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子どもの目線が忘れられている世の中を変えたい 「シングルズキッズ」代表・山中真奈氏インタビュー(後編)

シンママStyle編集部

前編では運営する「シングルマザー下宿MANAHOSE上用賀」についてお届けしました。前編はこちら

後編では起業するまでの山中真奈さんの半生に迫り、何故シングルマザー下宿を作ろうと思ったのか。また、起業するまでにはどんな経緯があったか、将来のヴィジョン、新たな活動について伺います。

自分の価値観を大切にして素直に生きる。もがいてもがいてたどり着いた生き方。

―山中さんはまだ30代前半で、シングル家庭で育ったわけでも、シングルマザーでもありません。何故この活動を始められたのでしょうか。

山中さん:両親は揃っていましたが、仮面夫婦で仲良い家庭ではありませんでした。よくケンカしていたという記憶があります。

思春期に入ってからは、母親との折り合いも悪くなり、家が楽しくなくて他に居場所を求め、派手な格好をしては街をフラつき、家に帰らず、いわゆるギャルをしていました。ギャルの子たちは「嘘」がなくて、居心地がよかった。キャバクラで働いたこともあります。その後は人間関係に疲れ、引きこもりの生活も体験しました。

(画像:ギャル時代の山中さん/提供:山中さん)

家でずっと引きこもっていて、ぼんやり死にたいなぁと思っていたのですが、成人式に出た後くらいから「死ぬ勇気も無いしそろそろ働こう」と家電量販店で携帯電話を販売する仕事を始めました。最初は敬語も使えない、経験も知識も何もないゼロからスタートし、たくさんの失敗をしましたが、だんだんと仕事を覚え売上を出せるようになりました。

その後、21歳からは不動産会社で4年間勤務。まだその頃は夢やヴィジョンも何もなくて、辛く過酷な職場ながら、仕事は楽しいし成長できるけれど「私、本当は何をしたいんだろう?」といつも考えていました。

大人目線の世の中で子どもが犠牲になっている 

―子どもをハッピーにしたいという理念はどこから生まれたのでしょうか。

山中さん:20歳代前半になり、友だちが結婚し子どもを持つ人が増えて、子どもと遊ぶ機会が増え、すごく楽しかったんです。またちょうどその頃から子どもの虐待事件がニュースで多く流れだしました。大阪で子ども放置したまま戻らず子どもが餓死した事件にもショックを受けました。大人の勝手な事情で最終的に傷つくのは、純粋無垢な子どもたち。悔しい思いと、理不尽さに憤りを強く感じ、子どもたちの支援をしたいというハッキリとした気持ちになっていきました。

―そして「シングルズキッズ(=ひとり親で育つこども)たちを最高にHAPPYにする」理念となったのですね。

山中さん:「私何をしたいんだろう」と考えている最中、大ヒットした『ユダヤ人大富豪の教え』という本に「大好きなことを仕事にしなさい」と書いてあったんです。とても衝撃を受けました。「よし、好きなことを仕事にしよう!大好きな不動産と子どものことを仕事にしよう。」

大家さんになって時間とお金を得てボランティアでこどもの活動をやりたいという夢にたどり着きました。そして不動産仲介の資格と知識を身につけ2015年に独立しました。

不動産業界と福祉業界との共通言語がない

―山中さんは不動産業界で働いてきて、シングルマザーのシェアハウスの運営に乗り出しどのような感想を持ちましたか。

山中さん:不動産はサービス業的なマインドがとても低い業界です。賃貸でお部屋を借りる場合に、保証人を立てる必要がある、本人の審査や敷金礼金など、仕組みや決まりがありますが、借りたい人には分かりにくい仕組みです。シングルマザーの方や、18歳になって児童養護施設から出て自分で住宅を確保しなくてはならない人など、自立するためにまず何より住宅を必要としているのに、不動産屋さんから面倒なお客として扱われてしまいます。

社会的に弱い立場の方にとって住宅費は大きな支出で、多くの妥協をし安い家を探しても、保証人問題や正社員ではないという事で断られてしまうケースが多くあります。

一方で日本は人口が減少し、新築の物件は立ち続け、空き家が増え続けています。

借りたい人が借りられない、増え続ける空き家どちらも深刻な社会課題です。それなのに共通言語がないのは何故なのか。

私は、そんな不動産業界と福祉業界との共通言語をつくり、「繋ぐ人」になりたい。これまで相容れなかった業界同士が歩み寄り、この2つの社会問題の解決に向けた取り組みにつなげたいと思っています。

次なるミッション「シングルズキッズとして育った当事者のリアルな声を届ける」プロジェクト

―先日クラウドファンディングで資金調達を成功され、新たなプロジェクトを開始したそうですね。

山中さん:シングルマザー下宿を立ち上げる際に、シングルズキッズとして育った20代からの34人にアンケートを取りました。直接5人以上にお会いして詳しくお話も伺いました。そこには、頑張ってくれたお母さんを誇りに思う言葉、感謝や尊敬のことば、苦労した、困ったことなど、さまざまなリアルな意見がありました。

