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子連れ再婚家族への理解を増やすことで、救える小さな命がある。そして、シングルマザーの前向きな恋愛を応援します。

4組に1組は離婚をする時代になり、再婚も増え、自然に子連れ婚も増加する一途である。しかしながら子連れ再婚は簡単な問題でなく、子どもがいるからと恋愛も再婚も自分の幸せも諦めているシングルマザーも多いのが現状である。また幸せに子連れ婚をしたと思われていても、想像以上の大変さ、相談する場もなく理解も得られない辛さ、犠牲になる子ども、そして毎年起こる子連れ離婚家庭での虐待死。この問題にどう向き合っていくか。

日本で唯一の子連れ再婚家族(ステップファミリー※どちらかまたは双方に子どもがいて再婚する家庭をステップファミリーと呼ぶ)を応援するNPO法人M-STEP理事長、新川てるえさんにお話を伺いました。

波乱万丈の人生 アイドルから3度の結婚、3度の離婚

 

―新川さんのプロフィールを教えてください。

新川さん 元モデル、アイドルとして活動後、23歳でできちゃった結婚し、長女出産4ヵ月で離婚、シングルマザーとして働きながら育児をし、4年後に再婚、長男を出産し、結婚生活5年目で2度目の離婚をしました。その後10年を経て3度目の再婚ではお互いに子連れでステップファミリーとなりました。その8年後にステップファミリーを解消し、現在はシングルに戻りました。

自身の経験から執筆活動や、離婚相談、離婚後の子供の面会立ち合いはもとより、日本ではまだまだ発展途上のステップファミリー(子連れ再婚家庭)の相談やカウンセリングにも取り組んでいます。

―NPO法人M-STEPを立ち上げたきっかけを教えてください。

新川さん 私が2度目の離婚をした時に、「離婚ブルー」になってしまいました。離婚までは気を張り、離婚に向かってひたすらに頑張って来ましたが、いざ離婚が成立し、新生活が始まると、全てを失ったような気がして寂しくて辛くて誰かと話したいと思ったのです。

パソコンで検索ウインドウに「シングルマザー・離婚・母子家庭」など入れてみても弁護士事務所のホームページくらいしかヒットしませんでした。

その当時は1998年、女性向けのEサイトが沢山立ち上がった時期なのですが、なぜか「離婚・シングルマザー」については情報が全くなく、「それならば作ろう!」と思って『母子家庭共和国』(http://singlemother.co.jp)という日本で初のシングルマザーのためのコミュニティサイトを立ち上げました。


(多くの自著やお子さん、お孫さんの写真に囲まれたオフィスにて)

新川さん 当時は、仕事から帰宅してパソコン開いてチャットにログインすると、「おかえり」と全国のシングルマザーと会話ができて、自分の居場所ができました。サイトも需要があり、閲覧数もうなぎ登りに増え、活動も増え、特定非営利活動法人WINKとしてシングルマザーを支援する法人を設立しました。

とくに力を入れて活動していたのは、養育費の未払い問題です。4月19日を「養育費の日」と定め、日本の養育費の支払い率が2割にも満たないことを問題定義し、キャンペーンイベントを10年計画で行いました。その後、シングルマザーの恋愛と再婚、子連れ再婚家族への認知理解不足への問題と重要性を感じ、現在のNPO法人M-STEPを立ち上げました。

養育費をもらわないのは、子どもから父親を取り上げていると気づいた。

 

―新川さんは養育費を受け取っていましたか?

