しばはし聡子コラム

共同養育できなかった私が、子どもが成人した今だからこそ伝えたいこと

こんにちは。一般社団法人りむすびです。離婚後も両親で子育てする共同養育を実践している女性「共同養育woman」特集。今回は、お子さんが成人した今、父親の存在の大切さを語るママにインタビューしました。

――はじめに、今回インタビューを受けてくださった経緯を教えてください。

私自身、離婚後に元夫と共同養育を実践できなかったことから、今の私がお伝えできることをお話できればと思いました。娘たちは成人していますが、ここまで育てていくなかで、母親である私一人の視点ではなく、もう一人の責任をもった保護者、つまり父親が子どもを見守る役割が必要な場面を多く感じてきました。その意味でも父親の存在は大きいと思います。

私自身は、過去の経験から男性に対してアレルギーがありました。父親的な役割を社会に担ってもらうという考え方もあり、我が家もその方針で子育てをしてきました。しかし、潜在意識では「父親と社会性はつながっている」ということを最近知りました。子どもも自己肯定感を保つのに父親の存在は必要だと感じます。

社会的に成功されている方は、両親から愛情を注がれて育っている方が多いというデータがあります。ご夫婦揃って親として機能している、私はそんな家族を提供できませんでした。子どもが社会に出るときに、自分の基軸にぶれがでてきたとき、父親の存在があると違うのではないか、と思います。男性も参加する共同養育は大事だ、と痛感しています。

シングルマザーの支援は女性の自立を支援するものが多くて、それも大事だとは思いますが、男性の関わりもときとして必要だと思います。つまり、父親とか男性の存在に目を向けることが大切と考えます。

――ご自身が離婚をするときに、子どもに対してお父さんとの関わりを、当時どのように考えていましたか。

離婚に至った原因としては、彼への信頼を失ったことが一番の理由です。ただほかにも、元夫は、彼自身が「父親」になり切れないタイプで私が彼の母親状態でした。

子どもが生まれてから元夫には育児に関わってほしいという思いはあり、その働きかけはずっとしてきました。母乳育ちの下の子も私から離れて父親と遊べる年齢になり、上の子は彼が好きでした。ですから壊れた夫婦関係の修復を試みましたが、改善できず家のなかの雰囲気が険悪になりました。

そのなかで上の子に癲癇(てんかん)の症状が出てきたり、子どもたちはそれぞれ病気やケガが多発。私もストレスで食事ができず1カ月で体重が10Kg落ち、胃に穴が開き、救急車を複数回呼ぶ事態になり限界を感じました。

彼が感情的になれば事故が起きかねない状況でしたので、この子たちを守ろうと思い、夫とは別れた方がいいと離婚を決意。「子どもは私が幸せにする、一人で育てる」という覚悟をして、子どもを連れて家を出たんです。

――突然家族がいなくなった元夫さんは、その後どういうアクションをとられたのでしょうか。

家を出るときに私が置き手紙をしたんです。その後に元夫が子どもを連れ戻しにきたらどうしよう、という恐怖もあったのですが、実際は電話が何度かかかってきただけで、彼から子どもに会わせてほしいという要求もとくになかったです。このまま彼が子どもと会わないと父親として責任をもてなくなるのではと感じました。

私もふたりの子どもたちを育てることに必死で、別居直後は父親と会わせよう、と考えてはいましたが、私が彼に対してフラッシュバックが起きるため会える精神状態ではありませんでした。

――その後、夫婦関係はどうなりましたか。

協議離婚となりましたが、夫は子どもに会いたい、と主張はしてきませんでした。もともと子育てに協力してほしいと私はずっと思っていたけれど、そんなに協力的なタイプではありませんでした。

私自身、彼の面会により、私たちの生活が乱されることが一番の心配でした。父親として成長してほしいという思いは私にはあり、結局離婚時は、安心して会わせられるように彼が考えてくれ態勢が整ったら子どもにも会ってほしいと私から提案をしたんです。

そして、時期が来た時に第三者に入ってもらって面会交流をしてほしいと私からお願いしました。元夫も家族で食事をしたいと言ってくれて、何度か会う機会はありました。

ただ、その後彼は自営業で経済的にも大変になり、養育費が滞るようになっていったんです。私からは、どうするの?と聞くことしかできず、お金に絡むやり取りばかりが増えていきました。そして、面会の交渉も減っていきました。

