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ひとり親家庭にきちんと支援が届く制度作りをめざす。シングルマザーは親子がぐっと近くなる瞬間をキャッチして

子どもの貧困、ひとり親家庭の貧困は重要な問題となっています。しかし、とくにシングルマザーの場合は、貧困から抜け出そうと頑張っても抜け出せないケースが多くあります。働く場所がない、資格がない、働く時間がない、その結果おカネがないという悪循環に陥っていくのです。今回、ご登場いただくのは、自らもシングルマザーとして1人息子を育ててきた国民民主党参議院議員の徳永エリさんです。ひとり親家庭の貧困の問題、支援の状況、今後の国の動きなどについて、議員とシングルマザー両方の立場から徳永さんの考えや思い、活動などについてお話をうかがいました。(取材・文/編集部)

 

徳永 エリ(とくなが えり)さん
国民民主党参議院議員。
1962年1月1日北海道札幌市出身。法政大学法学部法律学科(通信教育課程)中退後、テレビリポーターや企画プロデュース会社の役員などを務める。北海道でシングルマザーとして奮闘していたころは、テレビの仕事のほか、結婚式の司会や飲食店経営などにも携わる。2010年10月、第22回参議院議員通常選挙 北海道選挙区で初当選。2016年7月、第24回参議院議員通常選挙 北海道選挙区で二期目当選。現在、28歳となった息子はミュージカル俳優などとして活躍している。

 

0歳から始まった子どもとの二人暮らし

 

―徳永先生もお子さんが小さいときからシングルマザーとして奮闘してきた経験をお持ちだということですが、どのような状況だったのでしょうか。

徳永先生 子どもが2歳のときに離婚しました。しかし、実際には1歳にも満たないころから、子どもと私の二人暮らしは始まっていました。

―お仕事はどうしていましたか。

徳永先生 もともと東京のテレビ局でリポーターの仕事をしていましたが、出産を機に仕事から離れていました。また、シングルマザーになったときには地元の北海道にいましたので、急にテレビの仕事に復帰できるわけでもありません。そこで、結婚式の司会を1日に2~3本受けたり、講演会の講師をしたりしながら、なんとか子育てをしていました。

そのうちに、北海道でも新しいワイドショーが始まるという話がありました。「東京でワイドショーの仕事をやっていた徳永エリが北海道に帰ってきているらしい」ということで声をかけていただきました。その番組は高視聴率番組、長寿番組となり、なんとか生活できるだけの収入を得ることができました。

―お子さんの面倒を見てくれるご家族などが近くにいらっしゃったのですか。

徳永先生 いえ、私の両親も私が小さいときに離婚しています。母が近くにいましたが、病気がちで面倒を頼める状況ではありませんでした。ワイドショーの仕事は早朝から取材が入ることもありますし、予定通りの時間に仕事が終わらないこともあります。そのため、保育園に預けることはもちろんですが、ベビーシッターさんにお願いしなければならないこともたびたびありました。テレビの仕事に復帰して収入はある程度安定しましたが、1ヵ月働いた分がベビーシッター代に消えていくようなこともありました。貯金もどんどん目減りして、やはり生活が楽になったとはいえませんでした。

―母子手当などは受けていましたか。

徳永先生 最初は収入が少なかったので、ひとり親家庭に対する手当や児童手当もいただいていました。しかし、レギュラー番組に出演するようになってからは、そういった手当を受けられないギリギリの収入を得ていたので、それはそれで大変でした。また、フリーランスで仕事をしていたのですが、ベビーシッター代や保育園料は税額控除の対象になりませんでしたし、国民健康保険料もけっこう負担になっていましたね。

 

子育て、介護、女性が働く環境……。問題は複合的に絡み合っている

 

―そういった経験ももとに、現在、国民民主党の議員としてひとり親家庭のためにどのような活動をしていますか。

徳永先生 ひとり親家庭の半分くらいは貧困であるとされています。働きたくても働けないといった状況に陥っている方も多くおり、ひとり親家庭の貧困は深刻な問題です。そういった方々への支援を厚くしていかなければいけないと思っています。

