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産後クライシス 知識とカウンセリングで防げる離婚

産後クライシスとは-2012年9月にNHKのテレビ番組『あさイチ』の中で『夫婦を壊す!? “産後クライシス”』というテーマの特集が放送され、大きな反響を呼びました。13年11月に「産後クライシス」という造語を作ったNHKディレクター2名による、この語を標題とした書籍2冊が出版され、改めて雑誌記事やネット上でも話題として取り上げられ、今では離婚の大きな原因として社会的に認知されてきています。

「産後クライシス」をメインテーマに、周産期女性のケアに特化した心理療法を行う、ふじさわマターナルカウンセリングルーム代表、藤澤真莉さんにお話しを伺いました。(取材・文/浦邊真理子)

――心理士として大きな病院で長くご活躍されていた藤澤さんですが、どうして周産期女性に特化した、クリニックを始められたのでしょうか。

藤澤さん:私自身が第一子妊娠中に、絨毛(じゅうもう)検査(※胎児の染色体異常や遺伝子疾患を診断するための妊娠初期に行う検査)でお腹の子にダウン症の疑いがあるのではないかという経験をしました。

つわりもあるなか、夫と話し合う難しさ、初めての妊娠での不安を感じ、男性と女性の考え方の違いなどを妊娠期に夫婦をサポートしてくれる所が必要だと感じたのです。第二子の出産を経て、17年に産前・産後の女性の悩みに寄り添うカウンセリングルームを開業しました。

――ふじさわマターナルカウンセリングルームでは、どのようなサポートが受けられますか。

藤澤さん:大阪市鶴見区での対面カウンセリングや、出張・電話・オンラインでのカウンセリング、グループカウンセリング、ワークショップやメールマガジンでの情報配布などを行っております。

防げる離婚がある 産後クライシスへの知識をつける

――最近、耳にすることが増えた「産後クライシス」という言葉があります。どのようなことを表しているのでしょうか。

藤澤さん:「産後クライシス」は、産後うつとは違い病名ではありません。産後うつは投薬やカウンセリング、状況の改善などで治る“病気”です。しかし産後うつになったり、長引かせたりする原因の一つとして「産後クライシス」があるといえます。

12年、NHKディレクターである坪井健人氏と内田明香氏によって作られた言葉であり、「産後に急速に夫婦の愛情が冷める現象」のことをいいます。心理学のある研究では、産後に約7割の夫婦が、関係が悪くなるというデータもあります。

出典/2013年内田明香、坪井健人『産後クライシス』ポプラ社〈ポプラ新書〉

産前は、相手のことが好きかというアンケートに男女とも74%ほどで男女に違いはありませんが、産後、子どもが0歳児期では男性63.9% 女性45.5%にまで低下し、その後も差が開いていくことがデータで分かりました。この産後夫婦間に起こる現象を、産後のクライシス(=危機)という造語で表したものです。

産後クライシス、この原因はさまざまではありますが、夫婦で二人だけだった関係が一度終わり、親という新しい役割を含めた、新しい関係を、夫と妻で結びなおす必要があります。

そのことを知らずに、新しい家族を迎え、女性の負担は増え不満は募り、女性は母となり変化するのに、男性は変わらない。夫婦仲は悪化し離婚につながるケースが大きいといえます。

離婚は子どもが0~2歳の時に起こる割合がとても高くなっています。16年度の厚生労働省の調査によると、母子家庭になった時の子どもの年齢別状況は0~2歳時の離婚は全体の39.6%を占め、3~5歳19.7%、6~8歳12.7%、9~11歳7.7%以降減少(※厚生労働省「全国ひとり親世帯等調査」結果報告より)と群を抜いて高くなっています。

知っているだけで防げる離婚がある

――まさに、産前産後の夫婦関係が、重要ということが分かります。

藤澤さん:産前産後での周産期での夫婦関係のずれが大きな影響を及ぼすこと、女性が母となり、変化すること。二人の関係ではなくなり、新しい家族を迎えることは想像以上のさまざまな影響があり、どれだけ大変なことなのか事前に知っていたら、二人で話し合えていたら、状況は違うと思いませんか。

