• HOME
  • 特集
  • しがらみゼロ、経験ゼロ、資金ゼロ シングルマザーの選挙戦~西村静恵氏インタビュー(中編)

しがらみゼロ、経験ゼロ、資金ゼロ シングルマザーの選挙戦~西村静恵氏インタビュー(中編)

(前編はこちら

(後編はこちら

 

選挙への出馬。選挙前に想像したものと、見えた世界は全く違っていた
選挙に出て初めて見えた世界

 

―4月21日の近江八幡市議会選挙が終わって落ち着き、今何を思いますか。

西村さん 全然落ち着いていないです(笑)。選挙の経験から、やりたいこと、やるべきことが次々に見えてきて選挙前よりも闘志が燃えているほどです。選挙に立候補してよかったと心から思っていますし、あれやこれをやればよかったなど後悔は全くしていません。

―次の選挙には立候補される予定は?

西村さん 今は全く白紙です。もともと政治家になりたかったのではなく、世の中、未来を変えたかった一心でした。なぜここまで動いてきたかは単に、何か変える為には少しでも動かないと変わらないからです。なにより外国へ逃げるお金もない自分は、今住んでいる【ここ】をすこしでも良くするしかありません。

選挙に出て見えた風景は、想像していたものとは全く違いました。ある程度の古い体質、しがらみ、組織は想像していました。しかし、それ以上であり、全く想像にさえできないものでした。

―ほぼ男性しかいない議会、歴史ある保守的な土地、近江八幡という商売人気質の土地での選挙戦の過酷さは想像できます。

西村さん 選挙戦では色々な風景を見ました。お金もない人脈もない、経験もない、何もない中で、立候補を決めた時にたくさんの方から「あなた組織票もっているの?」「何もなくて闘えるほど甘くないよ」とアドバイスされました。

組織票がなければ選挙にたてないのでしょうか。

でも実際街頭演説などで会う方は議会への不満を語られる方も多く、涙を流して応援してくださる方の声を聴き、「やっと市民の声が届く」と言っていただいた。なのに、自由な投票ができないしがらみ、組織その力は大きく、新参者の何も知らない私には分からなかった。

皆、自分の望む通りに投票できると思っていたし、選挙権は尊く清き一票と思っていたのです。


自分の足で、声で伝えた選挙運動

皆が自分たちの代表は自分で選ぶために選挙に行っていると思っていました。理想論と言われるかもしれませんが、本来の選挙は「自分たちの代表を選ぶ」こと【権利】なのだと信じています。

自分の選んだ人が実は「組織」で守られていて、当選させてもらった恩を感じているから、「組織」から何をお願いされても逆らえない状態にいる。こんな状態が跋扈している世界を見ました。だから私が市民として相談や訴えに行ったとき、政治家自身は良い人そうなのに、親身に聞いてくれるのに、誰も何も動いてくれなかったのだと分かったのです。

助けたくても助けられない、自分の活動に決定権はない。そんな政治家が必要なのでしょうか。何の苦労もしていなくて、現場を見ていなくて、ただ代々政治家家系とか、地盤、組織票があるというだけで当選する地域がこの国にはまだまだ存在しています。

緊迫な問題が話し合われている、現実的と直面する場に政治家は来ていません。お祭りやイベントには居ても、市民が抱える問題に寄り添う場所にいません。

でもだからと言って諦めたくはないのです。誰かが最初に扉を打ち破るようにぶつかっていかないと変わらない、今回その一歩になれたのではないかと思います。

 

それでも政治にはまだ希望も可能性もある

 

―選挙のスローガンにもされていた「女性の力」とは何だと考えますか。

西村さん 直観力、命につながる問題をかぎ分ける力、そして、これは違うと思ったら180度軌道修正できる決断力でしょうか。

―一般的に言われる女性の長所、特性とは異なり新鮮です。西村氏の言葉は言語化されていない「心でキャッチした言葉」のようですね。

西村さん 私は当たり前に使われている行儀のよい言葉で発信するのが苦手で、 “リアル”な言葉を選びたい。よく分かりにくいとも言われます。政治家になるためにはパフォーマンスの為に適切な言語化するように言われもしますが、当たり前の言葉で美辞麗句をならべるより、自身の声が伝わるのではないでしょうか。

