


【NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事 丸山裕代(まるやまひろよ)さん「お金の管理は“20年表”で把握することが大事」】

一般家庭よりも重圧がかかる“教育費”

 

―“おカネ”の問題を抱えるシングルマザーは多いと思います。なかでもどのような費用が大きな問題になっているのでしょうか。

丸山さん やはり、教育費です。人生の3大費用として一般的に挙げられているのが、教育費、住宅費、そして老後の費用です。この3つは額も大きく、準備に時間も要するためです。シングルマザーにとってもこの3大費用はまったく同じなのですが、一般のご家庭よりも重圧がかかってくるのが、教育費なのです。

―教育費はどの時期から負担が大きくなっていくのでしょうか。

丸山さん 中学校に入るとだんだんと必要になるおカネが増えてきて、高校になると出費はかなりかさみます。さらに、大学進学となると入学時に100万円以上のおカネが1度に必要になってきます。このおカネをどうやって組み立てていけばいいのかという点が大きな悩みの種になります。

―大学に入学できても、卒業するまでの間にかなりの学費が必要となりますよね。

丸山さん もちろんです。以前に受けた相談で、お子さんを大学に入学させることはできたのに、学費が払えなくて2年生に進学できなかったというケースがありました。相談に来られたときには、すでに大学への支払期限が過ぎていて、このお子さんは退学を余儀なくされました。支払期限までに相談に来ていただければ、行政からの支援を受ける方法など、なにかしら手を打つことはできたと思います。また、必要な学費は予想できるわけですから、どのようにして用意しておくのかをあらかじめ考えておかなければなりませんでしたね。

 

将来必要なおカネを把握して、収入アップや貯金の方法を考える

 

―それでは、実際にどうすればよいのでしょうか。

丸山さん 私は「20年表」を作成することをすすめています。まず、自分の年齢とお子さんの年齢を20年先まで書きます。そして、小学校入学・卒業、中学校入学・卒業などのイベントを記入します。そのイベントの下に、必要になるおカネを記入していくだけです。こういったイベント時にどのくらいのおカネが必要になるかは、インターネットなどで検索するといろいろな情報を見られます。参考にするとよいでしょう。この「20年表」は、いわゆるおカネの「見える化」です。これをするだけで、いつ、どれだけのおカネが必要になって、いくら貯金しなければならないかがはっきりしてくるのです。

―それが分かったら、そのおカネを貯めるための行動に移していけばいいというわけですね。しかし、シングルマザーたちは、子育てと仕事の両立がなかなか難しく、おカネを貯めることも大変のようです。

丸山さん お子さんが小さければ、保育園のときがキャリアを積むベースを作りやすい時期だと私は考えています。延長保育で遅くまで預かってくれる保育園も多いですし、行政の支援制度やサービスもいくつか整っています。だからこそ、そういった時期に今後長く続けられる仕事、キャリアを積める仕事を見つけておくといいと思います。

―お子さんがすでに中学生くらいの場合はどうでしょうか。

丸山さん 少し大きくなれば大きくなったで、お子さんが帰宅したときに必ずお母さんが家にいなければならないということもありませんよね。多少の残業があっても収入を上げて貯金を増やすことを考えていいと思います。そうはいっても仕事の時間を増やすことが厳しいようであれば、公的職業訓練でスキルアップをめざしたり、資格を取得したり、将来の収入アップにつながることをしておくだけでもいいのではないでしょうか。

―貯金の方法としてなにかいいアイデアはありますか。

丸山さん 貯金もお子さんが保育園のときが貯め時なんです。教育費が一番かからない時期ですからね。そこから小学校卒業までは貯金を心掛けることが大切です。また、毎月の固定費をきちんと把握しておきましょう。家計簿をつけられればいいのでしょうが、それもなかなか面倒な作業です。そのため、家賃、食費、教育費など必要な固定費を給料日に仕分けして、それぞれ袋に分けて入れておき、それぞれの必要な出費はそこからしか出さないようにするだけでも、無駄な出費を抑えることができます。またお子さんが小さければ学資保険は死亡保障があるのでメリットは大きいですね。

