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NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 就労支援やセミナー参加で明るく自立したシングルマザーに

シングルマザーに対してさまざまな支援事業を行うNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ。事業内容は、シングルマザーが子どもを育てながら、生活をしていくために役立つものばかりです。なかでも、就職に直接つながる可能性が広がるキャリア支援プログラム「未来の扉」は、シングルマザーにとって興味深い事業だと思います。今回は、「未来の扉」をはじめとしたさまざまな支援事業について、理事長の赤石千衣子さんに伺います。(聞き手/シンママStyle編集部 文/財部 寛子)

 

ビジネスの基礎から学べるキャリア支援プログラム

 

―しんぐるまざあず・ふぉーらむのキャリア支援プログラム「未来の扉」について、詳しく教えてください。

赤石さん 日本のひとり親家庭の50.8%が相対的に貧困であるといわれています。貧困家庭に対して、お子さんに直接支援をすることももちろんあります。しかし、やはり親が働くということを応援することが貧困の解決策になると考えています。そこで、世界最大の仏化粧品会社ロレアルグループの日本法人である日本ロレアルと提携して2016年に「未来の扉」がスタートしました。

前回もお話ししましたが、5ヵ月間のプログラムを受けた後に、日本ロレアルの美容部員、人材派遣会社アデコのプロジェクトリーダー、あるいは派遣社員でオフィスワーカーなどになるための面接のチャンスを提供しています。

―5ヵ月間のプログラムには、どのようなコースがあるのですか。

赤石さん ビジネスに必要なスキルや身だしなみを学ぶ「共通講座」、日本ロレアルの高級化粧品ブランドで働く美容部員を目指す「美容部員コース」、そしてアデコの社員として、アデコの受託案件先のプロジェクトリーダー、またはオペレータースタッフとしてオフィスワークでの就労を目指す「オフィスワークコース」があります。

―具体的にはどのようなことを学ぶのですか。

赤石さん 「共通講座」では、コミュニケーション講座、ビジネス文書作成講座、スキンケアやヘアメイクなどの身だしなみ講座、パソコン講習、履歴書の書き方、面接練習など、ビジネスに必要な基本的な内容を学べます。

「オフィスワークコース」になると、チームで仕事をするとは、仕事で成長するためには、信頼関係の重要性とは、といったよりレベルアップしたスキルを身につけられます。
「美容部員コース」では、美容部員の役割や立ち居振る舞い、接客ロールプレイングなど、実践に近いことを学んでいます。

お仕事をしながら受講できるよう、プログラムは月に2回、日曜日の午前午後に実施しており、受講中にお子さんを預けられるように託児付きになっています。費用はテキスト代の5000円のみで、受講料は無料です。キャリアカウンセリングも受けられます。

―受講者のうち、どのくらいの方が新しくお仕事に就かれていますか。

赤石さん 現在、第4期まで終了しています。たとえば第2期の場合、美容部員希望者の50%、オフィスワーク希望者の67%が就職しています。これは、日本ロレアルとアデコに就職した数ですので、そのほかの企業に転職あるいは同じところで働いている方たちもかなりの方が給料が上がり、いい結果が得られているといえます。

―受講したみなさんの様子はどのような感じですか。

赤石さん みなさん、満足度は非常に高く、とても明るく、ポジティブになります。本人が変化することによって、子どもたちもやる気が出て前向きになり、職場での評価も変わっていくようです。やはり仕事と子育てとの両立の課題が残るのでその点については、アドバイスしながらサポートを行っています。

 

セミナー開催やメルマガ配信でシングルマザーに情報を提供

 

―そのほかの事業についてもいくつかおうかがいします。まずは、セミナー事業について教えてください。

赤石さん ひとり親向けセミナー、支援者向け講座など、さまざまなセミナーを開催しています。なかでも、シングルマザーフェスタはシングルマザーにとって充実した内容になっています。たとえば、ライフプランと教育費のプチセミナーがあったり、相談コーナーがあったり、スキンケアレッスンがあったり、お子さんたちのお遊びコーナーがあったり。さらに、リサイクルではありますがスーツ提供コーナーも設置しています。

―出版事業としては、どのような媒体を出版しているのですか。

赤石さん ひとり親新聞『Smoms』を1年に1回、11万部発行しています。区役所や市役所で配布してもらっています。さらに、好評を得ているのが子どもの教育にかかる費用や奨学金制度などの情報を掲載した『教育費サポートブック』、離婚から養育費の問題、仕事のこと、子どもとの暮らしのことなど生活にかかわるあらゆる情報を掲載した『シングルマザー365日サポートブック』です。そのほか、メールマガジンを無料配信しています。登録会員は1600人を超え、現在も会員数が増加している最中です。ひとり親支援に関するさまざまな情報を1ヵ月に2~3回お届けしていますので、登録して情報を得ていただきたいと思います。

―子育て支援はどのようなことを行っていますか。

赤石さん 入学お祝金事業をやっています。子どもの入学時はいろいろとおカネがかかり、シングルマザーが困る時期ともいえます。今年は、希望する方の中から審査して351人にお祝い金3万円をお贈りしました。そのほか、親子向けのイベント開催や学習支援も行っています。

 

一人で悩まず、相談できる場所を探してほしい

 

―しんぐるまざあず・ふぉーらむの幅広い活動が分かりました。誰にも相談できずに悩んでいるシングルマザーだけでなく、お子さんと一緒にイベント楽しむために参加することも可能なんですよね。

赤石さん もちろんです。情報を得るため、あるいはお子さんと一緒にBBQやクリスマスなどのイベントに参加するためだけでも、しんぐるまざあず・ふぉーらむとつながっていただければと思います。

―しかし、誰にも相談できずに一人で悩んでいるシングルマザーの方も多いと思います。そういった方も含め、シングルマザーの方にメッセージをお願いします。

赤石さん インターネットでも情報は得られますが、ブログなどの個人の体験記に振り回されずに、しんぐるまざあず・ふぉーらむのような確かな情報を得ることが大切です。
もちろん、区役所や市役所でもさまざまな相談にのってくれます。そのとき、がっかりする対応をされてしまったとしても、シングルマザーのあなたが悪いわけではありません。もしも、区役所や市役所に行きにくいと思うのであれば、しんぐるまざあず・ふぉーらむのような団体を見つけて、ぜひ相談してみてください。救う神は必ずいますから、あきらめることなく、アクセスしていただきたいと思います。

→→前回の記事では、しんぐるまざあず・ふぉーらむの支援事業のあれこれを紹介しております。併せてご覧ください。

 Profile

赤石 千衣子さん
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長

1955年東京生まれ。1981年に結婚せずにシングルマザーになった後、シングルマザーのグループに参加。現在社会保障審議会児童部会ひとり親家庭の支援の在り方に関する専門委員会参加人。松戸市子供の未来応援会議委員。著書に、『ひとり親家庭』(岩波新書刊)、『母子家庭にカンパイ!』『シングルマザーにカンパイ!』『シングルマザーのあなたに』(現代書館刊)などがある。