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民間と市政が連携して、ひとり親家庭を全体で応援していく

横浜市は政令市初の試みとして、ひとり親家庭を応援する連携協定を一般社団法人 日本シングルマザー支援協会と平成30年2月末に締結しました。そこで、横浜市こども青少年局こども家庭課 担当係長 藤浪博子氏にどのような取り組みなのか、話を伺ってきました。


横浜市と一般社団法人日本シングルマザー支援協会とのひとり親家庭の支援に資する各種取組について連携協定締結式(平成30年2月28日)

きっかけは、「ひとり親サロン」

 

──この協定を結んだきっかけというのは?

藤浪さん まず、今回協定を結んだ一般社団法人 日本シングルマザー支援協会とのつながりというところでいきますと、協会が立ち上がった平成25年から、私ども横浜市とこちらの協会とで連携して何かできないかと働きかけをいただいたところから始まります。私どもの事業で、ひとり親向けの自立支援の事業の中で就職にあたっての心構えをレクチャーするセミナー(適職セミナー)を神奈川県と相模原市等と共同で開催していたので、実際に自立に向かって気持ちを高めていただくための心構えについてセミナーの講師をお願いいたしました。参加者の方々からは大変好評で、その後、「ひとり親サロン」というひとり親の方々に集まっていただいて情報交換を行う当事者同士の集まりでの講師を年に1回程度お願いしておりました。

──「ひとり親サロン」というのは、茶話会のような感じですか。

藤浪さん そうですね。茶話会もしますが、それだけではありません。月1回開催していまして、毎回テーマを設けてセミナーや講座なども併せて実施しています。その中のひとつにマネーセミナーを設定し、日本シングルマザー支援協会さんからFP(ファイナンシャルプランナー)を講師としてお願いし、先輩シングルマザーならではの視点も交えてお話いただくなど、協力をいただいておりました。
そんな中、29年度は、横浜市で策定している「ひとり親の自立支援計画」のちょうど5年目の見直しにさしかかり検討を進めていました。様々な当事者団体にヒアリングさせていただく中で、日本シングルマザー支援協会代表理事の江成さんからご提案いただいたのが、今回連携協定を結ぶ主な取り組みとなる「ひとり親コンシェルジュ」制度でした。

──ひとり親コンシェルジュというサービスは具体的にどのようなサービスなのでしょうか。

藤浪さん 先輩シングルマザーが「ひとり親コンシェルジュ」として同じひとり親同士、相談者の気持ちに寄り添い、ステップを踏んで助言、支援を行います。シングルマザーが手当、住まい、仕事などに関して困ったら個々の問題にあわせて相談を受けます。また、手当がなくなると同時に様々な行政の支援がなくなることへの不安が大きいシングルマザーが多い中、子供が18歳を迎えて児童扶養手当の対象外となる前に、精神的・経済的自立を図ることを目的に自立支援を行います。

敷居を低くして、相談しやすい環境を作る

 

──それは画期的ですね。シングルマザーの問題は十人十色。市政に相談しようと思ってもわからないという話はよく耳にします。離婚をするとなったときに、まずどこに行っていいか分からないという問題が大きいですよね。手当や助成、お金が発生する問題でもありますので、まずは市役所だとは思いますが、そのときに〇〇課、●課と窓口がたくさん分かれていて、どこに行けばいいのかわからない、たらい回しにされすごく時間がかかるんじゃないかとかという不安も残ります。

藤浪さん いろんな相談の切り口が必要だと思います。ひとり親になる理由もきっかけも状況も多岐にわたっています。離別・死別でも違いますし、同じ離別でも置かれている状況が違うと課題が違ってきます。同じひとり親ということでシンパシーを得やすい人が相談の入口となるというのはすごく安心で相談しやすい。

「行政の敷居が非常に高い」と言われていますが、その敷居を低くして、相談しやすい環境を作ることがまずなりより必要かなと思っています。そういったところでは、新しくこの連携協定の取組をすすめていくことで、行政にとっても新しい支援の仕組みができるのではないでしょうか。

行政はどうしても、福祉的支援に偏る側面がある

 

藤浪さん 私どもも計画を作っていく中で、行政としてなかなか行き届かない面も感じています。当事者目線といったところでは、どうしても行政の窓口は「冷たい」とか「敷居が高い」と言われてしまうところがありますし、また行政の支援はどうしても福祉的な支援に寄ってしまう部分があります。

例えば、児童扶養手当の支給ができる方か、それは必要ない方か、といった既存の福祉制度の観点からそのご家族の支援ができるかどうかといった見方になってしまいます。あるいは、お子さんやご自身が障害を抱えているなどなんらかの福祉的な課題があれば、そこに対して支援をしようとなりますが、「健康で働ける」状態だと「残念ながら提供できる支援はないですね」となってしまう部分がどうしてもあるのは、行政の性格上やむを得ない部分もあり、しかしそれだけでは足りないとも感じます。

──まさにその通りで、シングルマザーの中には相談に行っても話さえ聞いてもらえないと感じている方も多いと思います。

藤浪さん 実際に日本シングルマザー支援協会 代表理事の江成さんも、ご自身がシングルマザーになって、行政とのやり取りをする中で、行政の目はどうしても福祉に寄っていて「シングルマザーは可哀想。可哀想でないシングルマザーは自分で頑張ってください」といった対応が多いと感じておられ、非常に問題視されていました。

