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Dr.杉山伸子コラム たいせつな体の話vol.8「これって更年期でしょうか?」に答えるのは難しい。その訳は?

Dr.杉山伸子

最近、皆さんは産婦人科を受診しましたか。「いいえ」という方が多いかもしれません。「出産後、がん検診以外で行っていない」という方もいらっしゃるでしょう。

産婦人科を受診する理由の一つとして、初めて経験した月経トラブルがあります。例えば、「いつも順調な月経が今月は来ない」「月経が止まらない」「月経の量が今回とても多かった」などです。ただ、「いつも月経が多い」「ずっと前から月経不順である」などの常にある月経トラブルこそ早めに受診して対処してほしいと願いながら、診療をしています。

さて、初めて経験した月経トラブルで受診された40歳代の方からよく聞かれる質問があります。それが「これって更年期でしょうか?」です。確かに、気になりますよね。更年期って、なんでしょうか。

更年期とは、思春期、性成熟期に続くライフステージのひとつで、閉経する時期をはさんだ前後10年間を指します。最後の月経から1年間月経がない時、その最後の月経が閉経になります。閉経するのが50歳前後のため、更年期は45-55歳になります。閉経する年齢は個人差がありますから、更年期も人によってその年齢は前後します。

更年期になると、今まで安定していた女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に低下し始めます。これに伴って、さまざまな身体的、精神的な症状が現れるようになります。これらの症状を更年期症状といい、そのうち日常生活に支障を来すような症状が強いものを更年期障害と呼びます。

したがって、更年期はすべての女性に訪れますが、更年期障害はすべての女性に起こるものではありません。また、症状もその重さも千差万別です。

初めて経験した月経トラブルは、受診をきっかけに子宮筋腫などの病気が見つかることもありますが、多くはホルモンバランスの乱れが原因で起こっています。今まで順調だったとすれば一時的なバランスの乱れである可能性が高いでしょうが、更年期症状として今後も月経トラブルを起こしやすくなるかどうかの判断は容易ではありません。

女性のライフステージを分類する方法としてSTRAW+10分類(表1参照)があります。この分類によると、閉経前の月経周期が大幅に(60日以上)乱れる時期は、多くの場合1-3年持続します。その前にあたる-2期は、その期間に個人差があります。

周期の乱れを伴う月経トラブルは-2期の症状の可能性がありますが、繰り返さなければ-3a期にも起こりうる一時的なトラブルと考えられます。初めて経験した月経トラブルに対する「これって更年期でしょうか?」という質問に答えるには、受診後の経過に基づいた判断が必要なのです。

表1 STRAW+10分類(筆者による翻訳):参考文献(1)から引用改変

ステージ-5初経 ステージ+1a閉経

産婦人科を受診される理由が月経トラブルでない方もいらっしゃいます。めまいがする、肘が痛い、舌がピリピリする、イライラする、眠れない…。実にさまざまな症状で来られます。多くの方が40-60歳代です。そして、お聞きになります。「これって更年期でしょうか?」と。

確かに、更年期障害で出現する症状は多岐にわたります。更年期障害かどうかをチェックできる簡略更年期指数(表2)を見てみましょう。ここにあるだけでも10種類、他の指数ではもっと多くの症状が挙げられています。ですから、産婦人科に関係なさそうな症状でも、更年期障害の治療をすると改善することがあるのです。

ところで、この指数には大切な項目が抜けています。それは月経の状態です。表1で見たように、月経不順があれば閉経前後の可能性がありますが、月経が順調な方や閉経して何年もたった方は、閉経期には該当しません。

月経不順が伴っていれば、更年期障害とみることができますが、安易に「更年期だから」と決めつけてしまうと他の病気を見逃してしまうこともあります。内科や耳鼻科、脳神経外科など、お困りの症状を専門的に診てくれる診療科で検査して何も異常が出なかった場合に、更年期障害を疑ってみましょう。

表1にあるとおり、更年期になるとFSHというホルモンの値が上昇していきます。FSHは、女性ホルモンを出すように、卵巣に命令を送るホルモンです。血液検査でFSHが上昇し、女性ホルモンが減少していれば、更年期パターンです。そのうえで、女性ホルモンを補うことで症状が改善すれば、更年期による症状だと最終的に判断することができます。

月経トラブルではない症状に対する「これって更年期でしょうか?」という質問に答えるには、他の診療科も含めた総合的な判断が必要なのです。

表2-1 簡略更年期指数(SMI):参考文献(2)から引用
表2-2 SMIの評価

更年期は、女性のライフステージ後半のスタートでもある時期です。更年期障害とよばれる症状も、ホルモンを補ったり漢方薬を飲んだり、いろいろな治療法で対処することができます。必要以上に恐れることはありません。いつ頃、どんな症状が出てきたら更年期と考えればよいのかを知っておきましょう。そして、自分のカラダの変化に敏感になっておきましょう。

「これって更年期でしょうか?」と聞かれたとき、最も大切なことは更年期かどうかでも更年期障害かどうかでもありません。自分自身が健康で快適に過ごせているかどうか、そのために何ができるのか、です。目指すところがはっきりすれば、この質問に対する答えも難しくはありません。気になることがあれば、産婦人科医と相談なさってください。

【このコラムの執筆者プロフィール】

杉山伸子さん

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医

日本女性心身医学会認定医

日本医師会認定産業医

Mimosa代表

【ホームページ・お問い合わせ先】

https://mimosa-donna.net/

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カテゴリ:Dr.杉山伸子コラム

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日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 日本女性心身医学会認定医 日本医師会認定産業医 Mimosa代表

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