• HOME
  • 特集
  • ひとり親の子育ては大変すぎる。一人で背負わないで。

特集

ひとり親の子育ては大変すぎる。一人で背負わないで。

シンママStyle編集部

東京都豊島区西巣鴨。「巣鴨」と耳にすると「高齢者の街」と思う人も多いだろう。一歩足を踏み入れた巣鴨は「生きた街」だった。人通りも多く賑やかな商店街、アットホームで優しい雰囲気、生活しやすい物価、人と人とのコミュニケーションがある。

こんな場所でシェアハウスという「一人ではない」環境で子育てできたら、どれだけ不安がなく、明るく前向きになれるのだろう。そんな理想的なシェアハウスが2019年、都営荒川線から徒歩3分の場所に誕生した(現在満室)。母子のシェアハウスが広がりを見せる今、自身も3児の母でありシングルマザーで、このシェアハウス『NICORI HOUSE』管理人を務める野上有香さんに話を伺った。(取材・文/浦邊真理子)

お嬢さんと一緒に取材に応えてくださる野上さん

シェアハウスで暮らした実体験をもとに管理人に

―自己紹介をお願いします。

野上さん: 私自身がシングルマザーシェアハウスに住んでいた経験をもとに、「みんながニッコリ笑う家」を作ることを目標に巣鴨NICORI HOUSEの管理人をしています。シェアハウス管理以外に、結婚相談所で事務として働きながら、11歳、6歳、3歳の3人のシングルマザーとして日々忙しく子育て真っ最中です。

―なぜシングルマザー専用のシェアハウスに携わることになったのですか。

野上さん:青森で生まれ育ち、20歳で一度上京しアパレルスタッフとして働いていました。3年ほど東京で暮らし、同じく青森出身の元夫と結婚し子どもができ、地元に戻りました。

青森では時間が緩やかに過ぎ、親族もいてゆっくりと子育てもできたし、周りの多くの人に助けてもらえました。結婚後子どもに対する考え方のすれ違いもありましたが、夫婦関係に問題はなく離婚を考えることもありませんでした。

しかし、新生児の世話にかかりきりの状態から一段落し、ベビーマッサージのサークルや子育ての会、さまざまな活動を再開するなかで、私は東京に戻って働きたいという気持ちが抑えられなくなってきてしまったのです。

東京の友達はお母さんになってもキラキラ輝いて見えて、自分はなにかくすぶっているような感覚。元夫は青森に根付いた仕事でしたので、気持ちのズレはどんどん大きくなり、話合いを重ねて離婚。離婚から2ヵ月後、私は3人の子どもたちと共に上京しました。

青森からひとり親として東京に戻ってきて、基盤もなくシェアハウスで暮らすことになりました。そこは10世帯のひとり親家庭と6世帯の単身世帯のシェアハウスで、とても楽しく互いが協力的で、育児も助け合い、親子で心身ともにずいぶん助けられたものです。

その後に一度アパートを借りて私たち親子だけで生活を試みましたが、共同生活にはない自由さは手に入れられても、子どもが一人になる時間が多すぎると感じました。土曜などは半日近く一人でお留守番をしなくてはいけないことがありました。

私も仕事と育児とのやりくりを一人で抱える負担が大きすぎて、疲れてイライラし、子どもに怒ってしまう。これは親子ともにとってよくないと思い、再度シェアハウスで暮らしていくことを決め、NICORI HOUSEの管理人になりました。

絵本作家ののぶみ先生によるイラストがNICORI HOUSEのシンボル 表札にも使われています

―シェアハウスの利点を教えてください。

野上さん:まず子どもと一緒にいる時間が増えました。通勤時間が短くなり、以前は前夜から翌日の夕飯の準備をして、朝は子どもたちを預けた後出社。19時に退社してスーパーに行って、子どもたちと食事をとれるのは早くて20時15分。今は前夜に作る必要もなくなり、19時30分には皆で食卓を囲めます。

子どもにとっても、お留守番や預けられる時間が減り、一人の時間が減ります。お母さんと兄弟だけでない、他人と賑やかに食卓を囲むことができる。温かい賑やかな食事で明るくなり、笑顔がたくさん見られます。そして言葉数が増えました。

私自身はイライラすることが少なくなりましたね。子どもと穏やかに向き合える時間が増えて親子の会話も増え、子どものことをよく見てあげられる、聞いてあげられる「濃い」時間が増えました。

シェアハウスはよい意味で「他人の目」があるので、感情的にならずに済むという利点があります。シェアハウスでは子どもへの虐待が起こらないというデータもあります。

親子だけでない食卓を囲む時間を、とても大切にされています。 提供:NICORI HOUSE

―疲れや孤立は虐待の最大の原因の一つです。

野上さん:お母さんの笑顔が増えれば子どもも笑顔が増えるし、日常生活で少しでも笑い話ができる相手がいれば1日を楽しく終えられて次の日も頑張れます。シェアハウスだからといって全て協力し合ってうまくいくというわけではなく、大変な部分もありますが、お互いできる範囲でサポートし合えること、孤立しない子育て、子どもにとって寂しくない環境であることが本当にありがたいです。

玄関の飾り棚 NICORI HOUSEは花や飾りつけが素敵で、温かい雰囲気でした

離婚前後はがむしゃらで、落ち着いて冷静に考えることができなかった

―喧嘩やDVなどで離婚したわけではないとのことですが、離婚後の親子関係はいかがですか。

野上さん:私は今でも自分が離婚したことを許せていないというか、悪いことをしたという気持ちがあります。その理由は、子どもたちになぜパパと一緒に暮らせないのかちゃんと説明できないからです。私のわがままのせいで、もう少し我慢したらよかったのでは等の葛藤がいまだにあります。

