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「シングルマザーにとって住居探しの大変さとその現状 〜シングルマザーシェハウスを運営して気づいたこと」

西日本で第一号となるシングルマザー専用シェアハウス「モンプラース」を2015年より運営する菊竹貴史氏。その取り組みはマスメディアでも度々取り上げられた。菊竹氏が運営する中で気づき、芽生えた想いを伺った。

―菊竹さんが、シングルマザー専用のシェアハウスを運営するに至った経緯を教えてください。

菊竹さん きっかけは3・11の震災です。不動産業界に従事し、シェアハウス運営に携わっていたのですが、その時に東日本大震災が発生、ボランティアに行くことも出来ず何か自分にできることがないかと思い、被災者の受け入れをしようと思い立ちました。

ホームページに「震災被災者受け入れます」と掲げたところ、問い合わせがありました。家族で被災し、父親は仕事などで遠方に避難することはできないが、母親と子供を安全な関西に避難させたいということでした。

しかし知り合いもいない、ホテルは高い、受け入れてくれるところがなく、困っておられました。

実際に母子がシェアハウスに入居し、数ヵ月暮らす中で、子供達が入居者とふれあい、母親が買い物に出ていない時なども共有スペースで遊んでもらっていたり、従来の入居者も母子を受け入れ、喜んでいて、これはとても良い環境だと感じました。

そのことがベースにあったうえで、首都圏でシングルマザー専用シェアハウスの運営に携わっておられる秋山氏(秋山 怜史氏 マザーポートの発起人。一級建築士事務所 秋山立花代表。社会的な問題を、建築設計の力と、異業種とのコラボレーションによって解決するために様々な活動を行い、シングルマザーの為のシェアハウス活動にも尽力されている。)の講演を聞く機会があり、高い志で全国区に広めたい想いがありました。しかし、西日本にはまだシングルマザー用のシェアハウスが無いと知り、「では私がしよう!」と思ってスタートしました。

―素晴らしい取り組みですね。メディアにもたくさん取り上げられていますが、問い合わせが殺到したのではありませんか?

菊竹さん それが始めたものの半年間は問い合わせゼロでした(笑)。情報が届かなかったんですね。そこでひとり親家庭の支援をされているNPO法人などに働きかけ、物件にきてもらって、実際に足りないところ、アドバイス等をいただき、認知活動もしていただいて入居者が集まるようになりました。

シングルマザーは忙しくて情報が届かない

 

―メディアでも取り上げられると大人気ではないですか?

菊竹さん テレビに出ると数日は問い合わせがあるのですが、一番知ってもらいたい情報をシングルマザーの方々はなかなかキャッチできないと感じました。皆さん育児、勤務で寝る間も削って頑張っている。市政に出向く暇も、友達と会って情報交換、テレビや雑誌を読んで情報収拾する時間もない。携帯電話やパソコンも主要なニュースを見るくらいのチェックで精一杯な状況なのです。そのような中で大阪の小さなシェアハウスのことを知ってもらうのは難しいですね。

―そうですよね、私たちもそのために「ここを見ていれば必要な、お得な情報が入手できる」サイトを目指しています。シェアハウスの運営は如何ですか?

菊竹さん 実はいまは他の必要性を感じているのです。

―え?どういうことでしょうか。

シングルマザーシェハウスを運営して気づいた、シングルマザーにとって住居探しの大変さとその現状

 

菊竹さん シングルマザーの方はまず「住所」が欲しいのだという事に気が付きました。離婚をしてまず、新生活をするために、働くために、子供の保育園のために、支援を受けるために「住所」が必要なのです。

シェアハウスに問い合わせいただくシングルマザーの多くが、未就園児の小さな子供がいてフルタイムで働けないという方が多い。働けないので収入がない。保育園に預け働くにも住所がない、国から手当をもらうのも「別居」が条件で、何より「住所」が必要なのです。

フルタイムで働けるようになると、収入も増え、自ら家を借りることもできるようになります。しかし、まだ働いていない、または収入が低い、保証人がいないので普通に家が借りられない。なので、シェアハウスしか「選択肢がない」というのが現状なのです。

シェアハウスといえば初期費用が安く済ませられる、身分保証がいらないから手早く簡単に住むことができることが人気ですが、「コミュニティ」が付加価値として注目され広がっています。

現在では若者、学生もテレビ番組の影響もあって家を選ぶ際の選択肢の一つとして定着してきています。

「コミュニティ」が細分化されてきて、同じ悩みを持つシングルマザー、子供たちの交流などを「売り」として「シングルマザー専用シェハウス」も注目されました。孤独になりやすいシングルマザーを、同じ境遇で助け合い、寂しさを少しでも緩和できる素晴らしい方法と思ったのですが、しかし、実際の暮らしは働くのに忙しすぎてお互い顔を合わせることも、子供も朝から夕方、夜まで保育園に行ってしまうので会うことも少ない。3歳以下だと子供だけで遊ぶこともなく、勿論他人ですから共同生活が合わないことも多々あります。

シングルマザー専用シェアハウスと言っても、「コミュニティ」「コミュニケーション」を求めて入居しているのではない場合が多いのですから、温度差があります。

―実際の入居者や問い合わせはどのような方が多いのですか?