画像/2020年8月に行われたZoomでの取材風景 シンママStyle撮影

夫婦関係はひびの入った茶碗を二人で運ぶようなもの

――夫婦間で、話し合う必要性があると思いますが、そもそも話し合える関係ではない夫婦が多いように思われます。

藤澤さん:もちろん、パートナーの人格、性格にもよります。それを差し置いても、「予防ケア」の重要性は伝えていきたいところです。

特に妊娠期、周産期では、夫婦関係は努力維持していくものです。二人でひびの入っている茶碗を運んでいく姿を想像してみてください、とよく伝えています。良好な夫婦関係を築くことは相当のエネルギーをかけ、意識して維持しない自然に勝手によい夫婦にはなりません。

しかし、「好きだったら」「愛していれば」など、なんの努力なしに良好な夫婦関係が当たり前に維持されると考えている方が多いのです。

女性には変化があります。ホルモンのバランス、母になること、心や生活の変化が大きくあります。そのことを知らないとパートナーは戸惑い、女性は苛立ちが募ります。そこに対等なコミュニケーションを築くためには、どうしたいか、どんな家庭、どんな夫婦になりたいかを夫婦間で話せるように、お互いが努力する必要があるのです。

男性も「家長としての男性像」を求められ、そうあることが男らしいと思っている方がいます。いつも強く、一生懸命に働いて、家族を守って稼いでと求められ、そんな男性像に囚われているケースも多いです。夫婦関係の改善を目指すカウンセリングでは、夫婦どちらかが強い、偉いなどではない対等な関係作りをお手伝いしています。

夫婦喧嘩はOK

――夫婦の関係作りにアドバイスはありますか。

藤澤さん:建設的な夫婦喧嘩はむしろしていただきたい。しかし、人格否定や攻撃をする喧嘩は関係が破綻につながります。ムカっとすることは自分が“反応”をしていることに気付き、自分とパートナーのもっている認識の違いを発見したのだと思ってもらえたら。

夫婦喧嘩をしている時は感情的になっていて、自分のフィルタでしか物事を見ていないので、正確に状況が把握できていないケースが多いです。第三者の目線で「ご主人はこういう気持ちだったのかもしれませんよ」と伝えると「そうだったのかも…」と考え直される方も多くいらっしゃいます。こういう風に聞いてみたら?とクールダウンをしたうえで、客観的判断をお伝えするようにしています。

朗らかで優しさが溢れる藤澤さん 画像:提供/ふじさわマターナルカウンセリングルーム
カウンセリングは自分を大切にする一つの手段 本来もっている輝きや自分のエネルギーの源を取り戻して欲しい

――どのようなご相談が多いですか。

藤澤さん:マタニティブルー、産後うつ、産後クライシス、妊娠中や産後に、夫との関係が悪くなったという相談や、パートナーとのコミュニケーションがうまくいかない、関係を修復したいなど多岐に渡ります。

流産・死産後の心のケア、育児の困難感・母親になる不安、もともと心の病気を持ちながら妊娠・子育てを行うケースの相談など周産期のお悩みはすべてお伺いします。

――カウンセリングではどのようなお話しをされるのですか。

藤澤さん:お悩みによってまったく異なります。カウンセラーによって、どのような姿勢でクライアントに関わるかは、さまざまです。聞くだけ、寄り添うだけに徹しているカウンセリング方法もあります。

カウンセリングというのは、一つの手段であって、カウンセリングではどうにもならない問題もあります。カウンセラーとの相性が大事ですし、カウンセリングが全ての問題を解決する方法なわけではないのです。全員が全員にフィットする解決法ではありません。

そのうえで、私とお話しをしたい、聞いてほしいと思ってくださる方とは、主体性を重視し、一緒に考えて解決していくことを目指しています。

離婚を考えている、DVやモラハラ、幸せではない状況だけれど、経済力がないから、子どもかいるから、世間体が…と自分が我慢すれば済むと言い聞かせている女性には、「そうじゃないんだよ」と「あなたは、力のある素晴らしい一人の人間だ」と理解していただくように、パートナーといい関係を築いていきたい方にはコミュニケーションの取り方を中心にアドバイスをしています。