―児童扶養手当や児童手当などを上手にやりくりするにはどうすればよいでしょうか。

丸山さん 児童扶養手当は4カ月に1回まとめて支給されますよね。そのため、ボーナスが入ったような感覚になって、すぐに使ってしまう方も多いようです。たとえば、児童扶養手当を生活費とは別の銀行口座に入金してもらうようにして、手をつけない。まるまる貯金と考えるのです。児童扶養手当を生活費に充てなければならない状況であれば、せめて額が小さい児童手当を貯金に回すようにしてもいいと思います。たとえば児童手当は1人1万円で1年で12万、10年で120万となり、大学1年分の学費になります。

―住宅費が負担となっているシングルマザーも多いと思います。

丸山さん たしかにそうなんです。そこで、お子さんが小さいうちから、公営住宅に応募することをおすすめします。ひとり親はポイント式での応募が可能ですので、すぐには入居できなくても、継続して応募していれば、いずれは入居できるときがきます。たとえば、小学校のときには入居できなくても、教育費が増える中学校や高校のときに入居できれば、削れた住宅費がかなりプラスに働くと思います。私も子どもが小さいころから公営住宅に応募し、入居できたのは8年後で、子どもが中学校に入るときでした。しかし、これからおカネが必要になることが分かっていたため、住宅費の差額で浮いた5万円余りを貯金に回すことができました。

 

教育費の支援を受けるときは、お子さんとの話し合いも必要

 

―高校や大学の入学時、それでもおカネが足りないというときにはなにか手立てはあるのでしょうか。

丸山さん 各自治体で、無利子の母子父子福祉資金の貸付制度があります。しかし審査もあり、支給されるまでに少し時間がかかりますので、必要となる2~3ヵ月前には相談に行きましょう。また、返済に関しては基本的に20年返済となっており、返済方法の相談にも応じてくれます。ただ原則的には保証人が必要になるため、この福祉資金が難しい場合は社会福祉協議会の教育資金貸付もあります。大学の学費として、学生支援機構の奨学金を借りる方法もありますが、奨学金は入学してから支給されるものです。そのため、入学金など事前に必要な場合は福祉資金の貸付制度で、入学後は奨学金を利用できるとスムーズかもしれません。

―行政の支援がさまざまあるとはいえ、返済するときになって悩む親子もいるようです。

丸山さん そうですね。ですから、お子さんが高校生くらいになったら、学費の話はきちんと話しておくべきだと思います。お子さんに内緒で奨学金を借りてしまい、返済が苦しくなったときに社会人になったお子さんに相談したというシングルマザーの方がいました。お子さんは「自分の家にはおカネがあると思っていたからショックだった」と話していました。シングルマザーで、おカネが潤沢にないのであれば、やはり進学と学費についてはきちんとお子さんと話すことが大切です。

―行政の支援制度も含め、シングルマザーのための情報も多くあります。情報を入手する際の注意点はありますか。

丸山さん 今はインターネットを見ればさまざまな情報を見ることができますが、やはり正しい情報を取捨選択することが大切です。そのためには、行政やしんぐるまざあず・ふぉーらむのような団体のホームページを参考にしていただきたいと思います。もちろん、個人のブログなどに参考になる情報も多くありますが、ときに主観的で偏った情報となっている場合があることも頭に入れておきましょう。また、しんぐるまざあず・ふぉーらむでは、子どもの教育にかかる費用や奨学金制度などの情報を掲載した『教育費サポートブック』を出版していますので、ぜひ参考にしてみてはどうでしょうか。

→→次回は、将来の計画を立ててもやっぱり不安なことがたくさん……、そんなシングルマザーのメンタルがアップするお話をお送りします。

 

 Profile

丸山 裕代(まるやま ひろよ)さん
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事
産業カウンセラー/キャリアコンサルタント/GCDFキャリアカウンセラー/社会福祉士

子どもが3歳のときにシングルマザーになり、現在はステップファミリーとして生活している。これまでに携わった仕事は20種類以上で、パート、アルバイト、派遣社員、正社員などすべての雇用形態経験。こういった経験を生かして、現在は公的機関の相談員や企業のキャリカウンセラーなどを行う。