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シングルマザーは常に 子供をちゃんと育てられているのか 不安を抱えながら頑張っている。

いつの間にか卒業していたシングルマザー
「過去は全て今を作るために起きた必要なことだ」と教えてもらった

シングルファミリー応援サイト ハートフルバンクをご存知だろうか。シングルになって困ったらまずここを訪れてほしい。シングルマザーが運営するだけあって、全ての必要情報に対応しているだけでなく、私たちの想像力を凌駕するLINEでの相談、自宅に食品など色々詰まったプレゼントボックスが届くサプライズBOX、全国を回る地域で楽しむお祭り「ぼっちぼっちフェス」など他に類を見ないワクワクする支援を行い、その輪を広げている。
代表を務める西田真弓氏に前編はハートフルファミリーについて、後編ではシングルマザーとして男の子を育て上げた母親の視点も含めてお話を伺った。(取材・文 浦邊真理子)

―西田さんは息子さんが成人されていますよね。先輩ママとしてもお話を伺いたいと思います。

西田さん 私たちの親子関係はすごくオープンで、自分たちの親子関係に割と満足しているんです。何て言うのか…「大変なことを一緒に乗り越えたから、俺らこうだよね」と息子も思っています。たくましく育ったなと思いますね。

すごく大事な親子関係で、かわいくて一番大事な宝物というのは変わらないのですが、18歳ぐらいからいつの間にか親子関係が変わってきました。少し母を理解するようになったのでしょう。母は頑張って来たのだと。それは、私の背中を見ていてくれたことの現れだったのだと思うことができました。よく周りから「一生懸命に生きている自分のことを、いつか子供は分かってくれるから」と言われていました。その時はそんな励ましの言葉も、そうだったらいいけど…と思うだけで。そして、問題が起きれば片親だからか…と思うことばかりでしたが、本当にそんな日が来るんだと教えてくれたのは息子でした。

シングルで頑張っている人たちは、常に子供をちゃんと育てられるのかという不安を抱えていると思います。子供が成長したらどうなるのか、楽しくやっている「生ける証拠」を見ることで勇気を与えられたらと思い「卒シンママ親子の姿」というシングルマザー親子のその後にフォーカスした個人ブログも書いています。 (卒シンママの親子の姿http://nishida.m-s-company.net/

「頑張ってよかった」と思う瞬間は必ず来るから、今を頑張ってほしいという思いでいっぱいです。

子供の前で、お母さんは絶対に泣かないでほしい

 

―お子さんが小学一年生で離婚されたとのことでしたが、育児で大変だったこと、工夫されたことを聞かせてください。

西田さん 息子は、あのとき大変だったということを知らなかったと話してくれました。例えば、お金が払えなくて電気が止まることもありました。だけど、それをどうやって表現するかなんです。電気のつかないところに子供を連れて一緒に帰ってきて、そこで母が泣いていたら、子供も「うちはなんか大変なんだ」と感じるけれど、私は明るく子供に振舞っていました。だから息子は、大変や辛いと思ったことがなかったと言います。その言葉を大きくなった息子から聞けたことは私をどれだけ救ったかわかりません。

だから子供の前では頑張って、泣かないで欲しい。泣きたくなっても隠れて泣いて。無理するべきではないけれど、「この子にはあなたしかいない」ということを忘れないで。

―息子さんは安心して育って、愛されているというのが分かっているということですね。


お子さんが子供の頃。犬を2匹飼って息子さんを守ってもらっていた

西田さん 子育てという面で、シングルだけに限らず大切なことだと思います。

―反抗期などいろいろ大変なこともありましたか。

西田さん とってもありました。社会に対するいわゆる反抗ネタは全てやったんじゃないかな。電話が鳴れば着信番号の下4桁が0110(笑)。もうしょっちゅうお巡りさんか学校から電話が鳴る。でも警察官も驚くほど私には優しい。息子も、反抗しない、本気で羽目は外さなかったですね。