新川さん  若気の至りのできちゃった結婚でしたので、経済力もなく養育費を受け取っていませんでした。養育費をお願いしようと連絡したことはあったのですが、元夫も再婚し新しい家庭を築いていたので生活も苦しいと言われ遠慮してしまい、嫌な思いをして少額を貰うくらいなら自分が頑張って働いて育てて見せる!と思っていました。

子どもが産まれてすぐに離婚してしまったので、娘も父親を知らず、養育費ももらっていなかったので、「父親」の認識がないまま育ちましたが、ある時、娘が「父親なんか関係ない。私はママだけに育てられたんだから」と語った時に、嬉しい気持ちではなくて、私が養育費を貰わなかったことで、子供から父親を無くしてしまっていたのではないかと気づきました。

娘も15歳になっていましたが一念発起で調停をし、養育費を受けとることになりました。3年間の支払いでしたが、このことで交流が生まれ、また娘も父親に会い、知り、「何故離婚したか分かる」「人としてはいいけど、父親としてはダメだね」と自身の中で父親の存在を認めたうえで美化することもなく、拒絶することもなく彼女なりの決着がついたようです。良い結果になったと思います。

昭和39年から離婚率は右肩上がりに伸び、女性の立場も少しずつ向上し、現在は離婚届に養育費について促す文面がつき、公正証書を作ることで強制執行できることが認知されました。共同親権へと向けて国も動き出し随分前進したと思います。まだ養育費の支払い率は低いけれど前進している感覚はあります。

経験に基づいた、他にない実用書でロングセラー作家に


(ロングセラーの著書)

―離婚や、シングルマザー、子連れ再婚などの本を25冊も執筆されていると伺いました。

新川さん  『子連れ離婚を考えたときに読む本 』は出版してから10年経ちますが17刷にまで好評を頂いております。『シングルマザー生活便利帳』も6刷りと好評をいただいています。どちらも士業の方が書いた一般論でなく、経験者の生の声が反映された「生きた実用書」として、そのまま実践できる内容になっていると自負しています。

しかし10年経ち、女性の立場も社会も制度も変化していますので、現在、「子連れ離婚を考えたときに読む本」は改訂版を執筆しています。

私の本が人気をいただいていることからも、離婚やひとり親家庭生活に悩んでいる女性が多いということが伺えます。

自身の経験からステップファミリーへの取り組みが必要と感じ、新たにステップファミリーの問題に向き合うNPO法人M―STEPを設立。

 

―先日、黒区で5歳の可愛い子供が虐待死されました。この事件は子連れ再婚家庭での悲しい惨事です。世間的には児童相談所の不適格な対応ばかりが問題にされましたが、私は子連れ再婚家族の問題がこの事件にはひそんでいたと思います。

新川さん  でもこの事件に限らずに、たびたび起こる悲しい事件は多いですね。取材したマスコミの人から聞いた話ですと、目黒の事件の加害男性の周りの評判はよかったようです。過度な躾が虐待に発展してしまった要因はまさに子連れ再婚家庭にあったのではないでしょうか?

―衝撃です。子連れ再婚も多くなっているように思いますが、愛する人の子どもだから他人の子どもでも愛せると思うのでしょうね?

新川さん  4組に1組が再婚家庭という時代です。子連れ再婚家庭は増加しています。この家族の抱える問題は大きく多岐にわたるのに認知が少なく、相談窓口もケアもないのが現状です。知人友人親にさえ「わかっていて再婚したんでしょ」「子供がかわいそうだ」と言われるので相談できず孤独に問題を抱えやすいのです。

―具体的にはどのような問題があるのでしょうか。

新川さん  元の配偶者と別れて喪失感、元配偶者家族とのかかわり(祖父母と孫の関係)、実子でない子どもと親子関係を築く難しさは想像に絶するものです。継母、継父は突然親になることを求められ、大家族になる家事育児の負担は増え、経済的な負担も増えます。子どもの年齢や性別によってはコミュニケーションの疎通も難しく、連れ子の親は相手(継親)に気を遣い、バランスを崩します。

離婚を経験し、子連れ再婚を勉強して再婚した私でも苦労の連続で大変でした。

―ステップファミリーの数はどれくらいなのでしょうか。

新川さん  離婚の数は国がデーターを公表していますが、ステップファミリーについては残念ながら世帯調査を行われていない現状です。

離婚数からも、子連れ再婚は間違いなく増えていると思いますが、この認知の低さ、理解されない風潮から当事者は子連れ再婚を隠し、孤独に育児をすることになっています。躾がエスカレートし、感情コントロールできないほどにまで悪化し、事件や虐待死などに繋がっていることもあります。

目黒の事件でも、両親がもっと誰かに相談できて、子連れ再婚家族の問題に向き合えていたら事件は未然に防げたのではないでしょうか?

