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ひとり親は“普通のこと”隔てない社会へ

シンママStyle編集部

“ひとり親でも安心して暮らせる社会へ”活動を行う「シングルペアレント101」を主宰し、今までになかった画期的な図書『プレシングルマザー手帖』を出版。現在はシングルマザーの支援のみならず、「世の中のシングルマザーという見方を考え直す」活動を行う田中志保さんにお話しを伺いました。(取材・文 浦邊真理子)

 

―何故「シングルペアレント101」を立ち上げたのですか。

田中さん 私はモラルハラスメント、経済的ハラスメントが原因で長男が2歳と次男が0歳7カ月の時に離婚を決意しました。家を飛び出し、すぐにパートで職を探しましたが、子ども達を保育園にいれてもらえず、待機児童になり、月に3万円払って学区外にある保育園の一時保育に預けて働きました。パートの給料約10万円から月に3万円出費することは大変でした。

他にも、離婚が確定する前に家族の紹介で弁護士に相談したところ、男尊女卑な発言を受け、離婚の調停委員からは「離婚は辞めたほうがいい」「子どものために我慢を」と言われ、仕事は非正規しか選べませんでした。どれも心がモヤモヤし納得できないことばかりでした。頼りにする場所には全く味方がいないような気持ちになり、今後のこともどうなるのか、何をしたよいのか分からず、不安で離婚プレ期のつらさを身に染みて感じました。

「これっておかしくない?私だけなの?」と思い。他のシングルマザーの人はどうなのか調べてみることにしました。2012年に働きながらランチタイムや有給休暇を使い、26人のシングルマザーに聞き取りなどで調査を進め、その調査結果をまとめたものが『プレシングルマザーヒントBOOK 私たちの選択と決断』です。

 


画像:『プレシングルマザーヒントBOOK 私たちの選択と決断』

 

シングルマザー手帖の発刊へ

 

―プレシングルマザーの調査を冊子にまとめられたのですね。

田中さん 調査を始めてみると、私だけでなく、皆が同じモヤモヤを感じていることが分かりました。そして、ひとり親の生きづらさは自分自身の責任や問題ではなく、社会の構造が原因なのだと分かりました。

離婚前に、これからどのようなことが起こり、どこに相談し、何を準備したらよいのか分からなかったことが不安や辛さを一層深くしていました。そのことから、離婚を決意した段階から、一連の流れがわかり、予想される課題や解決策を知ることができ、寄り添う本を作ろうと決意しました。

―離婚件数が年間に22万件以上(2017年厚生労働省 人口動態統計)に上るにも関わらず、何故今までこのような図書がなかったのでしょうか。

田中さん そうなのです。相談先一覧などは行政の機関などで用意されている場合もありましたが、プレシングルマザーが求めていることは、「これから何がおこるのか」「どのような備えが必要なのか」経験談による具体的な事例や解決策、予想される起こりうる問題まで網羅していないと、実際に「助け」にはならないと思ったのです。

そして、読みやすく誰にでも手に取ってもらえるようなデザインが不可欠だと思い探し当てたのが、issue+design(特定非営利活動法人イシュープラスデザイン)です。社会的課題に市民の創造力、デザインで解決を目指すこの法人に出会えたことが転機でした。

 

プレシングルマザー手帖の出版へ

 

プレシングルマザー手帖紹介記事はこちら

 

―プ反響はいかがですか。

田中さん 現在は、巻末の問い合わせ情報のみが違う内容で静岡版は私が、全国版はissue+designが販売しています。有難いことに多くの注文をいただいており、千冊以上を届けてきました。

画像:田中志保さん

 

―どのような方に手に取っていただきたいですか。

田中さん プレシングルマザーのための情報本ですので、当事者の方にはもちろんですが、希望として広く一般の方に読んでもらいたいと思っています。いまや、離婚は特別なことではありません。いつ自分が、娘が、家族が、友人がそうなるかもしれない。男性にも知ってもらいたいと思います。

 

離婚した家庭の子どもへの調査

 

―調査を始められて、ご自身の変化はありましたか。

田中さん 離婚する前のプレ期に感じた不安やモヤモヤした気持ちは、調査を進めると社会的構造によるものだと気付いたので、これは「世の中を変えていきたい」という決意に繋がりました。

しかし、離婚するという決断を子供がどう受け止めるのか、これだけはモヤモヤが解消されませんでした。漠然と子どもに不利益を敷いているのではないか、経済的理由から学業を断念させるのではないか、多くのプレシングルマザーが悩むポイントです。

これは親に聞いても分からないので、親が離婚をした経験のある子ども達と座談会を開き本音を伺いました。

―どのような意見が集まりましたか。

田中さん 学金を利用し、苦労しているという話もあり今後の課題もたくさん気付きましたが、ひとり親に育ったこともからのメッセージは、母親が心配するような悲しいものではなく皆前向きな意見でとても励まされます。

ひとり親で申し訳ないと思わないで欲しい、もっと子どもに頼って欲しい、子どもはいつだって親の役に立ちたいと思っているというような感動する内容も多くあり、離婚相談、シングルマザーの就労相談等の場でも応援メッセ―ジとしてよくご紹介しています。

―今後の活動予定を教えてください。

田中さん もっと一般の方にひとり親について知ってもらいたいと思っています。離婚率が約35%の我が国で、ひとり親はいまや「普通のこと」。今までのように“シングルマザー”を特別扱いや、偏見を持って異質な存在として見る“肩書き=シングルマザー”はもう時代遅れです。

ひとり親ではない人にも、ひとり親やシングルマザーの知識を持ってもらうことで、社会全体が変わっていくのではないか、シングルマザーという1つの生き方を選択した人間として普通に生活を営む。そのように広げていきたいですね。

―プレシングルマザーやシングルマザーの方に応援メッセージをお願いします。

田中さん 私は離婚を経験して、自分を大切にすることを学びました。自分に素直じゃないと後悔するし、子どもにしわ寄せがきます。自分の気持ちを裏切らないでいたい。甘えられる所には甘えて、自分のできること以上に無理はしないことも大切です。子育てにはひとり親だからこその悩みは多くありますが、子どもの感覚や意見を尊重し、「皆と一緒」の考えを無理強いしないように心がけています。

「私も子どもも自分らしく」これが私のモットーでもあり、応援メッセージです!

 

 

Profile

田中 志保さん
シングルペアレント101代表
離婚前後のひとり親に情報提供、食料提供を行う。離婚を考える母親のための『プレシングルマザー手帖』著。静岡市母子寡婦福祉会職員として「ひとり親家庭相談窓口」を担当、シングルマザーだけでなく、支援者に向けた講演を数多く行う。 

 

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