――お子さんと父親は連絡をとれる状態でしたか。

上の子は、中学生のときにお父さんにこっそり連絡をしていたようです。元夫は子どもたちへの気持ちはあると言いながらかたちに表してくれない、そんな状態だったので私も気持ちとしては快く思えない部分がありました。それを娘の前で態度に出してしまっていたので、いま思えば娘には悪いことをしてしまいましたね。

一方で、義母との関係は続けていました。義母もいろいろと心配してくださって、いろいろな面でサポートしてくださいました。でも、義母にとってみたら息子はいちばん可愛い存在。ひとりになった息子が心配と、私の前で泣くこともあり苦しかったです。

――いま振り返ってみて、こうすればよかったな、ということは具体的にどんなことですか。

養育費支払いは、取り決めをしたにも関わらず守られなかったことがとにかく嫌でした。それなのに元夫は、子どもの誕生日には何か送らせてほしいと言ってきたりして。そんなやり取りが煩わしかったですね。私自身も、彼の子どもに対する気持ちを追い詰めてしまったと、いまになって思います。

本当の意味で父親の出番は子どもが思春期を迎えたとき。うちの子どもたちは、お母さんは強い、と思っていたみたいだけれど、思春期は娘たちの反抗に苦しさを覚え、手に負えず私も苦労しました。

そんなときに父親のサポートがあれば子どもも私ももう少し気持ちが楽になれたかもしれません。以前、別居父の立場の方が、別れた奥様から子どもが思春期に入ったからサポートをしてほしい、と言われたと聞いて、そんな関係が羨ましいと思いました。

片親だとどうしても、私の意見ばかりが子どもたちに入ってしまい偏ります。大きくなると物理的にカバーできないことも増えてきますし、子どもたちにとっても、父親にちょっとしたことを話せる環境を提供してあげたかったです。

――子連れ離婚を考えている女性にメッセージがあれば教えてください。

子連れ離婚するときは、別れることが先決だからすぐには考えられないと思うけれど、子どもの将来を考えたときに父親の存在は必要と今だからこそ感じています。

子どもたちが両親から守られているということを知っているだけでだいぶ違いますし、子どもが岐路に立ったときにひとりでも多く相談できる人は増やしておいた方がいい。子どもにとって父親は大事な存在だと知ってほしいです。

最近、元夫と連絡が必要なことがあり、数年ぶりにメッセージをやり取りしました。彼は再婚していたものの、娘たちのことをとても気にかけていました。一方、長女は彼がメッセージしたのに返信なかったことを気にしていました。連絡しないほうがいいかとひっそりと悩んでいたのを知りました。

「お父さんがあなたのこと、気にかけていたよ」といったら、娘がとてもうれしそうにしていたのを覚えています。

さまざまな理由で離婚に至っているわけですから、相手を思うことはとても困難です。私の友人で、相手を許すことができたと話す方がいて。彼を許せたときに自分自身がすごく癒されたと話していたのが印象的でした。彼女はそれから雰囲気からすべて変わっていきました。

――最後に、今後のビジョンがあれば教えてください。

現在、シングルマザーのコミュニティを運営しています。もともとは子どもの巣立ちをきっかけに自分自身の生き方を考えたことと、自分が経験したことで相手に寄り添って話がきけると思ったこと。

そして、何よりも友達のシングルマザーがセカンドステージに希望をもてなくて、生きる気力をなくしていたことが大きかったです。お悩み相談ではなく、シングルマザーという枠を超えて自分らしく生きることができ、社会に貢献する仲間を作りたかったのです。

子育てに悩む方から子育てを終了された方など幅広い層の女性を少しでもサポートしていきたいと思っています。コミュニティ内での助け合いや意見交換を重ねて、より女性が力を発揮できるような活動をこれからも進めていきたいと思います。

サロン内では会員さんたちの意見交換とともに、オンライン交流会なども企画しています。その道で成果をあげられている方も続々参加されていますので、必要な方をおつなぎする場にしていけたらと考えています。

<執筆者>

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント しばはし聡子

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。

*りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/

*別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」

http://www.rimusubi.com/community

*著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」

https://www.magazineland.jp/shopdetail/000000000427/

カテゴリ:しばはし聡子コラム

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント しばはし聡子 1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談や講演・執筆活動中。 *別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」 http://www.rimusubi.com/community

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