「私たち(シングルマザー)は、きっかけさえあればもっと頑張れるんです。ただ、そのきっかけをどうつかんでいくのか。そこをどう伸ばしていくのかという部分は、それは行政が窓口となり間口を広げてくれたら、日本シングルマザー支援協会は当事者、経験者が集まっているので当事者の目線で相談助言支援などができます」というご提案をいただきました。計画を考えていく中で、当事者に届く情報提供や自立支援の視点はすごく弱い部分だと思っていましたので、どのようにしたらよいかを模索する中で、今回の連携協定の仕組みの創設に至ったわけです。

連携協定を軸に、双方連携して取り組んでいくところで、私どもとしては協会の「ひとり親コンシュルジュ」というアプローチがあるということを皆さんに周知していきたいと思います。そして少しでも自立支援やよりよい生活につなげていただきたいと思います。それが、横浜市が日本シングルマザー支援協会と協定を結んだ経緯です。

──横浜市が自ら行っている支援とは別に外部に委託するという形になるのでしょうか。

藤浪さん 委託をするわけではありません。横浜市の自立支援の取組としては、どの市町村でも国の事業として広く実施されている事業として、「母子家庭等就業・自立支援センター」による様々な支援を、やはり当事者団体である母子寡婦福祉会という全国的なひとり親の支援組織に委託し実施しています。

しかし、横浜ぐらいの規模になってしまいますと、18区役所あり、また、区役所の窓口も細分化されているので、そういった意味での窓口のワンストップ化というのは、現実的にかなり難しい現状です。

ひとり親関連の相談は、区役所の場合、まず、子ども家庭支援課にまずご相談いただきたいのですが、周知がうまくいっていない部分を感じています。何か制度の申請などのためにはじめて区役所に相談に行くイメージが強いので、この間を埋めるステップを、当事者団体の方とかにお願いすることで、「役所に行く」敷居を下げることができるといいなと思っています。これは、今回の協定の趣旨でもあります。

──なるほど。それで、相互に得意とするサービスが適切に利用されるように協力し合うということで、横浜市に「ひとり親コンシェルジュ」サービスが常駐しているということではないのですね。

藤浪さん はい。横浜市として区役所に「ひとり親コンシェルジュ」の方がいて、その方に全部ガイダンスをお願いするという仕組みではありません。市政として「ひとり親コンシェルジュ」となると、「母子だけでなくて父子も」とか「福祉に関わる面も…」といった形になって、現在の行政の窓口と変わらなくなるのではないかと考えます。行政はどうしても制度適用という観点になりがちですし、行政としてその方の人生観や価値観に踏み込む支援はなかなか難しい部分があります。しかし当事者同士の支援、有益な情報の提供、そして「ひとり親だってこんなふうに頑張ってみていいんだよ」といった応援メッセージを発していくようなサービスを、間接的にではありますが、お伝えすることができるというのは嬉しく思います。

「ひとり親家庭を全体で応援していく」という機運づくりを

 

──横浜市としては「ひとり親コンシェルジュ」の制度を広くご紹介していくという形なのですね。日本シングルマザー支援協会だけがこのコンシェルジュ制度を紹介するのと、横浜市の協力があるのとでは全然広まりも違うのかなと思います。

藤浪さん そうですね。市民の方が見たときにも、例えば同じホームページを見るでも、よくわからない団体と思って見るのか、横浜市と協定を結んで取り組んでいるのだったら、まずは相談してみようかなと思っていただけるのかなと思っています。

横浜市としては、「ひとり親家庭を応援する連携協定」として日本シングルマザー支援協会と第1号協定を結ばせていただきましたが、今後も広く進めていきたいと考えています。
ひとり親支援の計画を作っていくときに、民間の方々の得意とする、市政ではできないところをうまく連携していくことで、「ひとり親家庭を全体で応援していく」という流れ、機運づくりが大事だと思っています。机上では「連携が大事」という話はよくされますが、もうちょっと具体的な形にしていく必要があるなと思っていました。

そこで、今後も協力関係を築ける団体や企業様がありましたらお願いしたいなと思っています。当事者団体以外でも、例えばシェアハウスをひとり親に向けてやっていくことを考えていらっしゃる企業さんとか、ひとり親に向けた奨学金を地域の企業さんが行なっているなど、様々な取り組みの中から、民間団体や企業等の有するノウハウを活用することで、実質的なひとり親家庭の支援を進め、うまく連携していきたいと横浜市は考えています。

──シングルマザーは増加し、社会的に認知されてきているとはいえ、お金、仕事、住まい、育児や就学、再婚、心のケア…様々な問題や悩みを抱えています。横浜市の取り組みがきっかけとなり、全国にも広まるといいですね。

藤浪さん そうですね。横浜市も今後さらに当事者レベルで支援となる、様々な協定を結べるようになればいいと思っています。

お問い合わせ先
横浜市「こども青少年局こども家庭課 TEL:045−671−2390
「ひとり親コンシェルジュ」相談連絡先 TEL:045−534−8849
(平日午前10時〜午後4時  一般社団法人日本シングルマザー支援協会内)

 

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