―政治家というのは、本当は私たちの声をまとめる人ですよね。「子どもたちに明るい未来を」「女性活躍の社会を」と選挙ポスターに書かれていても市民には「どういう風に?」と全くわかりません。抽象的で当たり障りない言葉より生きている言葉のほうが伝わるように思います。普段着、ありのまま繕うことなく選挙活動をされていましたね。

西村さん はい(笑)。選挙のために自分を変えることに抵抗がありました。一番偽ってはいけないところで、皆偽っている。私はそれだけはしないと思っています。

―選挙ポスターの貼られた掲示板を見ていてもいつも不思議です。なぜ誰も意見しないのかと。

西村さん 私の支援者が作成してくれたポスターは横向きです。髪もメッシュが入っていますし意見は真二つに割れ「あり得ない」とも散々言われました。


選挙ポスターに使用された画像

―政治家の選挙ポスターは前向き、黒髪、短髪、白い歯、笑顔、白シャツ、ガッツポーズ、修正加工しすぎてわからない人もいますね。ポスターには○○党公認、医師会公認と後押判子が押されていて、卒業大学、自慢のような経歴が網羅されているものもありますね。選挙ってそういうバックグラウンドで選ぶものだろうかと、いつも選挙のポスターの前で悩んでいました。

西村さん 男性目線で考えられた男性の為の選挙だからだと思います。「名前を覚えてもらう」ことを考えた時に、女性の親しみのある声で連呼することで票につながるとウグイス嬢なる言葉もあり、慣習的にされてきています。でも名前でなく政策、実行力が問われる時代に来たと思います。

―政政治家の街頭演説も好きじゃないですね。選挙の時だけ腰が低くて余計に信用できない。街宣車なんて見てもいないし、手を振ってもいないのに、見てもいないのに「手を振っての応援ありがとうございます!頑張ります」なんて平気で言って走り去る。信用できませんよね。

西村さん 立候補者も多種多様な人が必要です。シングルマザーが一人も居ないなか、シングルマザーの為の支援策を考えるから、届かない支援が多いのだと思います。

生活に余裕があって政治のことを考えているのと、生活が厳しい中で本当に政治のことを考えているのは違う。良いことばかり言って、踵を返すように冷たい仕打ちをしてくる人もいっぱい見てきました。困っている人のことを自分の体験からも知っている人が一人もいない議会は問題だと思います。

―お金、しがらみ、パワーの政治はどんどん終わってきています。

西村さん そう願います。選挙に際しての個別の挨拶や金銭授受もつい数十年前まで普通に行われていたことです。変化している。私が今回選挙に出ることが出来たのも公職選挙法に守られ、金銭・物品授受が禁止されている今の時代だったからと思いました。

―金銭、物品授受もついこないだまで日常的にありましたからね、今はSNSの規制もあり、日々選挙も変わっています。

西村さん 選挙の投票率は約5割でした。あと5割の人が選挙に行っていないということですよね。どうしたら声を届けられるかばかりを考えています。

―政治は身内で勝手に行われているもの」「世襲制」「何も変わらない」と思っている市民が、動けば変わると実感できることが必要なのではないでしょうか。

西村さん 政治が人の生活を左右しているのに見えない壁でごまかされています。今、選挙もこの近江八幡も変わるときに来ています。そのためにも、市民レベルの活動を止めずに訴え続けます。

 

後編へつづく》
後編では西村氏のパワーの源、生い立ち、子育てについて迫ります。

 

Profile

西村静恵さん

娘・息子をもつシングルマザー
1973.7生まれ
滋賀県近江八幡市に育つ
高校・大学ピアノを専門的に学ぶ
2013.05ひとつぶてんとう園を自主保育として設立
2019.04統一地方選挙立候補(次点にて落選)