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離婚したことに罪悪感をもたず恐れずにチャレンジしてほしい

 

神戸市ひとり親家庭支援センターで就業相談員・広報を担当する相神ゆり氏は、アロマセラピストとしてアロマテラピーサロンの主宰、アロマセミナー講師としても活動する。

 

キャリア支援では ひとり親から、プレシングルマザーに至るまで親身に寄り添い、ハローワークとの連携を強め、その信頼は厚い。自身もシングルマザー、キャリアウーマンとして懸命に生きてきた。そして今、様々な方向からシングルマザー・女性に寄り添い、サポートすることに全力をかけて取り組む相神氏に想いを伺った。

(取材・文・浦邊真理子)

 

アロマセラピストとして、ひとり親就業相談員として、シングルマザーに寄り添い 点と点を繋げる活動

 

―自己紹介をお願いします。

相神さん 相神ゆりです。19歳の息子を持つシングルマザーです。神戸市のひとり親支援活動、アロマテラピストとしてサロンワークやワークショップの講師をしています。この春からは大学の非常勤講師、大きく分けて3種類の仕事をしています。

―神戸市ひとり親家庭支援就業相談員はどのようなことをされているのですか。

相神さん シングルマザーや離婚を考えているプレシングルマザーの無料就業相談を受けています。就業のための「初心者向け マンツーマンパソコン講座」の指導も行い、立ち上がる力をつけ、その方が気付いていない能力を見つけ、自立に向けよりよい就職をするためのサポートを行っています。

―色々なお仕事を兼務されていますね。

相神さん 私は息子が1歳半の時に離婚をしました。それまでバリバリ働きキャリアを積み重ねていましたが、妊娠出産で育児休暇、育休からの復帰、離婚し一人で育児しながら働くことでキャリアに悩んだ経験があります。

21年務めた企業は、小売業でした。出産前まではバイヤーとして働いていましたが、残業や出張も多いので、子どもを預けて働くなか、外回りで定時に帰れる仕事に変わりました。子どもはよく熱を出しましたが、個人の数値目標の部署だったので周りに迷惑をかけることはないという面では気が楽でした。休んだら人の2倍も3倍も必死にがんばりました。

成果を上げその後、「店舗の」幹部候補生になるのですが、夕方の一番忙しい時間に帰らなくてはいけない。日曜は保育園が休みの為、毎週は出勤できません。「すみません」と頭をさげるばかり、現場で働き、忙しい時間に居てくれるパートさんのほうが役に立つのではないか、問題意識を持って取り組もうとしても言える立場ではないような空気が辛く感じました。

ある年の瀬、1年で一番繁忙期の日の朝のことです。早朝5時に電話が鳴り、急遽いつもより早く出勤しなければならなくなりました。5歳の息子を預けるために急かすなか、家の前で子どもがタクシーにぶつかって救急車で運ばれる事態が起こりました。頭が真っ白になりました。命に別状はありませんでしたが、その日一日休んだものの、翌日には子どもを置いて出勤しなくてはなりません。

この日の事は、今思い出しても胸が締め付けられるような思いで、悔やんでも悔やみきれません。医者には交通事故との因果関係はないと言われましたが、耳の聞こえが悪くなってしまったのです。

辞めて別の仕事を探そうか、とても悩んだ時期でした。そうして懸命に働きながら、キャリアとしては止まったと感じていました。

 

突然の母の死と息子の不登校

 

―小さな子どもがいて一家の大黒柱として働くシングルマザーには、育児との両立が本当に難しい問題ですよね。

相神さん その後、検査機関の広報の配属になり子供との時間も取れるようになりました。子どもが中学生になった時、事業戦略部門のWebマーケティングのアプリ開発のプロジェクトリーダーを任されました。息子も中学生だから「もう大丈夫」と思って仕事にあけくれました。

やりがいを感じながらも忙しく、プレッシャーがかかる仕事で帰宅は深夜に及ぶ日々。余裕がなくなり子どもと一緒にいる時間が短いのに、気付くと息子を怒っていました。

―過労がイライラに繋がってしまったのですね。

相神さん 優しくてあまりわがままも言わない、私を労わってくれる子どもでした。中学2年生の冬休み明け、熱っぽいと休んだことから不登校が始まりました。当時流行っていたスマホゲームで昼夜逆転し、冬休み中、部活に行けていないなどのサインはあったのに、多忙さに気が付けていなかったと思います。

その1年ほど前に大好きな母の突然の死、ハードワークで私自身も体調を崩し心身がいっぱいいっぱいの状態でした。それに息子の不登校。「私は何の為に、こんなに頑張って働いてきたんだろう」「子どもと幸せになるためだったはず」仕事を辞めようと思ったきっかけでした。