菊竹さん 離婚をして地方から出てくる人が多いですね。別れた夫との暮らしのために地方にいたが住む必要がなくなった、子供を育てて行くのに働くには都会に行かなくてはと大阪に出てこられるパターンが多いです。

―確かに…。そうするとまず住居ですね。

菊竹さん シェアハウスといえば初期費用がかからず、保証人もいらない場合が多い、でも家賃と共益費を合わせると、費用的には普通にマンションを借りたりできそうです。

―そうですね。一人暮らしにかかる費用とほぼ変わらないですね。

菊竹さん しかしシングルマザーには選択肢がないのです。子供が大きくなってきたら、シェアハウスのワンルームでは難しい、子供が二人ならベッド一つでは難しいなど、長期入居は難しいのがわかっての前提で入居されてきます。

しかし職場、学校など地域も限られてきますし、シェアハウスが良いとは限らないですね。他の人と同じようにシェアハウスも普通の住居も両方から選べる環境を整えて行くべきだと思うようになりました。

―しかし、シングルマザーは普通にはなかなかお部屋が借りにくいのが現状で、不動産会社さんでは門前払いの場合もあります。

菊竹さん 昨今、供給過多で空き家問題が社会問題になっているような中で、空室がたくさん世にはあるのに、何故そのお部屋が貸せないのかと思いますね。

―何故広まらないのでしょうか?

菊竹さん リスクを考えすぎるのではないでしょうか。空室にしているよりは貸してみたらいいのに、大家さんや不動産業者が「賃料未払い」を懸念して貸し出さないのが第一の原因です。

―実際そんなにトラブルが起きますか?

菊竹さん シェアハウスを運営してわかったのですが、「住居弱者」と呼ばれる入居者は「ちゃんと」していると感じています。不払い率は0%です。皆さんきちんと支払ってくれるし行儀も良い。

例えば外国人も入居されています。「ルールが悪い、うるさい、ゴミ出しを守らない」など悪い噂もありますが「知らない」だけなんです。教えてあげたら素直に従ってくれますし、銀行口座がなく自動引き落としできない場合は集金に行くようにしています。

そうすると話します、現状もわかる、入居者も相談してきてくれる、そうなるとまず不払いや夜逃げはありません。

その方々には生活や仕事もあります。やっと見つけた家、仕事、生活のために早々に退去するわけにいかないし、次の住まいを探すことは費用面もそれ以外も大変なので絶対避けたいのです。何とか長く住み続けたいと思っているので、ちゃんとしてくれます。

○○だから入居お断りでなく、どうお付き合いをするか、関わるかでリスクは回避できると思っています。大家さんや管理会社がどう対応するかです。目の見える付き合いをすれば「夜逃げする」ようなことはありません。シングルマザーの場合も一緒ではないでしょうか。

ただ今、本業もありシングルマザーの賃貸募集のために私一人で家を探し、内見から全てを網羅するのは難しいのでどうしたら良いのか考えあぐねています。シングルマザー向けシェアハウスがなかなか増えないのは、薄利だからですね。非営利団体の協力がなくしては実現できないのではないかと思います。

たくさんの空室を持っている不動産会社のお部屋をNPO法人が内見や契約をする方法や、大家さんが直接賃貸募集をしているウチコミ!などの直接取引のできる方法で、大家さんが自らシングルマザーに貸すように変えて行くか、大きな力が必要だと思います。

なんとかこの空室ばかりになりつつある状況を、増えるシングル家庭のために使えるようにしたい、一人でも母親と子供が幸せになるようなシングルマザー(ひとり親)の住生活に良い形で結び付けられないかと考えています。

 Profile

菊竹 貴史さん
株式会社アドミリ代表取締役

不動産業界に長く従事し2008年からシェアハウス事業に取り組む。2014年法人化、現在大阪市内を中心に現在200部屋以上のシェアハウスを運営している。
シェアハウスの企画管理運営を行い、その取り組みは様々なメディアでも取り上げられている。

問い合わせ先
0120-108-138
http://sh-monplace.com

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