―大切なお母さんがいる、裏切れないという気持ちがあったのでしょうか。

西田さん 私も我が子を守らなきゃいけない「親」だったから必死でした。なんかあったらママが迎えに行かなきゃいけないし、困ったら守ってあげなきゃいけないし、絶対死ねない!って思っていましたね。でもずっと二人三脚だったという感触があるから、そこまで悪いことはしなかったのかと。大学生になった息子も、今では「ママはシングルマザーの気持ちが分かるけれど、僕はシングルマザーに育てられた子供の気持ちがよく分かるよ」と、現在の私の仕事にアドバイスをしてくれます。とても頼れる存在で、今では私の一番の理解者です。

地域に応援の輪を広げる
誰もが楽しめるロックなお祭りを提供

―「ぼっちぼっちフェス」がテレビなどにも取り上げられていますが、どのような取り組みなのでしょうか。

西田さん ハートフルバングの活動は、インターネットベースの情報プラットフォームとして、みんなのたくさんの応援を一箇所に全部集め、日本にはこんなにたくさんの応援者がいるということを勇気にしてもらいたくて作りました。また、シングルマザーが「頑張ろう」と思える場所にしたくて作りました。

でも、毎日の生活にはネット上の応援だけでは駄目なのです。結局、遠くにいる親戚より近所の人が手伝ってくれるし、応援してくれる。だから、身近な人の応援が、顔の見える応援が絶対に必要なのです。そういう考え方を地域にもっと広めるために「ぼっちぼっちフェス」を開催しています。「ぼっちぼっちフェス」は、トラック1台でお祭りができる駄菓子屋ROCKという1日縁日が開催できるパッケージと、歌って踊るライブパフォーマンスにより地域の子供達を中心に楽しい時間を提供します。


トラック一台でお祭りができるパッケージになっている

―どこで開催しているのですか。

西田さん 2トントラックにリヤカー式駄菓子屋とお祭りコンテンツの縁日を積み込み、駄菓子屋ROCKの音楽も載せて全国を巡ります。

お祭り自体はお寺や神社を拠点にさせてもらっております。なぜかというと、昔からお寺や神社、教会というのはそういう困ったと人の拠り所であり、地域交流の場所だったはずだから。お祭りもそうですけど、地域の人たちが自然に集まる場所。もし何かに困っていたら、頼っていい場所のはずなのです。

でも現在は、寺社側もそういう場所ではなくなってきている。地域も寺社さんも子供たちを応援したい気持ちがあるということが、調べていったら分かってきたのです。じゃあ、どうしたらみんなが集まって繋がっていけるのか、人は楽しいところに集まるということ、そしてお寺を拠点にするという考え方で。講演会や勉強会とかではなくてインパクトのあるイベントをしようと。

―堅苦しく難しいと、足は向きませんが確かにお祭りなら行ってみようと気軽に行けますね。

西田さん とにかく子供たちがすごく楽しいと思えるようにイベントを作っています。参加はシングル家庭の子どもたちだけでなくて、誰でも参加できます。私たちはシングルファミリーを応援する輪を広げるためにフェスを開催しているので、町で子供たちを応援しましょうということのきっかけになれば良い。具体的な応援の輪を地域に広げるために、そのきっかけを作るのが「ぼっちぼっちフェス」なのです。「あのイベント何?」というような興味づけをするために、インパクトのあるものを持って行って興味を持っていただきたいと思っています。

―そこでハートフルの活動だけでなく、シングルマザーの現状を地域の方々も知るという、いい循環になるのですね。

西田さん そうなのです。それをきっかけにし、地域に応援の輪を広げるのです。

シングルの家だけではなく、親がいないと子供が街を徘徊する確率は高くなります。これは私の息子から学んだことです。私も育児で、地域の商店街のおじさんやおばさんには本当に助けられました。私がいつも仕事でいないから、息子も街に出て行くんですよね。
もちろん、その中で危ないこともありましたが、たくさんの「親の目」に見張られてもいたんですね。「さっき、あそこで見かけたよ」とか「さっき通ったよ」とか。息子がいないというときは、大体バイク屋のおじさんのところに行っていたり。「うちの子来てないですか」と聞くと「さっきまで来てたよ」と。そう言われるだけでも私は安心できたし、ありがたかった。そういうのはお互い様、みんなにも必要なことだし、頼っていいと思う。その代わり、経済的にもお母さんは自立し頑張らなきゃいけないと。育児を応援することが結果、シングルファミリーの自立も地域で応援していくということになるのではないかと。