今日のご飯何?と言われるだけでイラっとしてしまう自分がいた。

 

―どのような人が相談にこられるんですか?

新川さん  傾向としては、子連れ再婚が問題なくできると自信を持って再婚し、一年ほどがむしゃらに走り続け、限界がきて糸が切れたように相談に来られる方が多いです。

「継子を愛せません」という継母さんからの相談はとても多いです。私自身も子連れ再婚をして、同じ思いに苦しみました。自分の子どもに「ママ、今日のご飯はなーに?」と言われても頭にこないのに、継子から同じことを聞かれるとイライラが募った経験があります。そんな時には自分の意地悪な気持ちが理解できなくて、私も自分を責めていました。

また、実の親子ならどんな大げんかしても禍根が残らず翌日ケロッとしていられるのも、「他人」になるとそうはいきません。わだかまりがいつまでも残ります。血のつながりは改めてすごいものだと思います。

ふとした会話にイライラし、根に持ち、意地悪な気持ちになり、そんな自分が嫌になり責め、夫ともギクシャクし、悪いスパイラルに入り込みます。子どもも家の外に助けを求め様々な問題を起こすきっかけになります。

―上手く行くステップファミリーの秘訣を教えてください。

新川さん  夫婦で事前によくよく話し合いルールを決めて向き合っているご家庭もあります。特に躾については、実の親でない人に怒られるという行為は子どもにとって大きなストレスです。

私も娘から「実の父親でもないのに怒られるのが嫌だった」と言われたことがあります。

実親は、継親に怒られている我が子を見ていても、子どもの味方になれない場合が多いのです。子連れでも結婚してくれて、自分の子でもないのに育ててくれて、躾ようとしてくれている…実親は引け目を感じ、気を遣ってしまい継親の味方をしてしまいます。

子どもを叱るときはワンクッション置き、実の親を経由してから子どもに伝わるようにする、継母、継父は褒める役に徹するなど決めておくことは、幸せなステップファミリーの関係を築く上でよくアドバイスします。

―シングルマザーの方にメッセージをお願いします。

新川さん  今までは「子どもを持ったらお母さんとして生きる」ことを求められ、離婚となったら離婚理由も問わず「自分のワガママで離婚したのだから、責任をとって子供を育て上げるまでは女は封印、ママで生きなさい」という世間の風潮がありました。

しかし多様性が認められる時代になりつつあり、女性も社会進出し、経済力も上がり、離婚も恥ずかしいことでは無くなり、子連れ再婚家族も増えました。

子連れ再婚家族で問題なく順風満帆にいくことは「まず無い」と断言できるほど難しいことなので、安易にお勧めはしませんが、子どもがいるから…と子どもを理由にして自分の人生を諦めることなく、シングルになっても、一度の人生ですから恋愛をして良いと思うのです。

子供を不幸にしないために、自分も幸せになるために、必要な情報を集め、問題をひとつひとつクリアにし、よい未来を築いてほしいです。

―ありがとうございました。

 

問い合わせ先
NPO法人M―STEP
http://m-step.org

 

 Profile

新川てるえさん
NPO法人M―STEP理事長  

高校卒業後2年間のモデル経験後、19歳でアイドルグループのメンバーとして芸能界にデビュー。二児の母、三度の結婚離婚を経て、自身の経験を活かし作家としても著書多数。