―シングルマザーの状態で仕事を辞めるとは大きな決断ですね。

相神さん 会社には、このプロジェクトが終わったら退職したいと伝えました。もちろん、周りからは止められました(笑)次の仕事も決まっていないのに、子どもを抱えてこれから教育費もかかるのに、何を考えているのかと心配されました。ただ私の中では「やるべき事はやった」と扉がパタンと閉まる音が聞こえた気がしました。

 

息子と向き合う 不登校と向き合う

 

―そこから、どうされたのですか。

相神さん 息子に向き合いました。それは自分と向き合う時間にもなりました。私は不登校に至るサインが受け止められていなかった不登校は怠けているのでも我儘でもないんです。本人が一番辛い、したくてもできない、どうしてよいのか分からない。不登校の子どもたちは言葉で表現できないから行動にでているのに、言葉で説得しようとしても解決しません。部屋に閉じこもりご飯を食べているのか分からない時もありました。

自然に明るく接して、自信をなくし閉じている心が開くのを待ちました。そして退社後は好きなことを一緒に体験するために信州の山に登ったりして2人の時間を過ごしました。もちろん最初は葛藤しましたが、不登校だから悪いのではない。「みんな一緒でなくてよい」と気づけた事は私にとっても大きな財産です。

集団生活が苦手な人だっている。息子は性格も優しく、今では掃除・洗濯など家事もこなし、夕食も作ってくれます。ロードバイクに乗って他府県にいくことも。体力もあります。でも人と関わることに苦手意識を持ってしまった。その子その子のリズムがあるのだから、それに適した学校や仕事を選択すればよいと分かりました。

 

アロマテラピーとの出会い

 

―アロマテラピー講師となられたきっかけは?

相神さん 2014年5月に退職したのですが、仕事を辞めるころの疲弊した状態のときに、ある精油を香った時にはらはらと涙がこぼれ落ちたんです。無意識に背負っていた鎧がはずれたような感覚でした。私の心と身体は、こんなにがちがちに硬くなっていたのだと気づきました。

アロマの力で自分がニュートラルで やわらかでバランスが取れた状態になれる。心を解きほぐすアロマテラピーに惹かれ、本格的に学ぶきっかけになりました。

亡くなった母はマクロビオテック料理研究家でした。よくハーブティーを淹れてくれ、ハーブの力を上手に使っていました。大学時代フランスに滞在していた時にアロマとの出会いもあり、私の人生にアロマテラピーが、深くかかわっていることを再認識しました。アロマとの出会いで私自身も元気を取り戻しました。

私自身がアロマに助けられたので、現在もサロンでのトリートメントワークを重視しています。

辛い状況にある人に、時間をかけてカウンセリングした後、アロマトリートメントをすると、心がほぐれ表情がぱっと明るく元気になり、身体が変わると心も変わるという事を目の当たりにします。話を聞くこと、アロマの力で癒すこと、どちらも大切なサポートだと感じます。

 

経験と自分に出来ることを繋げて。女性をサポートする第二ステージへ

 

―アロマセラピストの誕生ですね。そこから、お仕事はどうされたのですか。

相神さん 手探り状態で、女性の起業セミナーや様々な勉強会に参加しました。その中で、アロマ講座の機会をいただいたり、公共機関やパナソニックセンターなど企業からも声をかけてもらうことが増えました。

私自身の体験がアロマを通してストレスケアのセミナーに繋がるなんて、人生面白いなと感じます。アロマセミナーで、シングルマザーや学校の先生、普段頑張っている参加者の方が自分に合った香りに出会って笑顔になるのを見るのが大好き!私にとってアロマと関わる時間は、とても幸せな時間です。

また、同時に2016年兵庫県の女性活躍推進センター発足当時に女性活躍推進専門員としても活動します。今までの経験を活かす機会だと声をかけていただきました。女性が働きやすい環境の実現のために企業を訪問し、状況をヒアリングします。

結婚・出産とライフサイクルの変化が仕事に大きく影響する女性にとって、キャリアを諦めたり、あるいはキャリアを保ったまま継続することは様々なことを犠牲にしなくてはならないことがあります。

女性にとっても企業にとっても、まずは継続就労が大切です。業種によっても課題は様々ですが、管理職の方には意識改革、セクハラ・パワハラ研修を、女性が多い職場にはコミュニケーションやキャリア形成などの研修を行ってきました。

 

人生の一番大変な時に立ち会わせてもらう責任感と喜び

 

―その後、神戸市のひとり親家庭支援センターの就業相談員に就かれるのですね。

相神さん 2017年から始め、今年で3年目になります。私自身がシングルマザーとして悩みながら子育てと仕事を両立してきた経験、また多くの企業と仕事をしてきた経験は相談者への助言に大きく役立っています。

