統合失調症の夫との離婚はできる?

今回は統合失調症の症状と、これを理由にした離婚が可能かどうかについてまとめました。

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今や100人に1人弱がかかると言われている「統合失調症」。精神疾患の一つであり、決して珍しくはない病気です。

 

もしも夫が統合失調症にかかり、家族ではとても支え切れなくなってしまったら離婚は可能なのでしょうか。今回は統合失調症の症状と、これを理由にした離婚が可能かどうかについてまとめました。

 

1.統合失調症とは

 

統合失調症という病名は耳にしたことがあるものの、具体的な症状などは知らない方も多いのではないでしょうか。

 

症状は軽いものから重いものまで様々ですが、簡単に言えば「考えや気持ちがまとまらなくなる状態が続く精神疾患」であり、思春期から40代にかけて発症しやすい病気と言われています。

 

主な症状は、幻覚・妄想のほか、集中力が続かない、無気力症状やまとまりのない行動が現れるなどといったものがあります。

 

平成26年の厚生労働省の調査によると、国内で入院治療を受けている統合失調症患者はおよそ16万6000人、通院治療を受けていない患者を含めるとおよそ77万3000人と推測されています。

 

はっきりとした原因は未だ分かっていませんが、遺伝子的なものや脳の構造、環境の変化、ストレスなどが複雑に影響しあって起こるものと考えられています。原因が明確でない以上、誰にでも降りかかりうる疾患であり、決して他人事ではありません。

 

2.統合失調症を理由にした離婚は難しい

 

夫婦間で離婚の合意ができれば協議離婚という形をとれますが、夫が離婚を拒否した場合、もしくは夫の症状が重く“意思能力が無い”とされる場合は、離婚手続きが難航する可能性があります。

 

協議離婚が成立しなければ調停もしくは裁判に移行することとなりますが、現在の司法では、配偶者の病は夫婦の相互協力義務に基づいて支えていくべきというのが基本的な考えです。夫の精神障害を理由に離婚するには、民法で定められている「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと」に該当する状態であると認めてもらう必要があり、条件としては非常に高いものとなっています。

 

「強度の精神病」とは、夫婦間でコミュニケーションが取れない状態などを指し、重度の統合失調症では十分当てはまり得ます。一方、「回復の見込みがないこと」という部分についてですが、かつては統合失調症は不治の病と考えられていた時がありました。ただし近年は、ある程度リハビリや薬で症状を改善できるとされており、不治の病とは言えなくなっています。

 

このため、統合失調症は民法上の離婚事由に当てはまりにくいものとなっています。

 

3.過去の判例で離婚が認められたケースとは

 

このように、統合失調症を離婚理由にするのは非常に難しいものがありますが、過去の裁判例では離婚が成立した関連ケースがあります。

 

昭和33年7月25日の最高裁の判決によると、統合失調症を「強度の精神病」とした離婚請求は棄却されたものの、民法上の離婚事由の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由がある」に当てはまるとして離婚を認めた事例があります。これは、あくまで配偶者の言動や行いから婚姻生活を継続していくのは難しいと判断されたと言えます。

 

統合失調症を理由にした離婚請求は難しくとも、このように別の切り口から離婚が認められたケースがあるようです。

 

3.離婚手続きの手順

 

これまで述べてきたことからも分かる通り、統合失調症を原因とした離婚は、相手の同意を得られていない限り難しいものがあります。それでも離婚を望むのなら、まずは弁護士をつけることをおすすめします。別のアプローチから離婚を成立させる切り札を見出してくれるかもしれません。

 

協議離婚が整わない場合、相手に意思能力があれば家庭裁判所に調停を申し立てることができます。そして、調停委員の前で今後の結婚生活の継続が難しいことを証明する必要があります。

 

一方、相手に意思能力がない場合は、調停ではなく裁判にて離婚請求を行う必要があります。ただ、この場合は先に相手に成年後見人をつけてもらうための申し立てを行う手続きが必要になります。

 

☆まとめ

 

自分もしくは夫の身にいつか降りかかるかもしれない「統合失調症」という病気。支えてあげたい気持ちはあっても。子供のことを考えたり、自分の許容範囲を超える言動や行動をされた場合は離婚を考えざるを得なくなる場合もあるかと思います。

 

現在の法律では精神疾患による離婚は簡単なことではありませんが、もしものときは弁護士と相談してしっかりと対策を打つことが大切です。

 

 

(文/こまち 画像/123RF)

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