そのためにも地域の拠点となる場所や人が必要です。ハートフルバンクのサイトの中にある考え方をいかに地域に落としていくか。全国に散りばめられているシングルマザーが、いかに自分の町の応援にたどり着けるか。それを地域の人たちに、私たちからも直接伝えていかないといけないと。その思いで「ぼっちぼっちフェス」全国ハートフルツアーを続けています。

応援者を集めて、お互いが問題解決できる橋渡しをするのが私の役目

―ハートフルバンクの運営は、どのように行っているのですか。

西田さん 口コミで集まったマンスリーサポーターさんに支えられて運営しています。
http://www.hf-f.com/monthly-supporter/

―すごい数ですね! 沢山いらっしゃいますね。

西田さん 企業だけでなく、個人の方もたくさん応援してくれています。私は応援の声もご寄付もたくさん預かっておりますので、社会が変わっていく活動にハートフルが寄与しなければと責任を感じています。

―今後の目標は。

西田さん 地域とのつながりをしっかりと深めて、みんなで応援する形づくりに力を入れたいですね。あとは、具体的にお仕事の提供ができる環境をますます作っていきたいです。

まもなく始まるプロジェクトが、無料で資格を取るところから就業までのトータルサポートです。資格があれば働くところはあるのですが、資格を取るのにお金がかかるから取れないということがシングル家庭の貧困の原因だということは分かっていたので、お金をかけずに資格取得できる仕組みです。他にも企業さんとのコラボ企画を益々作っていきたいと思っています。

―シングルファミリーの方に応援メッセージをお願いします。

西田さん ハートフルバンクのサブタイトルが、私の思い全てなんです。「Go for it !!シングルマザー&シングルファーザー」。「Go for it」という言葉は「行くしかない」という意味です。本当に止まっていられないし、時間が勿体無い、やるしかない。今、いろいろな辛いことがあるかもしれないけれど、強く生きる覚悟を決めて離婚をしたはずです。強い気持ちで離婚を受け入れて、最終的には自分で決断をして決めたのだから、強く行こうと。仕方がないんだ! 頑張るしかない!という、その気持ちを応援したいと思っています。でも、そんなに強くはなれないから。だからハートフルファミリーがあるのです。

―ずっと活動されてきて、社会が変わってきているという印象は感じますか。

西田さん 発信することで、思ったより応援してくれる人がこんなにたくさんいるのだと感じています。マンスリーサポーターの数もそうですし、企業も「何かできることがあれば」と応援してくださるし、寄付もしてくれます。

実は、社会の役に立ちたいと多くの人が思っているけれど、参加の形が分からなかったという人は多い。だから「これなら自分にできる」という応援の種類をたくさん用意することによって、たくさんの人の応援が行動に変わる。

―「西田さんだから」と思って、支援されている方も多いと思います。

西田さん 私だからということがあるとしたらそれはとてもありがたいことですが、理事メンバーの力によって多くの応援が集まっております。そこに、私の過去の苦労が役に立にたっている今を与えてもらっていることに感謝しています。

その応援を集めさせていただき、今を頑張る多くのシングルさんへ届けようと思います。残念ながら、シングルで生きていく人はこれからも増え続けていくので、日本も多様な生き方や考え方を増やしていって、皆が生きていきやすい社会にしていきたいですね。

 Profile

西田真弓さん
一般社団法人ハートフルファミリー 理事
自身の経験をもとに、ひとり親家庭の親子が毎日笑顔で過ごせる社会を目指し、支援の輪を広めるべく日々パワフルに活躍中。
お問い合わせ先・ハートフルバンク  http://single.hartfullbank.com/