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自らの経験と市民の声を「生きづらさの解消」に

シンママStyle編集部

名古屋市会議員のたなべ雄一議員 。4児の父である視点から、子どもの貧困対策やいじめ問題などにも取り組んでいます。自身は両親が高校生のときに離婚。美容師である母に、女手一つで育てられた経験から、ひとり親家庭とその子どもへの支援にも力をいれています。

たなべ議員に、名古屋市が進めるひとり親家庭支援事業を中心にお話を伺いました。

(取材・文/浦邊真理子)

奨学金を借りて大学を卒業。卒業と同時に多額の借金返済がスタート

―名古屋市立大学のスタート支援奨学金制度

https://www.nagoya-cu.ac.jp/education/fees/kyufu/)は、たなべ議員の議会質問での提案により、創設されたと伺いました。

たなべ議員:以前、『子どもの貧困対策センターあすのば』との意見交換のなかで、国に対して返還不要の奨学金制度の拡充を求めていることを聞きました。

私も家庭の経済状況から、大学4年間は奨学金(有利子、月4万5000円)を借りて卒業しました。卒業と同時に多額の借金返済が始まり、返済は想像以上に大変でした。途中、就職した会社の経営不振で返済を休止したこともあります。12年前に議員になる前に完済しましたが、返還不要の奨学金は絶対に必要だと思いました。

幸い、国では奨学金の拡充のなかで、返済免除や返済不要枠が拡大されてきています。しかし、「返済不要の奨学金は果たして国だけの問題なのか?」と疑問を感じ、調べてみれば公立大学で返済不要の奨学金制度を設けているところも僅かですがありました。

たなべ雄一議員 名古屋市役所議員会館にて

多くの大学は学業優秀な学生を対象とするものや、学部卒業生や関係者などからの寄付を財源とした、対象者が限定された奨学金などが主流です。

名古屋市立大学も医学部や、看護学部があり、関係者からの寄付による学部生限定の返済不要奨学金はありましたが、経済的に困難を抱える学生への奨学金はありませんでした。大阪市立大学と横浜市立大学に、そのような奨学金があると知り、現地調査を経て2016年6月議会で名古屋市に創設を求めたのです。

幸い、18年度から「名市大生スタート支援奨学金」として実施が始まり、貧困家庭にとってのみならず、ひとり親家庭の負担の軽減に少なからず貢献できたものと思います。

―名古屋市立大学のみの制度なのでしょうか。

たなべ議員:県内の国公立大学では名市大だけのようです。残念なことに愛知県立大学はじめ、多くの県の公立大学ではいまだ制度がない状況です。現在、国だけでなく全国の公立大学に対しても返還不要の奨学金制度創設を求めていくことを提案しています。

自治体ができるちょっとしたこと

名古屋市ひとり親家庭市有施設優待利用事業チラシ

―名古屋市の新しい支援事業を教えてください。

たなべ議員: 18年11月1日より、市内にお住まいのひとり親家庭の親子は、名古屋市有施設の入場料が無料になる事業(ひとり親家庭市有施設優待利用事業

http://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/page/0000110866.html)

が始まりました。

今までも、ひとり親家庭休養ホーム事業として、宿泊施設や日帰りレクリエーション施設の入場料が1年に一回無料で利用できましたが、新しい事業は、より多く親子で一緒に楽しい時間を過ごしてもらうことを目的としています。

中学生以下は無料である名古屋市内の施設ですが、子どもだけ無料であっても大人は有料なので、行くことを躊躇するというケースが少なからずあったと思います。

親子で楽しい時間を過ごす、会話する、思い出を作る、そのような時間が子どもの糧になり、豊かに心を育てるのではないかと考え、何百円かの金銭的な支援ということだけでなく、もっと大きな意味を持つ新しい取り組みだと考えております。

―名古屋市内のどの施設を利用できるのでしょうか。

たなべ議員:現在利用できるのは、名古屋城、東山動植物園、市科学館、市美術館、市博物館、蓬左文庫の6施設になります。無料になるのは、親子同時での利用時で、1年間で最大6回まで利用することができます。

ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンを視野に

―今後はどのような展開をお考えですか。

たなべ議員:ひとり親家庭休養ホーム事業と併せて、 市内の他の公営施設や民間施設なども 利用できるよう提言しております。私の夢として、東京ディズニーランド(千葉県)やユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府)への旅行をプレゼントしたいという計画があります。

―移動費や宿泊費も含めてということでしょうか。

たなべ議員:そのつもりです。子どもたちにとって、とくに人気の施設というだけでなく、ディズニーランドに行ったよ、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)に行くよという話は、学校などで友達との会話の中でも話題になりやすく、憧れの旅行先です。

うちは経済的に無理と断念するひとり親家庭を減らしていきたい。自治体ができる「ちょっとしたこと」、そして民間の力を借りることで生きづらさがポジティブに変わることがたくさんあるのではないか、そのような手助けができるような市政であってほしいと思います。

社会の中でもっとも大変な暮らしをしているのは誰か?

―子どもの貧困問題に力をいれていらっしゃいます。

たなべ議員:県内で母子寡婦を支援している団体との意見交換で、団体の方から「社会で一番貧しい暮らしをしているのは誰だと思いますか」と質問されたことがありました。そのときは「生活保護の方かな」と思っていたのですが、答えは「ひとり親の女性とその子ども」でした。

「生活保護を受給しないのですか」と伺ってみると、収入が少なく、最低限の生活しかできない状況にあっても、子どもが学校でいじめられるのではないか、また働く意欲を失い自立していくことができなくなるのではないか、と考えて生活保護を選択しないひとり親家庭は多いといわれ、目からウロコが落ちる思いで認識を改めました。子どもの貧困は突き詰めれば親の貧困です。そしてひとり親家庭の貧困はさらに深刻です。

困っている人のために税金を使うことが主流にはなっていない

―ひとり親家庭には複合的な支援が求められています。

たなべ議員:私は公明党の議員ですので、困っている方に寄り添う政治を目指しています。しかし、未だ困っている人のために税金を使うことが主流とはなっていないと感じるときがあります。今後は他都市が実施していて名古屋市が取り組んでいないことに、もっと踏み込んでいきたいと考えています。

―どのように取り組んでいかれる予定ですか。

たなべ議員:ひとり親家庭への支援や子どもの貧困対策については一気に解決策をもとめるのではなく、まず「今できること」を進めることが重要だと思います。全てを解消するゴールを目指すための道のりは複雑かつ広範で遠い。その遠い道のりを歩みながら地方自治体ができる生活のなかの身近な支援や、大人も子どもも孤立しないような仕組み作り、社会全体で日々の生活の「生きづらさ」をなくしていくことが、困っている人への思いやりや応援になるのではないでしょうか。

―最後に、たなべ議員の信念を教えてください。

たなべ議員:私の信念は国でやることは国で、地方でできることは地方で。「議員が本気になれば必ず道は拓ける」です。

さまざまな施策を役所発ではなく、議員から始めることが大切だと考えています。行政が始めたことは、割と簡単に制度を変更したり廃止したりします。皆さんが制度や支援が「コロコロ変わる」「分からない」と感じられる原因の一つだと思います。

しかし、議員が作った制度はなかなか廃止できないのです。なぜならば、議員が選挙によって衆望を担い、政治に関わっているからです。市民の代表である政治家の責任は重いと同時に、本来は民意を政治に反映するための強い権限を与えられています。政治家はそれを片時も忘れずに、一生懸命に働く必要があります。

【プロフィール】

たなべ雄一 名古屋市会議員

1969年8月24日生 4児の父親であり学校教育問題、育児子育て問題にも力をいれている。

ホームページ:http://www.komei.or.jp/km/nagoya-tanabe-yuichi/

Facebook: https://www.facebook.com/たなべ雄一-1576375382595705/

Twitter: https://twitter.com/first_star1

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カテゴリ:特集

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