(画像引用:シングルキッズ ホームページhttp://singleskids.jp/)

世の中にはシングルマザーの声、大人、親目線の声はたくさん見られます。

しかし、子どもの声はなかなか世には出ません。子どもだったときは気持ちや心が整理できていなくて素直に伝えられなかった本音や、当時は親に気を遣い空気を読んで我慢していた事も、大人になった今なら、当時を振り返り感じていたことを言葉にすることができます。

必死に頑張るお母さんを一番近くで見ていた子どもの頃。まだ周囲の”ひとり親”への偏見も多かった頃、隠れて涙を流しながら頑張ってくれた、愛情を注いでくれたママ&パパへの尊敬や感謝。たくさんの”かけがえない大切な言葉 ”に出会いました。

そして親からは、子どもは父親がいないことをどう思っているんだろう、ひとり親家庭で苦労を感じているのかな?と聞きたくても聞けなかったという話も耳にしました。

DV、モラハラ、収入や仕事、親との確執、育児、そして「ひとり親だから」という偏見、「子どもが可哀想」という声、将来が見えない不安。健康問題、ひとり親も離婚を考えて悩んでいる人も、話を聞くと共通して【不安】を抱えている。

そんな方たちに、全国で262万人(平成27年国勢調査結果より)いるシングルズキッズたちの本当の気持ち。そんな子どもたちの本音や本心を伝えたいと企画しました。

―シングルマザーの励みになるだけでなく、全ての親の励みにもなりそうですね。

山中さん:おかげ様でクラウドファンディングにたくさんの応援をいただき、現在シングルマザーの製作者、協力者と共にインタビューを重ね、メディアと冊子を準備しています。

感動的な良いお話しだけでなく、課題や辛い現実もそのままに、母子家庭が抱えるたくさんの不安と課題、社会に知られていないシングルキッズたちの本音を伝えます。

不安を抱えたお母さんが読んで、未来への希望を感じてもらえたらと願っています。

「MANAHOUSE上用賀」から広がる“親戚的”な繋がりを目指して

(画像:管理人さんと、みんなで食べる温かいご飯/提供MANAHOUSE上用賀))

―これからの夢や活動予定を教えてください。

山中さん:シングルズキッズがハッピーになることが私の中で大前提の一番の願いです。

そのシングルキッズの笑顔のために、運営に関して言うと、5~10年くらいかけてシェアハウスや下宿などを近所で増やしたい。

私は約2年半の間シングルマザーシェアハウスに同居し入居してくれたママたちと苦労や喜び、時には涙し、さまざまな想いを共にしました。そしてシングルマザーには福祉的サポート、相談相手、マンパワー、育児のサポート、心の拠り所や支え、一人になれる時間など、様々なサポートが必要だと改めて気づきました。子どもたちの変化も目のあたりにしてきました。もっと居場所が必要です。そして、ここを拠点にした“親戚”を増やしていきたいと思っています。

―先ほども、「MANAHOUSE上用賀」に、以前に住んでいた子どもが学校帰りに寄り遊びに来ていましたね。

山中さん:そうなんです。「MANAHAOSE上用賀」を卒業して、徒歩圏に家を構えている親子がいます。卒業しても子どもも親戚の家のように来てくれて、子どもも寂しくない、お母さんも安心と“拠点”になれている。私の目指していた形です。

一緒に住んでいなくても、学校帰りにふらっと寄ってくれたり、週に1、2回でも夜ご飯を食べに来てくれたら関係が途切れませんよね。

「MANAHOUSE上用賀」ではシングルマザーだけではなくご近所のシニアや多世代の人たちとの出会いがあります。おばあちゃん家や親戚の家を訪ねるように、話を聞いてくれて、自分を見てくれる人がいる。

住むための箱を提供するだけじゃなくて、そんな風に退去した後も地域で続く繋がりを広げていきたいです。

【お問い合わせ先】

MAIL:singlekids@gmail.com

シングルズキッズ株式会社HP:http://singleskids.jp/

インスタグラム:https://www.instagram.com/singleskids/

【プロフィール】

山中真奈さん

1986年生まれ、埼玉県出身。10代でギャル・ギャルサークル・キャバクラ・引きこもりを経験後、二十歳で某FC不動産会社にて4年間従事。働き方への疑問とやりたいことに目覚め2015年独立。 不動産仲介・保育園開設支援・こどもに想いのある大人が繋がるプロジェクトやNPO法人若者メンタルサポート協会広報など活動後、2017年3月より社名変更し『シングルズキッズ(=ひとり親で育つこども)を最高にHAPPYに!』をミッションに、世田谷区にてひとり親とこども、シニアが同居する下宿事業を企画開始。

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カテゴリ:特集

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