自分で仕事を探せる人は、きっと「ひとり親就業相談」には来ないと思うんですね。自信を無くし不安でいっぱいの状態で、どうしたらいいか分からないという思いで相談に来られます。

離婚を悩んでいる時、離婚したばかりの辛い状態の時にかけられた言葉は、良くも悪くも心に残ります。とても責任のある立場だということを常に心に留めて、寄り添います。自己分析をし、気持ちを整理しながら勇気をもって就活し、仕事が決まったときは、本当に嬉しいです。お手紙をもらうこともありますが、あの時、相神さんに相談できてよかったと言われると胸が熱くなります。大変な時を乗り越えて、前を見て明るい未来を歩み始められる姿にこちらが感動を貰っています。その方の人生の一番大変な時に支援できる、立ち会わせてもらっている仕事だと思います。

―神戸市の相談件数も伸びていると伺います。

相神さん 月1回の各区役所の就業相談とパソコン講座で年間約300名来られます。以前はHPも十分ではなく、リーフレットもありませんでした。相談事業をもっと必要な方に知ってもらうために、広報部門がないと気づき、HPをリニューアルしFacebookページを作成しました。

その結果、スマホなどでインターネット検索して申し込まれる方がとても増えました。パソコンの初期操作、Excel、Wordのマンツーマン講座を実施している事もとても喜ばれています。

就職に向けてはハローワークとの連携をさらに強化しました。両者で履歴書・職務経歴書の書き方、面接対策など手厚くサポートしていきます40代、50代の専業主婦だった方が離婚後、資格取得をし正社員になったケースもあります。諦めないでほしいですね。

―相談をうけていて、問題に思うことは何ですか。

相神さん DV被害の深さを感じます。「避難して、離婚して、終わり」ではなく、その後も続くPTSD、子どもへの影響は深刻です。被害者であった子どもが暴力的になるケースも少なくありません。DV被害者と子どものケア、適切に伝えていく教育の場など社会がどう関わるかが今後の課題だと思います。

―最後に、読者にメッセージをお願いします。

相神さん 私のポリシーは「その時はどん底だと思っても、必ず糧になっている」です。離婚したとき、「この子と幸せになる」と決めてされるのではないでしょうか。罪悪感をもつ必要はない。幸せになるために小さな一歩でもよい、人を頼ってもよい、今なにができるかを考えましょう。

そして一生懸命やっていると、必ず見てくださっている方がいます。その時は大変で分からなくても、後になると点と点で全て繋がっているのです。21年働いてきた仕事、アロマ、女性活躍推進専門員、就業相談員と広報、大学の非常勤と川のように繋がっていて、出会った方、ご縁に感謝しています。

今3、4足の草鞋を履いた仕事をしていますが、私にとって、アロマの感覚が軸でいろんな仕事に活かされています。このような相乗効果、マルチタスクな働き方をする人が今後ますます増えていくのではと思っています。

そうそう、一生懸命と言いましたが、1日のうち少しでも、ホッとする時間を取ってくださいね。好きなことをして、リラックスをした時こそ、良いアイデアが浮かびますし、何より子供はお母さんの笑顔が一番好きなのです。一度しかない人生、ぜひやりたい事にチャレンジしてください!

 


その場で調合作ってくださったアロマスプレー

 

(編集後記)
相神氏との出会いは神戸市への取材で広報として担当して頂いたことがきっかけでした。カウンセラーとして全て包み込むような、何でも話せるような優しさに溢れていました。講演者としての活躍を伺っても、キャリア相談員としてのお話しも「この方だからだな」と思える魅力。離婚経験だけでなく、我が子の不登校も経験しているからこその優しさなのかと取材を通して納得しました。

取材時にプレゼントしてくださったバスソルトやアロマスプレーは、心を癒し、湧きおこる喜びとリラックス感を与えてくれました。ぜひお近くの方は相神氏のアロマ講座に立ち寄ってみてくださいね。お勧めです。自然の力をかりた『自分に優しくする』方法。毎日忙しく、ストレスも多い読者の皆さんに取り入れてもらいたいなと思いました。

 

 

Profile

相神ゆりさん

大阪府出身 神戸市在住 大阪淀屋橋にてアロマテラピーサロン『アーブル ドゥ レスポワール』(仏語で希望の樹という意味)主催

アーブル ドゥ レスポワール
大阪市中央区伏見町3-1-1 淀屋橋アップルタワーレジデンス

https://arbre-aroma.com

神戸市ひとり親家庭支援センター
http://kobe-hitorioyashien.com/