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【インタビュー】「別れを悲しませるくらいなら父親に会わせないほうがよいのでは?」悩んだ時期もあったー原体験をもとに支援の道へー

 

さまざまなカタチで離婚後も両親で子育てを行っているママの実体験を記事化したシリーズ。

 

今回は、面会交流で父親との別れ際に泣く娘さんを見て、会わせずに忘れさせた方がいいではないかと悩んだ時期を経て現在は共同養育を実践し、今後、原体験をもとに支援活動を始めていくママを直撃インタビューしました。

 

■現在、どんなカタチで共同養育を行っていますか。

 

別居から協議離婚をしたのですが、公正証書で日帰りの面会交流を月4回毎週末7~8時間、宿泊を年4回と決めました。現在、これを最低限として、私が忙しい時には+αで娘はパパと一緒に過ごしています。

 

パパの家でご飯をつくってもらいゆったりしたり、外で思い切り遊んだり、旅行に行ったりと、とても楽しく過ごしているようです。

 

■共同養育をするようになった経緯をお聞かせください。

 

別居して、私はすぐに弁護士へ依頼したのですが「冷静に話し合いをするなら相手の不安を取り除くことが大事。面会交流も前向きにやっていきましょう。」とアドバイスをくれて、なおかつ、調停にせず協議離婚を勧めてくれたんですよね。

 

当時、私自身は面会交流に対してイメージできていなかったのですが、娘がパパに会いたがっていたので、別居3週間後に面会交流を始めることにしました。

 

元夫側の弁護士も歩み寄りスタンスだったこともあり、争わずに話し合いができたことは大きかったと思います。両弁護士に「円満に面会交流を実施してくださりありがとうございます。」と言われたこともありましたね。

 

ただ、今後娘と父親の関わりについてどうすることが正解なのかは手探りの状態でした。「離婚しても父親を慕わせるのは可哀想だから、離婚したら父親はなきものとして会わせずに忘れさせた方がいい。」という意見を聞くこともあり、父親の存在を曖昧にしながら忘れていく方が娘のためなのかなと考えたこともありました。

 

面会交流のお迎えに行くと父親と離れたくないと、娘がすごく泣いたんですよね。夫婦が元に戻れない中、娘に悲しい思いをさせるとわかっていながら会わせることがとても苦しく、このころは弁護士に言われるがまま消極的に会わせていたという感じです。

 

■前向きになったきっかけは?

 

娘の様子が心配で、私の関心ごとは次第に子どもの心理に移行していきました。会って悲しむなら会わせない方がいいのか、それでも会わせた方がいいのか、ネットでいろいろ調べました。

 

そんな中、相談したのが児童相談所の心理士と子連れ離婚専門の相談機関。両者に「会いたいだけ会わせた方がいい」と断言されて、その時初めて「会わせていいんだ!」と方向性が明確になるととても楽になったんですよね。

 

答えが見えて、娘に説明できないことをしている後ろめたさから解放されたら、一気に面会交流を積極的にやろうと思えるようになりました。私が前向きになると娘も元夫の様子も変わってきました。

 

それまでは、次回いつ会うかを決められなくて娘はとても不安そうでしたが、「また来週ね」と言ってパパとバイバイできるようになったら、娘も笑顔になり、パパも緊張感がほどけたのか、親同士としていい関係を築けるようになっていきました。

 

■共同養育するにあたり困っていること、困っていたことはありますか。

 

そうですね。あえて言うなら、ゲームとYouTubeを控えてほしいということですかね(私もパパのことは言えないのですが)。まぁ、娘が楽しんでいるのであればいいかなとも思うので、目くじら立てずに見てはいるのですが。

 

■お相手がどんなことをしてくれたらうれしいですか。

 

娘と遊ぶのが上手なのは確実にパパです。これは同居中から変わりません。私ではできないことや苦手なことをしてくれるのはとても嬉しいし助かります。

 

例えば、海に行ったり、外遊びしたり、遠くに出かけたり。長時間の外遊びは私はバテてしまうので、パパにこれからも活躍してもらいたいですね。

 

