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離婚するとひとり親?!行政によるひとり親家庭支援の現状と課題 〜共同養育コンサルタントしばはし 聡子コラム〜

 

子連れ離婚をすると金銭面での補助をはじめ、行政からさまざまなサポートを受けることができます。経済的に不安な人も多いなか、とてもありがたい取り組みですね。

 

ただ、子どもにとっては親が離婚しても、父親がいなくなるわけでも親がひとりに減るわけではありません。ひとり親で育てる前提のサポートだけではなく、子どものきもちを汲み取った上での離婚家庭へのサポート、まだまだ足りていないのが現状です。今後、どのような取り組みが増えていくとよいのでしょうか。

 

◾️ひとり親家庭支援の現状

各行政では、ひとり親家庭に対して多くの支援制度があります。

 

児童扶養手当、就労支援、住宅支援、医療費助成、税軽減など…。他にも、所得制限はありますが、通勤定期の割引や、水道、下水道料金の減免、粗大ごみ等処理手数料の減免といった手当を受けることもできます。

 

主に経済面を重視したサポートが多く見受けられますね。実際、ひとり親家庭の貧困率は50%を超えており、こうした経済的支援は今後もますます必要とされるでしょう。

 

◆もうひとりの親は無関係?

離婚で親が別れても、子どもにとって親は親。親子であることは変わりません。

 

離婚すると子どもと会わないという父親がいる一方で、会いたくても会えない父親も数多くいます。いずれも離婚しても親として子育てに対して一定の関わりを持つことが、父親としての役割でもあり、子育てに関わりを持たせるために父親と子どもの架け橋となるのもまた母親の役割であるといえます。

 

◾️面会交流の現状と子どものきもち

厚生労働省の統計によると、離婚件数は年間約23万件、うち子連れ離婚件数は年間約13万件。そして、離婚家庭の子どもは年間23万人、うち離れて暮らす親と会えなくなっている子どもは毎年16万人ずつ増えています。人数の多さに驚かされますね。

 

親の離婚によって、ある日突然父親と会えなくなり、母親には会いたくても会いたいと言えない状況に追い込まれる子どもも多く見受けられます。

 

母親を傷つけないように、機嫌が悪くならないようにと、小さいながらに一生懸命空気を読んで言葉を選びながら本心を言えずに育っていく子も少なくありません。

 

◆面会交流をしないデメリット

子どもは父親に会えないまま育つと、悲しみや怒り、抑うつや不安など内面的な問題に影響し、自己肯定感の低下につながります。

 

また、他人との信頼構築に不安を覚え、不登校や引きこもりになりやすいなど、子どもの成長にとって多くのデメリットがあることが心理学的に証明されています。

 

また、母親にとっては面会交流を行わないことによって、子どもが成長した時に信頼感が低下したり、父親との関係がさらに悪化したり、ひとりで子育てをすることの負担により疲弊したりするといったデメリットも多くあります。

 

◆面会交流をするメリット

かたや、継続的に父親と会えている子どもは、愛情確認ができアイデンティティが確立することはもちろんのこと、父親と共に過ごすことで得られる知識や体験が糧となり、人間的にも大きく成長するといったメリットもあります。

 

また、自分のせいで親が別れてしまったと責める子も少なくありません。そのような不安を抱かずに安心して育つためにも父親と継続的に会える環境が整っていることが重要といえます。

 

母親にとっても、面会交流を行うことは、父親に預けることでひとりの時間が確保できたり、自身にもしものときに子どもが頼れる場所が確保できたり、そしてなにより、養育費が確保しやすいといったメリットも多くあります。

 

◆面会交流している方が養育費支払い率もアップ

実際、継続的に面会交流を行っている家庭の方が会っていない家庭に比べ養育費支払い率が高いのも現状です。頑なにひとりで育てようとせず、父親へも子育ての分担を任せることで経済的な安定もはかることができます。

 

もちろん、子どもに危害を加える可能性がある場合は慎重に対応をしなくてはいけませんが、子どもが両親からの愛情を受け、両親を好きだと思いながら育つに越したことはありません。

 

◾️行政は共同養育へのサポートを

現状の行政では、ひとりで育てることを前提の支援を主体としていますが、離婚しても父親も子育てのサポートができるような体制づくりに取り組むことも必要です。

 

まずは、「離婚家庭がひとり親で育てるための支援」から、「離婚しても両親で子どもを育てる(=共同養育)ための支援」という概念に移行していくことです。

 

具体的には、公共施設を面会交流の場所に提供したり、面会交流支援への補助金制度を設けたりするなど、離婚後も父親が子育てに関わりやすい環境を行政が主体となってつくり出すことが、子どもの健やかな成長を促すことになります。

 

◆社会問題解決の糸口にも

離婚後の共同養育を実施することで、母親は自由な時間を確保することができ、仕事をはじめ自己実現にも専念できます。ひいては女性の社会進出への可能性を見い出せます。

 

また、安定した養育費確保により、ひとり親家庭の貧困といった社会的問題を解決する糸口にもなるのではないでしょうか。

 

◾️さいごに

大切なのは子どもの健やかな成長です。行政をはじめ社会全体が、「離婚すると親はひとり。ひとりの力で頑張らなくてはいけない」という固定概念を払拭し、子どもにとって大切なのは、離婚しても親子関係を継続させることだと認識をすること。そして、離婚してもふたりの親が育てる共同養育へのサポート体制が築き上げられていくことに期待したいですね。

 

<執筆者>

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント しばはし聡子

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談や講演・執筆活動中。http://www.rimusubi.com/

 

 

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