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Dr.杉山伸子コラム たいせつな体の話vol.7 あなたのだるさは、「隠れ貧血」のせいかも?

最近、だるくはないですか。めまいや立ちくらみはありませんか。あなたのつらい症状は、もしかしたら貧血が原因かもしれません。さっそくチェックしてみましょう。

これらの症状は、どれも鉄欠乏性貧血の症状です。

平成30年の国民健康・栄養調査報告によると、日本人女性の14%が貧血です。その多くが鉄欠乏性貧血と推測されます。女性は、月経(生理)で毎月出血し鉄分が失われます。鉄分を継続的に補う必要があります。

ところで、日本人女性が食事で摂取している鉄分の量は足りているのでしょうか。国民健康・栄養調査の報告では、鉄摂取量の平均値は1歳以上の女性で7.2mgとなっています。この調査結果では、年代が上がるにつれて鉄摂取量が多くなっており、40歳代までの平均値は7mg未満でした。一方、食事摂取基準では、鉄の推奨量は下記のように定められています。

表1 鉄の食事摂取基準(mg/日、6歳以上の女性を抜粋)

調査結果から、女性の半分が推奨される鉄量を摂取できていないことが分かります。多くの女性で鉄が潜在的に不足しています。

「隠れ貧血」とは、血液検査で貧血と診断されないものの鉄が不足している、鉄欠乏症の状態を言います。あなたが感じているだるさや疲れやすさの原因も、「隠れ貧血」かもしれません。

慢性的に不足していると、体が慣れてしまって自分では気づけなくなることがあります。「しんどそうだから病院に行け、と息子に言われた」と受診され、重度の貧血が見つかった方もいらっしゃいます。先ほどのチェック項目が該当する方は、医療機関を受診して検査を受けましょう。

鉄欠乏性貧血や鉄欠乏症の治療は、鉄剤の内服です。錠剤やカプセル1個あたり、1日の食事で摂る推奨量のおよそ5~10倍の鉄が含まれています。ほとんどの方が飲み始めて1カ月もたたないうちに、体調の変化を実感されます。

「階段を上るのが楽になった」「走る子どもを追いかけられるようになった」など、顔色もよくなった笑顔で話してくださいます。症状と検査結果が改善すれば治療は終了できます。その後も、鉄を積極的に摂取するよう心がけてもらい、定期的に検査を行っていきます。

さて、鉄を摂取するには何を食べればよいでしょうか。

①ヘム鉄を含む食品(ヘム鉄は吸収率が高い):レバーなどの内臓、赤身の肉・魚、貝類

②非ヘム鉄を含む食品(非ヘム鉄は吸収率が低め):ひじき、緑黄色野菜、卵

③ビタミンC(鉄の吸収を促進する):緑黄色野菜、果物

ヘム鉄の方が吸収率は高いものの、必要量すべてをヘム鉄で摂取することは困難です。非ヘム鉄を含む食品も含め、いろいろな食品を食べましょう。

お茶やコーヒーは鉄の吸収を阻害するので、食事中には飲まないようにし食後しばらくしてから飲むと良いでしょう。

しかし、「隠れ貧血」を改善するには、食事で摂取する鉄だけでは足りないかもしれません。そのときはサプリメントも活用しましょう。鉄剤よりも飲みやすく続けられます。鉄欠乏性貧血が少ない欧米では、4人に1人の女性が鉄を含むサプリメントを利用しているだけでなく、小麦粉に鉄を添加して鉄欠乏を予防しているそうです。

日本ではそのような施策はありませんが、市販の食品の中にはシリアルやヨーグルト、ドリンクなどで鉄分を強化した製品があります。定番朝食の一品として常備してみませんか。毎日、手軽に鉄がとれます。ご自分が取り入れやすい方法で積極的に鉄を摂取してくださいね。

お子さんの鉄欠乏にも注意してあげてください。鉄欠乏性貧血では、乳幼児期の発育障害や行動異常、思春期の記憶力や認知力の低下を起こす危険性が指摘されています。

特に、小・中学生で月経がある女の子たちは、大人の女性より鉄を多く摂取するよう推奨されています。成長に伴う必要量の増加、月経による鉄損失に対する補給が重なる時期にあたるからです。注意すべき点は2つです。

①ダイエットはしない:ダイエットで控えがちの肉や魚は、ヘム鉄を多く含みます。鉄不足やたんぱく質不足を招くので、肉や魚はしっかり食べましょう。

②スポーツをしていると鉄の必要量が増える:鉄が汗で失われたり赤血球が壊れやすくなったりするために、スポーツ貧血と呼ばれる鉄欠乏性貧血を起こすことがあります。部活動などでスポーツをしているお子さんは、エネルギーやたんぱく質だけでなく鉄も積極的に摂取するようにしてください。

「隠れ貧血」の原因は、鉄の摂取不足だけではありません。女性の場合は、毎月の月経による鉄の損失を見過ごすことができません。「昼でも夜用のナプキンが必要」「血の塊が出る」「出血が気になって運動や外出ができない」などの症状があれば、過多月経(月経の量が多いこと)の可能性があります。産婦人科を受診してチェックを受けましょう。

欧米では、多くの女性が経口避妊薬(ピル)を服用するようになり、月経による出血の量が減った結果、貧血になる女性も減ったと言われています。「隠れ貧血」だけでなく月経も上手にコントロールできれば、より快適に過ごせるかもしれません。産婦人科医と相談してみてください。

【このコラムの執筆者プロフィール】

杉山伸子さん

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医

日本女性心身医学会認定医

日本医師会認定産業医

Mimosa代表

【ホームページ・お問い合わせ先】

https://mimosa-donna.net/

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カテゴリ:Dr.杉山伸子コラム

日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医 日本女性心身医学会認定医 日本医師会認定産業医 Mimosa代表

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