しかし、現在の政権では、貧困と貧困でない家庭の差は、努力していない人と努力している人の差だという考え方をしている部分があります。しかし、私たちは頑張りたくても頑張れないケースがあることを十分に承知しています。ひと口にひとり親家庭といっても、さまざまなケースがあるため、本当に支援を必要としている人にきちんと支援が届く制度を作っていかなければならないと、私たちも努力をしているところです。

―本来は、シングルマザーが支援を受けることなく生活をしていけることが一番いいのだと思います。頑張れない状況にある、支援を必要とする状況の人が増えないためには、具体的にどうしていけばいいいのでしょうか。

徳永先生 一番大切なことは、きちんと仕事ができる時間を確保できて、それなりの生活ができるだけの賃金を得られることです。やはり、パートやアルバイトではなかなか生活は厳しいんです。そのためにも、「保育園の無償化」が決定したことはとってもいいことだと思います。ただし、単純に保育園を無償化しただけでは、問題の解決にならないと思います。

―違った側面からの問題が起きるということでしょうか。

徳永先生 保育園を無償化すれば、これまで保育園に預けなくてもよかった人たちが、「無償なら預けようかな」となるかもしれません。そうすると、今以上に待機児童が増えることになりかねません。すると、本当に働きたいと思っている人が働けないケースも出てくるかもしれません。そのため、本来は保育園無償化よりも待機児童をゼロにすることの方が大切だと考えています。

―その一方で、保育士の給料をなかなか上げることができず、十分な環境を供給できないという問題もあるわけですよね。

徳永先生 そうですね。女性が社会に進出して働くためには、やはり子育ての支援は重要です。そのために待機児童をゼロにしなければならない、保育園を増やさなければならない、保育士の数を増やさなければならない、保育士の給料を上げなければならない、と問題はつながっていきます。しかし、現在はそのとときどきの政策や制度、対象者によって状況がころころ変わっていくために、すべてがいい方向に向かうことがないんですよね。

また、現在は核家族化してしまって、子育てと同様、介護に関しても多くの人が社会的制度の支援を受けなければならない状況になっています。そのため、シングルマザーで子育てしながら、なおかつ親の介護にも直面するケースもあります。すると、ますます仕事に行く時間がなくなる、収入が減っていくという状況に陥っていきます。

しかし、やはり保育士や介護職スタッフの給料は上がらない。その結果、人手が足りない。そして働きたくても働けない人が増えていく。本当にいろいろな問題が複合的に絡み合っているというのが、現在の状況です。

 

女性の働く環境や処遇の改善が求められる

 

―こういった問題を解決するためには、今後、どうしていけばいいのでしょうか。

徳永先生 やはり、女性の働く環境の改善、処遇改善、賃金アップというところにつながると思います。子どもを産んだとしても、介護をしていたとしても、キャリアを継続して働くことができる環境作りが大切なのだと思います。欧米では、育児休業を長く取得できたり、休業中にも休業前と同額の給料を得られたりといった制度が確立されています。こういった欧米のケースを日本は見習っていかなくてはならないと思います。

国内でも、政府よりも制度作りが進んでいる大企業が多くあります。企業の中に保育所を作ったり、育児休業や産前・産後休業をきちんととれる状況にしていたり、さらにはハラスメント防止のマニュアルも各企業でしっかり整えています。こういった大企業の動きに国が早く追いついていかなければならないのではないでしょうか。

―国としてもいろいろな対策を進めているとは思いますが、今、仕事もスキルもない、時間もない、働く場所もないと、悩んでいるシングルマザーの方はどうすればいいでしょうか。

徳永先生 やはり、資格を取ったり、技術を身に付けたりすることは大事だと思います。とはいえ、おカネに余裕がなければ、自分がやりたいことを学ぶ機会もなかなかないのかもしれません。だからこそ、就労支援が必要であり、社会保障費に予算をもっと多く充てなければならないと考えています。

―徳永先生の経験から、シングルマザーに伝えたいことはありますか。

徳永先生 お子さんはひとり親でさみしい思いをしているかもしれません。けれど、一生懸命子育てしていれば、親子がぐっと近くなる瞬間、分かり合える瞬間があると思います。そういう機会を見逃さないで子育てをしていくことが大事なのではないでしょうか。あまり頑張り過ぎず、自分を追い詰めず、できる範囲でやってあげれば、「ママは自分の思いに応えてくれているんだ」とお子さんにも分かってもらえると思います。

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