あと、最近お願いできるといいなと思っているのが、お稽古事探し。送迎も含めて主導でやってくれるとありがたいです。ただ、お月謝の兼ね合いもあるので、お願いしづらいところもあるのが正直なところ。

 

娘のためにも、習い事に関しての話し合いはこれからの課題かなと感じています。

 

■共同養育はどんなメリットがありますか。お子さんはもちろんご自身にとっても良いことがあれば教えてください。

 

先日、娘が堂々と「私の家族はパパとママ」と言っていたんですよね。その姿を見て、共同養育していて本当によかったなと実感しました。「パパに会いたい」という娘の気持ちに対し後ろめたく感じることがなく、ありのままで対峙していてよかったなと。

 

あと、私の親戚には娘のいとこがいないんです。パパの方は複数人いるので、パパ側の親戚とも密接に関わることができるのは共同養育していてよかったと思います。

 

私にとってのメリットは、なによりも育児から解放されることです。前もってお願いしておけば夜も自分の時間をつくれるので、本当にありがたいです。長時間お願いしやすくなったのは、元夫の家での面会交流をOKしてからなんです。

 

実は、娘が面会交流のお迎えの時に泣いたのが、元夫の家に行った時だったので”三人で暮らしていたときのことを思い出してしまうのでは”と行かせることに後ろ向きでした。ただ、そういった私の変なこだわりに娘を巻き込むことをやめ、きちんと娘に説明をした上で、娘のしたいようにさせようとしたことで今は「三人で暮らしていた時もよかったけど今の暮らしもいいよね」と語ってくれるようになり、安心して私も自由な時間を手に入れられていることを実感しています。

 

育児面でいうと、私は育児に対して苦手意識があり、さまざまな不安があるんです。ひとりで育てると責任重大ですが、共同養育することでひとりで気負わずに済むのもよいところですね。

 

■お相手との関わりにおいてご自身が心がけていることはありますか。

 

常に「ありがとう」をこまめに言うように心がけています。また、なにかお願いする時には、「私のためにこうしてほしい」ではなく、「娘のためにこうした方がいいのでは?」という提案の仕方をするようにしています。

 

たとえば、私の感情で「甘いものばかり食べさせないでよ!」というのと、「娘が虫歯になりそうなので、甘いものは控えてもらってもいいかな」と言うのでは印象が全然違いますものね。言い方を気遣うだけで元夫との関係もスムーズになることを体感中です。

 

■ご自身のこれからの夢やビジョンがあれば教えてください。

 

離婚とともに「自分で養っていかなくては」という焦燥感に襲われていましたが、もっと長期的な視点で今何に時間を使うべきなのかを考えながら生活をしていきたいと思っています。

 

まずは育児。娘が幼い時代はあっという間に過ぎてしまいます。今は育児に十分時間を費やしたいですね。

 

子どもの存在って自分自身もリラックスできる相手。自分のことを好きでいてくれるが故に甘えてしまいがちで、仕事で頑張りすぎると子どもに対して頑張れなくなってしまうんです。子どもに頑張れる時期は限られていますし、離婚という辛い経験をさせてしまっているからこそ、子どもの成長を見守っていくことを大切にしていきたいです。

 

自身の取り組みとしては、原体験を生かして世の中の役に立ちたく今後共同養育の実践や普及に向けた活動していきます。離婚の残務処理に追われ自責感情に襲われていたなか、この体験を生かせるのはこれだ!とビビっときました。

 

私もそうでしたが、同じ経験をしているからこそ伝えられる言葉に人は心を動かされるんですよね。

 

別居・離婚後の子育てや親同士の関係に苦しんでいる人たちに私の原体験が役に立てるのであれば、こんなにありがたい経験はありません。人生は一度きり。これから先、経済的な報酬だけではなく、やりがいも見い出しながら自立していきたいと思っています。

 

<執筆者>

一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント しばはし聡子

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談や講演・執筆活動中。

*りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/

*別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」

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