あやちゃん先生の正しい離婚相談室③ 〜今話題の「共同親権」について教えてください!〜

 

Q:共同親権になるってどういうことですか?

 

A: 現在、民法819条で未成年者がいる夫婦が離婚する場合、親のどちらかを親権者と定めなければならないとしています。この親権者というのは、未成年者の子を監護・教育し、子の財産を管理する父母のことを指します。

 

そんな中、7月17日、上川法務大臣は、未成年の子を持つ夫婦が離婚した後も双方に親権が残る「共同親権」制度の導入について検討する考えを示しました。離婚後、片親だけが親権者となることは、親権を失った方の親が子どもと面接交流する機会が制限されて、子どもの利益になっていないのではということが問題視されているようです。

 

でも実際にはどうなのでしょうか。わたし個人は「共同親権」になることが、子どもの利益に直結するとは思えません。むしろマイナス面の方が多いのではないかなと感じてしまいます。

 

単純に考えると、離婚しても共同親権になるということは

1.離れて暮らす親は月の半数近く子どもと一緒に過ごす権利ができる。そのため子どももあっちこっちと落ち着いて生活できなくなる。

2.別居している親は、一緒に過ごせばその分養育費の支払い負担が減る。

3.子どもと暮らす親が再婚しその相手と子どもが養子縁組しようとしても、勝手に決められない。

4.転勤や海外に移住となっても、勝手に決められない。

5.DVの親にも会わせることになる。

6.面接の打ち合わせで別れた夫婦同士が絡むことが増える。

7.子どもの進学や塾や細かなことでも勝手に決められない。

などなど、ざっと考えただけでも、とにかく面倒なことが増えそうです(もちろん細かい部分は条件等つけられるでしょうが)。

 

そもそも国が考えているのは、別れても親同士がちゃんと付き合いなさい!と言うことでしょう? 離婚の怨み辛みを抱えたままだと、「子どもを会わせたくない」と思ってしまうからと。でもそんなに単純な話ではないですよね。

 

わたしはもっと根本的に、未成年者の子どもを持つ夫婦の離婚に関して、ちゃんとサポート体制を整えることの方が重要な気がするのです。

 

たとえば離婚の際、養育費の支払いに関して、滞りなく支払うように納得させるとか。払わない場合のペナルティをきちんと作っておくとか。

 

一緒に住んでいたら「お金ないし」なんて通らない訳で、親としての責任というものをちゃんと理解するよう指導する第三者機関が必要なんじゃないかと思います。当事者間だとどうしても感情的になりやすいですからね。子どもに対する愛情表現のひとつが養育費となるけれど、別れる相手に対する感情で「払いたくない」という方もいらっしゃいますからね。そこをちゃんと納得させるような機関、取り立て等もしてくれる機関、欲しくないですか? だってそもそも養育費だけで子どもなんて育てられないのに、それすらも払わない親に対して何のペナルティもないっておかし過ぎますよね。

 

また国は、虐待等が増えているのは、両親が別れた後、離れて暮らす親との面接交流が少ないからと考えているようです。そもそも人は、どうして虐待をしてしまうのでしょう。

 

もし母親が子どもを虐待してしまうとするなら、それは時間的にも経済的にも精神的にも余裕がないのが一番の原因だと思うのですがいかがですか?

 

誰だって可愛い我が子に手を上げたくはない。ただ経済的に苦しくて、睡眠時間削ってお仕事掛け持ちしてとなると、母親であろうと追い詰められるのは当然です。余裕がない状態で、何かがきっかけで子どもに体罰を与えてしまう、言葉の暴力を与えてしまう。それくらいに追い詰められた日々を過ごしている。そんな切ない親の気持ち、痛いほど分かります。

 

追い詰められた状況では、人は余裕もって接することはできません。

 

国はまずひとり親であれ、そうでないにしろ、働くお母さんが追い詰められないような環境にすることの方が先決ではないでしょうか。今の時代、共働きも多いので、働くお母さんはたくさんいらっしゃいます。

 

髪の毛振り乱して仕事と家事と子育てに追われています。そんなとき、子育てをちょっとサポートしてくれるご近所のおじいちゃん、おばあちゃん達がいてくれたらいいなと思いませんか? 地域が子どもを育てるのが当たり前の優しい社会になれば、お母さんの心も少し柔らかくなるんじゃないかしら。

 

母子家庭の年収の低さも、手当だけでは改善されていませんよね。手当を厚くすることもそうなのですが、もっと年収を上げられるためのサポート体制も、必要なことだと思います。

 

子育てのサポートだけじゃなく、メンタル面においても、お母さんの苦しみの声をちゃんと受け止める場があるとか、相談できる機関も大切です。誰かに聞いてもらえる、そう知っているだけでも、随分救われるものです。

 

そうやって経済面と精神面、子育てのサポートがしっかりしていれば、育てている側の親の負担は随分減り、子どもとも良好な関係を築きやすいと思います。だから共同親権=子どもにとって有益というのは、あまりに短絡的な考えに思えてしまいます。炎上を恐れずに書くならば、賢い人たちが現場を知らずに考えているとしか思えて仕方がないのです。

 

これはあくまでもわたしの意見ですが、皆さんが感じてらっしゃること、自由に聞かせてもらえると嬉しいです。

 

プロフィール

太田垣 章子(おおたがき あやこ)さん
章司法書士事務所代表 http://www.ohtagaki.jp

専業主婦で子どもを出産直後に離婚を決意。生後6ヶ月の子どもをつれて
実家に出戻り。そこから働きながら子育てしながら勉強して、平成13年
司法書士試験に合格。苦節6年、極貧生活での受験時代でした。
自身の経験から、離婚相談もたくさん受けています。
法的な部分だけではなく、心に寄り添ったサポートを心がけ、依頼者の方
が元気に前を向いてくれるよう日々がんばっています。
頼られるとがんばっちゃうタイプ。どんどんご質問くださいね。
法的なことに限らず、何でも大丈夫ですよ。
皆さんからのご質問お待ちしております。