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「1人の100歩より100人の1歩」が児童虐待死をゼロにする。「ゼロ会議」第二回会議レポート
2019年2月に大阪市の市民団体主導によって始まった「ゼロ会議」。(※前回の記事はこちら)「ゼロ会議」とは、全国ワーストである大阪市の虐待死数を2021年に0人を目的とする民間運動です。30名以上の団体、有志が集い、虐待死ゼロを目標に「なんとかせんとあかん」と動き出したのがこの「ゼロ会議」。
第一回目会議は平日日中にもかかわらず300名を超す参加者があり、世間の関心の高さがうかがわれました。開催されたのは、不幸にも千葉県野田市の心愛ちゃん虐待死事件の直後でメディアの注目も大きかったことも一因でしょう。
三ヵ月が経ち、虐待死ニュースの続報はあれど、心愛ちゃん事件直後のような加熱ぶりは落ち着きました。「ゼロ会議」が全12回の開催を予定されているなか、第二回目も継続して参加者が集まっているのでしょうか。
一回目の会議では、どのような趣旨でなぜ始動したのか、掲げる目標やそして講演会では理事である島田妙子氏の壮絶な虐待の経験が語られ、参加者に気づきを与え、熱い想いが伝えられました。
第二回目はどのような会議なのか、どう進んでいるのか大変興味がありました。参加レポートを掲載します。(取材・文:浦邊真理子)
しんどい子育て「話を聞くで」が虐待をゼロにする。
「きくで」は誰にでもできること。そして一番の解決法
この第二回会議では、子育てアナリストの田中健太氏が講演をされました。田中氏は一昨年離婚し、現在独身であり子育て中の親ではありません。そんな方が何故?虐待されて育った人なの?と思った人も多くいたかもしれません。
田中氏も「子どものいない自分に何かできるのだろうか?」、「関係者ではないのに口を出してよいのか」と悩んだこともあったそう。専門であるカウンセリング等で、たくさんの親の話を聞き、悩み相談を受け、出した結論が「誰もが人のチカラになれるんやで!!」でした。
しかし、関わるということは、とても難しいことに思えます。もしかして虐待が行われているのかな?と思ってもアクションするには、事が重大すぎ、責任が重すぎで、「本当に自分にできることがあるのか?」「変に関わってはいけないのではないか」「人の家庭に口出ししていいのか」と感じると方も多いのが現状でしょう。
そのように思っている人たちの背中を押したい、少しでも力になりたいと考えている、すべての人に伝えたいという思いで講演をされていました。
田中氏は「私たち人間は『ひと』の『あいだ』と書きます。つまり、人と人のあいだで生きている生物であり、関係性が大切なのであり、『親』という肩書の前に、私たちは人間なのです。」と訴えています。
自分に子どもがいるかどうかなんて、そこには関係ない世界なのではないか、誰もが他人事ではなく、自分の身の回りを見渡したときに、自分にもできることがあるのではないか。虐待だけでなく、それは「きくで」のパワーであると語っていました。「きくで」はゼロ会議のスローガンです。
「1人の100歩より100人の1歩」が児童虐待死をゼロにする
第二章では、第一回会議でも公演された島田妙子氏と主催者の浜辺拡臣氏のトークを中心に進みます。浜辺氏が考える「虐待防止だからこそ暗く深刻でなく、笑いながら解決」を体現する大阪らしい朗らかなトークが繰り広げられるなか、前回より発展した話が続きました。
大きな悩みを抱えている、虐待をしている状態の親は「きくで」と言われても簡単に告白できるような心理状態ではないことは理解ができます。信頼関係を築いても、「話を聞いてほしい」といわれてもなお、告白することは大変難しいことを経験談を交え紹介されました。
もし告白して否定されたら、受け入れられなかったら崩れて壊れて落ちてしまいそうな心理状態にいる加害者であり、被害者でもあります。根気強く待ち、「きくで」の姿勢を自然体に行うことなどが推奨されました。
今回、具体的に提示されたこととして、
「きくで」が必要なのはわかった。次に、「ではどうしたらよいか」という3ステップでした。(緊急性が高い場合は、児童相談所や警察にすぐ連絡すること)
① (きくで)自分の周りの親の悩みを聞いて、
② (一緒に)解決する方法を一緒に探し、
③ (寄り添う)民間や行政の相談窓口や、電話相談を一緒に付き添う
そしてポイントは、①(きくで)の時に否定しない、「よく頑張ったね」「よく言ってくれたね」と認める発言で聞くこと。自分や世間と比べない、「昔は~」などはご法度。
②(一緒に)ゼロ会議のサイトに地域別の解決方法が掲載されているので、問い合わせる。③(寄り添う)たた寄り添うだけということ。同行する、一緒にいる、それだけで心強く支えになっているということ。
向こう3軒となりを意識しようというお話も大変現実的だと思いました。広域に目を配ることは難しい。自然にできる範囲で、近所の異変に気付く程度で良い。子どもに「何かあったらおいでよ」の挨拶が出来て、お互い知っていて「避難できる場所」を確保しておく。それだけで虐待死は減少するはずです。
そして、虐待はどの親にも起こり得ることであり「特殊なこと」ではないということ。明日は我が身、いつも隣り合わせのことなのです。暴言はエスカレートする、一度手を出してしまうと、「何故自分が」「どうしてこうなった」と感じながら、そのストレスに暴力はどんどん激しくなる。
そうならない為の一つのアンガーマネージメント法として、①母親が女優になり、怒っている時こそ言葉使いをわざと丁寧にする、②一度離れる、トイレなどでもいいから冷静になれる距離と時間を持つという実践編が紹介されました。我が身も虐待へと流されない方法をも教えてくれる会議なのです。
3ヶ月に1度のゼロ会議は、2時間の中で「きくで」の方法を教えてくれる会議
最後に、質疑応答があり、ワクワクロックンロールバンド『ワタナベフラワー』による、ゼロ会議公式ソング 「ゼロになる」が紹介されました。母親ならホロリとくる歌詞の温かい歌は、これから「きくで」と共に耳にするでしょう。
(画像:関西を中心に大人気のワタナベフラワー/公式サイトより)
「きくで」で親を助け、ちょっと良い世の中に少しずつ変えていく、そして結果児童虐待死防止策になるという、簡単で壮大な計画は、国や行政の取り組みではできないことです。
民間の「このままじゃあかん」の気づき声が、草の根運動となり大阪から世の中を変えていく。一人の100歩より100人の一歩が不幸な親子を無くす。3か月に一度、2時間で「きくで」の方法を教えてくれる会議。ずっとこの会議を開催してほしいと願わずにはいられません。
問い合わせ先:
ゼロ会議:URL https://www.ikuhaku.com/zero/
お問い合わせ先:ゼロ会議運営委員会事務局(一般社団法人日本子育て制度機構内) 06-6282-7815(平日10時~19時)
ゼロ会議facebok ページ:https://www.facebook.com/zerokaigi/
【次回 第3回ゼロ会議予定】
日時:8/27(火)
会場:阿倍野区民センター
時間:14時~
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カテゴリ:特集
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