「私なんて…」はもう捨てる

――カウンセリングを日々されるなかで、問題だと思うことはありますか。

藤澤さん:離婚を考えている方、離婚された方に多いのが、すべては自分の責任だから、頑張らないといけない。頼ってしまったら余計な文句を言われると思い、誰も頼らず、私のせいで離婚する(した)から、私が頑張ってなんとかすると自己責任論で全てを背負っておられる方が多いです。

自己評価が低く「私なんて…」という言葉がよく聞かれます。そうじゃない。貴女にはできる。他人や世間に何か言われたとしても、貴女の価値はそこでは決まりません。力のある一人の素晴らしい人なんだということ、認識して欲しいと思います。

全てを背負うのではなく、ポジティブに支援を受ける努力を

――どうすればよいのでしょう。

藤澤さん:とても大切なのは、コミュニケーションです。「私は、今、こんなことで困っていて大変なんです、支援がほしいです」と伝えること。それは“甘え”でもなんでもない、当たり前の権利です。「つらいけど、何も言わず察して」という姿勢が“甘え”なのではないでしょうか。

現在は一カ所で支援や、さまざまなサポートが完結できません。行政やボランティア、支援団体、民間企業、さまざまなサポートがあります。情報を集め、SOSを発信でき、「私なんか」ではなく、ポジティブに「当たり前のこと」としてサポートを受ける努力が必要だと思います。

男性、女性を比べるのではなく、一人ひとりにスポットライトを

――カウンセリングルームを開業されて3年経ちますが、これからの課題やビジョンをお聞かせください。

藤澤さん:周産期に特化したカウンセリングというのは、未だ数が少ないのが現状です。しかしながら、女性の生き方やライフスタイルが変わり、昔のように女は学歴が低く、早くに結婚をして、子どもをしっかり育て上げる、主人は仕事が生きがいで家には帰らないというような、ステレオタイプはなくなってきました。

結婚するしない、子どもを持つ持たない、時代は各々の幸せを認められるように変化して来ていると感じます。そのような観点から、女性の周産期に特化したカウンセリングルームというのは時代に必要とされていると感じています。

私は女性の権利を、男性と戦うような姿勢で訴えたいのではありません。自分にとっての幸せを感じながら、誰かや世間に生き方を強いられることがなく、「私が、私の人生を歩んでいる」と主体的な生き方をする女性を増やしていきたいです。

これから、女性が、母親がもっと生きやすくなる時代が来ます。自分はどうしたいのか、どう生きたいのか、進む力が必要とされるでしょう。

シングルマザーの方へのメッセージ

――シングルマザー、プレシングルマザー、悩んでいるママにメッセージをお願いします。

藤澤さん:ご自身の選択に、誇りと自信をもってください。そして、シングルだからこそ、社会と豊かにつながってください。あなた自身が、笑顔であってほしい。それが、あなたの子どもの幸せでもあります。

《告知》(マタニティカウンセリング)無料オンラインカウンセリングを受けるチャンス!

日本臨床心理士資格認定協会の援助による、妊娠中や産後の不安、ストレス、メンタルの不安定を相談できる、無料オンラインカウンセリングが2020年9月1日より先着順で始まります。

新型コロナにより、悩みを相談する場も減っており、ストレスフルな日々をZoomの無料オンラインカウンセリングで乗り越えてください。

《詳細はこちら》※先着順でのご案内となります。

https://peraichi.com/landing_pages/view/maternitycounseling

【プロフィール】

藤澤真莉

神戸大学発達科学部 卒業、大阪大学大学院人間科学研究科 卒業

心理士として病院勤務を経て、第二子の妊娠をきっかけに退職後、2017年 ふじさわマターナルカウンセリンルームを開業。

【お問い合わせ】

ふじさわマターナルカウンセリングルーム

https://f-maternal.site/

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カテゴリ:特集

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