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シングルマザーの住まいに関するアンケート調査結果からみえたもの

大家さんが直接入居者を募集するお部屋探しサイト「ウチコミ!」では、不動産屋さんに行かずに大家さんと直接相談できること、仲介手数料無料で部屋を借りることができることなどから、シングルマザーからの問い合わせが多く寄せられています。そこで「ウチコミ!」と「シンママStyle」ではシングルマザーの居住問題を把握するために横浜市と連携している当事者団体に協力を得て、東京都・神奈川県のひとり親家庭を対象に2019年2月20日~3月20日の期間でアンケート調査を行いました(有効回答数:51)。

 

アンケート結果は以下の通りです。

 

■Q1. 住まいを探すときに外せない条件はありますか(複数回答可)

※数値は回答数

 

 

シングルマザーが最も重要視しているのは、住みたい地域や利便性よりも「予算の範囲内の家賃」であることが分かりました。

 

■Q2. 住まいを探すときのひと月の家賃の予算はいくらくらいですか

 

 

では、「予算の範囲内の家賃」とはどれくらいの賃料なのでしょうか。家賃相場の比較的高い東京都・神奈川県でのアンケートということもあり、希望家賃は5万円~8万円の割合が全体の74%を占める結果となりました。

 

■Q3. 住まいを探すときに物件の形態の希望はありますか

 

 

マンションを希望するという回答が4割を占めましたが、「希望はない」という回答も。

 

■Q4.住まい探しで困ったことはどんなことですか(複数回答可)

※数値は回答数

 

 

家賃の高さや、敷金、礼金、引っ越し費用など、金銭的な問題がとくに多いことが分かりました。また、「ひとり親」ということで物件を紹介してもらえなかった、入居を断られたという回答も。シングルマザーの部屋探しが簡単ではないことが伺えます。

 

■Q5.妥協した条件はありますか

 

 

「住みたい地域」や「利便性」を諦めた方が多いようです。

 

■Q6.  Q5の条件を妥協したのはどんな理由ですか(自由記述・原文ママ)

 

「学区を変えたくなくて家賃が5万円ほどオーバーした」

「安さが条件だったので古く汚く設備が充実していない住宅で妥協した」

「安い家賃では全てを大幅に妥協しなければ無理だった」

 

というような金銭的問題や

 

「部屋探しを諦めた」

「金銭的に難しいので実家に帰った」

 

といったように部屋探しそのものを諦めたという声も。

そのほかに 、

 

「引っ越しを迫られている中、決めるしかなかったから」

「DV夫の監視の中、体力気力、子どもの学校などの条件から自力で契約できる唯一の物件だったから」

 

という選択肢がないなかで部屋探しをせざるを得なかった状況が見受けられます。

 

■Q7.引っ越し・引っ越し後に困ったことについて(自由記述・原文ママ)

 

「ひとり親であること、かつこちらが提示した条件が合わずに紹介してもらえなかった」

「シングルマザーということでの偏見、特約(条件)を付けられた」

「上の階の騒音が凄い。寝られないので転居をしたいが引っ越しする余裕がないので我慢している」

「給湯器がないので冬場の洗い物がつらい」

「窓が古く隙間風が寒い」

「換気が悪くかびだらけになる。子どもの体に影響がありそうで心配」

 

など、ひとり親というハンデで偏見をもたれたり、設備や築年数を妥協することで生活に支障をきたしているといった回答も多くみられました。

 

「アパート2階なので、子どもの音で下の住人が怒鳴り込みに来た。それから神経質になっています」

「子どもがいて、騒いだら出て行くという特約をつけられた」

「防犯面から上階が良かったが、子どもが小さくて1階しか貸してもらえなかった」

 

という小さな子どもと住む家を見つける苦労や

 

「貯金があっても収入が低く借りにくかった」

「シングルマザーで非正規社員というと断られた」

 

という無職や非正規社員での部屋探しの難しさがあらわれる結果となりました。

 

Q8 住まいに関する意見や部屋探をするシングルマザーへのアドバイス

(自由記述・原文ママ)

 

◇住まいに関する意見

 

「母子支援施設も、DV にあっていても入居待ちで、児童相談所、区役所に何度も住居を相談しても、入れませんでした。家と子供を預ける場所があれば、働ける人はたくさんいると思います。家を追い出されてしまうという切迫した状況でしたので、まずは安心して入居できる場所を欲しかったです」

 

「実家に住んでいるが父が亡くなり、母の年金も少なく私の負担が大きくなり、外で暮らしたほうがよいのではないかと経済的に困っている」

「DVだけどシェルターに入れず自力で探した」

「家賃が高く、家を借りられず実家に帰ったが、両親が同一世帯とみなされ、手当は受けられない。どうにかならないか」

「市営住宅に住んでいるが、収入がすこし増えたら家賃が1万5千円も上がり生活が苦しい」

 

◇部屋探しをするシングルマザーへのアドバイス

 

「1回の内覧で決めず、時間帯を変えて見に行く、悪天候の時にも様子を見に行ってみる」

「必ず内見すること」

「朝昼夜内見する」

 

緊急性から、内見せずに住まいを決めてしまったり、不動産屋さんに進められるがまま選択し、住んでみるとまったく違うという状況もあるようで、「内見をする」というアドバイスが多く寄せられました。ほかにも

 

「敷金・礼金が高い、家賃だけで決めないように」

「無理して借りるとすぐに家賃滞納になり、払えなくなる」

 

という経験上の資金面での助言や

 

「LPガスはガス代が3〜4倍になる。先に確認したほうがよい」

「自治会費を聞いておく」

「治安、学校の環境を調べておく」

「子育て世代が多い地域がおすすめ。騒音に理解がないと苦情がくる」

 

などの土地勘がない所や新たな住まいでの思わぬ苦労や出費を未然に防ぐアドバイスが寄せられました。

 

【まとめ】

 

今回のアンケート結果では、ひとり親家庭の住まい探しは容易ではなく、様々な問題を抱えていることが分かりました。

 

悩みは多岐にわたるものの、費用に関わるものが最も多く、支払い可能な家賃と実際の家賃相場のズレが大きいことから、妥協した暮らしをしていることが顕著に表れています。

 

また、緊急性から時間をかけて選べず、家賃の安さを重視して借りることで引っ越し後に様々な問題を抱え、かつ高額になる引っ越し費用や敷金・礼金などを準備することは難しいことから、我慢をしてそのまま暮らしているケースも多いようです。

 

さらにひとり親の住まい探しは、通常の不動産会社を経由して賃貸をするにはハードルが高く、 費用面、条件面、偏見などから「借りたいけど借りられない」「自立したいけどできない」と実家に戻るケース、そして実家で暮らすと手当が受給できないなどといった別の問題が起きていることが分かります。

 

住まいが整わないことは、それによって生活が破綻し、さまざまな問題や子どもの発育や学習にも影響を及ぼします。

 

シングルマザーにおける住まいの選択肢は限定的です。ひとり親家庭の住まいに関する問題の早急な解決が求められていると言えます。

 

 

(文/浦邊 真理子)