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【経験談】面会交流に前向きになれるまで(後編)〜共同養育コンサルタント​しばはし 聡子コラム〜

 

面会交流に後ろ向きだった離婚当初から前向きになれるまでの自身の体験談。

ネガティブだった時期を綴った前編に続き、後編は前向きになれた経緯をお伝えします。

前編の記事はこちらです。

【経験談】面会交流に前向きになれるまで(前編)

■離婚経験を無駄にしたくない

離婚して半年ほど経った頃、「こんなにつらい離婚経験を心の底にしまったまま生きていくのは悔しい。この逆境をなにかに生かしたい!」そんな思いがふとよぎりました。

調停の際に家庭裁判所に通った経験も、陳述書を作成した経験も、誰でもできることではありません。

「貴重な経験だと捉えて前向きに乗り越えよう!」そう思ったとたん、気がつけば離婚カウンセラーの資格を取るための講座を探していました。善は急げとその週に講座を申し込んだことを今でも覚えています。その後、半年ほどかけて資格を習得し、晴れてカウンセラーとなったのです。

◆カウンセラーになったものの弱点が

まずはボランティアとして夫婦問題に悩んでいる友人などの相談を受け始めることになりました。

そんななか、子連れ離婚で悩む友人から「離婚後に夫に会わせたくないのだけどどうすればいいと思う?」と相談が。

その時に自分自身が面会交流を克服しておらず明確な答えが出ていなかったため、共感こそするものの確固たるアドバイスができなかったことがありました。

今後カウンセラーとして本格的にやっていくためにも、自分自身が面会交流から逃げるだけではなくて乗り越えなくてはいけないと思える機会に。思えば面会交流に前向きなれたのも、現在支援活動を行うまでに至ったのもこの相談がきっかけでした。

◆面会交流仲介支援のボランティアに参加

面会交流のことを勉強したいという思いが強くなり、ある面会交流支援団体のボランティアに参加することにしました。

嫌々子どもを連れてきて、「あれはしないでください。これはしないでください。」と禁止事項を列挙する母親の横には笑いもせずにじっと大人しく待っている男の子が。

不機嫌そうな母親からお子さんをお預かりし、父親との待ち合わせ場所まで連れて行くと、「パパーー!」と笑顔で一目散に駆け寄る子どもと抱きしめる父親。

子どもの表情が一変し愛情に溢れかえるそのシーンを目の当たりにした私は、その母親と自分自身が重なりました。

そして、「私に父と子の関係を断絶させる権利はない」心からそう思いました。

■元夫からの「ありがとう」

面会交流支援が終了した直後、元夫に「息子を夕食に連れて行ってあげてください」とメールをしました。自発的に連絡をしたのは離婚してから初めてのことです。

するとすぐに元夫から「もちろん!ありがとう」と返事が。今まで元夫からのメールを無視したり、面会交流もいい加減に行っていた私に対して、なにも責めることなく最初の言葉が「ありがとう」だったことに涙が止まらなくなり、それ以来、驚くほど急速に関係がよくなり、面会交流もスムーズに進むようになったのです。

◆元夫の親族とも交流が復活

元夫との関係が悪かった時は、義父母に子どもを会わせることにも後ろ向きでしたが、関係が良好になると、子どもを愛してくれる人はたくさんいたほうがいいと思えるようになり、元夫が息子を連れて実家へ行くことも嬉しく思えるようになりました。

宿泊で連れて行くため、その間に私も羽を伸ばすことができ、育児の分担をできたほうが楽だと思えるきっかけにもなりました。

■子どもの著しい変化

当時小学校5年生だった息子は、私の顔色を伺ってか、家で父親の話を一切することがありませんでした。「会いたい?」と聞いても「会いたくない」と答えることも。

そして、その言葉を私は鵜呑みにしていました。今思えば、その言葉にホッとしていた自分もいました。

ところが、面会交流に私が前向きになってからは、父親の話を笑顔でするようになったり、学校で「僕は父親を尊敬しています」と発表したと報告をするようになったり。

今まで子どもにいかに気を遣わせてきていたのかは、子どもの変化で思い知ることになり、もっと早く面会交流に前向きになっておけばよかったと後悔することにもなりました。

◆父親と過ごすことのメリット

子どもは父親と過ごす時間が増えることでなにより愛情確認ができます。離婚をしても変わらず愛されているという安心感ははかりしれないことでしょう。子どもの笑顔を見れば明らかです。

また、母親では体力に限界のある外遊びをはじめ、社会に出てからの生き抜く術など父親だからこそ伝えられることも多いようで、面会交流から帰ってくる息子の姿は常に生き生きしています。

子どもが楽しいと思えるためには父親の努力も必須ですね。

■面会交流は会うことではなく過ごすこと

現在、中学生になった息子は父親が仕事のない週末は父親の家に泊まりに行っています。中学ともなると自分で連絡をし電車に乗って勝手に行って勝手に帰ってきます。

どこか外で数時間会うのではなく、家でご飯をつくりお風呂に入り、日常を過ごしている様子。大切なのは面会交流を決してイベントにせず、暮らしの一部分にすることなのですね。

◆三者それぞれがハッピーに

月2回程度の宿泊ですが、私が夜予定があるときの預け先にできるなど精神的に助かりますし、いつでも何回でも泊まりに行ってほしいというのが本音です。

自分自身にもメリットがあり、子どもは父親から愛情を沢山受け、父親は子どもと過ごせてうれしい。面会交流によって三者それぞれが幸せになったことは間違いありません。

離婚当初、ひとりで育てていこうと肩肘張っていたあの頃は、このような関係になっているなんて夢にも思わなかったことでしょう。

■さいごに

前編に書いたとおり、私自身、最初から面会交流をきちんとできていたわけでは全くありません。むしろ後ろ向きで自分の気持ちばかり考えていた母親です。それでも、こうやって取り組むことができるようになり、前向きになれて心から良かったと断言できます。

今、面会交流をさせたくないママも多くいると思います。一歩後ろへ逃げるより、一歩前に踏み出したほうがご自身が楽になり、なによりお子さんのためにもなることを知るきっかけになれば幸いです。

 

<執筆者>

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント しばはし聡子

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談や講演・執筆活動中。http://www.rimusubi.com/