離婚時にはがむしゃらで、しなくてはいけないことが山盛りで考える暇もなかった。2年経ち、やっと今振り返ることができています。自分の行動に後悔はありません。しかし、私の意向で離婚して父親と離れて暮らしているので、その分子どもたちには、楽しく幸せな思いで日々暮らして欲しいと思っています。父親とも面会交流を促し、その機会を作るように努めています。

子どもの気持ちを考えるとベストではなかったかもしれませんが、私自身が決めた道ですから、子どもたちにとってもその選択が必ずプラスになるよう決意を持って暮らしています。

シングルマザーは一人で子育てはできない。もっと楽しい方法を探して

―育児はどうですか。

野上さん:子育ては助けてもらって、毎日を過ごしています。同じシェアハウスのメンバー、就業先、地元の八百屋さん、商店街の方々、学校や保育園の先生、NICORI HOUSEを支えてくれるボランティアの方、子ども食堂など。みんなで我が子を育ててくれています。子どもは親以外の世界からもたくさん学ぶんだなぁと実感しています。

東京で子どもを3人抱えるシングルマザーとしての生活は正直大変です。自分以外に代わりがいないと思ってしまってついつい頑張り過ぎてしまったこともありました。仕事と子育てと家事、マンパワーも費用も絶対的に足りない。そして頑張りすぎて体調を崩したり、イライラして子どもに当たったり、プラスなことはなかった。だから、やり方を変えないといけないと思ったのです。

NICORI HOUSEで暮らし、そのメンバーと助け合い、巣鴨は比較的ご近所付き合いも残っています。ですから、買い物に行っても周りの人たちが子どもたちに声をかけてくれます。また、地域のコミュニティもあり、親子で楽しい企画に参加したりと、とても助けられています。

出身である青森の『青森県弘前市のねぷたまつり団体』とも交流があり、毎年お祭りに参加するだけではなく、子どもと一緒にたくさんの人とお祭りの準備をしていく過程も大きな喜びにもなっています。

今後はNICORI HOUSEの一室をイベントスペースや地域の憩いの拠点として活用し、子どもの成長を地域で見守る場にしていきたいし、子ども食堂に私たちも参加し、地域とどんどん繋がって、お互い様で助け合っていきたいと思っています。

週末はゆっくりと子どもと過ごす時間を持てるように

人との繋がりに助けられてきた。私も繋がって恩返ししたい

―人との繋がりのなかで楽しく、協力し合って子育てをすることで、皆が幸せになっていますね。

野上さん:離婚には大きなパワーが必要でしたし、自分もつらく、たくさんの人を傷つけたと思っています。子どもの成長を元夫と楽しむことができない、成長を見せてあげることができないし、身内にも悲しい思いをさせてしまいました。その分、経験から同じように悩んでいる人の気持ちに寄り添うこともできるようになった気がします。

シングルマザーのお母さんは現状頑張りすぎ。お母さんを楽に笑顔にすることが子育てに一番よいと経験から分かりました。一人では無理なのだから、だったら皆で楽しく子育てができたらいいなと思います。

シェアハウス事業者が集う会議でのプレゼンテーションを行う野上さん
事業者同士での情報交換など運営に注力されています 提供:全国ひとり親居住支援機構

結婚のすばらしさを伝えていきたい

―今後のビジョンを聞かせてください。

野上さん:人と人を繋ぐ活動をしたいと考えています。私自身、人とのご縁に助けられて今があります。これからはもっと人との縁を大切に生きていきたい。縁を作っていきたい。そしてその縁で、問題を少しでも軽くできるような取り組みをしたいと思っています。

これからの時代、一人の力で勝負するのではなく、私一人ではできないことも私が発信していくことで、できる人が自分の力を出し合い繋がることで、シングルマザーだけでなく女性の抱える問題を解消していけるのではないかと思っています。

そして、離婚したからこそ分かる結婚のすばらしさを伝えていきたいのです。私は結婚相談所で働いていて、結婚の素晴らしさを日々目の当たりにしています。現代は籍にこだわった形でなく、新しい結婚の形もたくさん出てきている。これからは、つらくても我慢するのではなく、楽しみながら生活できる自分にあった形を見つけていく時代になっていくと思います。

離婚経験者としては、結婚して子どもを持つ素晴らしさを伝えたいし、離婚に繋がらないようなアドバイスをしていくことが使命なのかなと思ったりもします。離婚を考えている人には、私ができなかったこと…一度感情的ではなく子どものことなど先々のことを落ち着いて考えることを伝えたい。

そして、離婚して頑張っている方には 一人で子育てはしないほうがよいこと、周囲に甘えたり頼って助けを求めていくことが、親子ともに健やかな道であることをお伝えしたいと思います。

【プロフィール】

野上有香さん

巣鴨『NICORI HOUSE』管理人。青森県弘前市出身。3児のシングルマザーとして日々奮闘中。

巣鴨NIKORI HOUSE:https://nicorihouse.amebaownd.com/

Twitter: https://twitter.com/NICORIHOUSE

インスタグラム:https://www.instagram.com/nicorihouse/

シングルマザー向けの有益な情報をメルマガ配信します(無料)
メールマガジン登録はこちら

カテゴリ:特集

シンママStyle編集部
シンママStyleの編集部です。シンママStyleは毎日忙しいシングルマザーのみなさんにお家探しから得する制度まで役立つ情報を毎日お届けします。

PREV

シングルマザーのための情報サイト、シンママStyleです。毎日忙しいシングルマザーのみなさんにお家探しから得する制度まで役立つ情報を毎日お届けします!