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息子が幸せでいられるなら夫との過去はどうでもいいこと

シンママStyle編集部

さまざまなカタチで離婚後も両親で子育てを行っているママの実体験を記事化したシリーズ。今回は、経済的なトラブルや離婚を乗り越え、息子の幸せを願うママをインタビューしました。

■離婚の経緯をお聞かせください。

15年ほど前、息子が小学校2年生のときに離婚しました。経済的な負荷を抱えての離婚でした。ビジネスを成功させるために夫は単身で海外へ渡ったんです。夫婦間の不仲は経済面のことなどで起こり、必然的に別居が始まりました。

その後、夫は海外で事業展開することになり、それに伴い籍を抜くことになりました。私にとってこのときは、紙の上での離婚であり経済的な克服のためであり、遠く離れた夫からの要求に応えることを急がなくてはという思いで離婚手続きをしました。

手続きを進めているなかで、親権をどちらか一方しか持てないということに驚きました。夫からは息子の戸籍は自分の方に残すようにと指示されましたが、親権は私にしました。とにかく海外への戸籍の提出について急いでいる背景もあり、あまりよく考える時間がなかったこと、心の余裕がなかったことを覚えています。

そのような状況だったので、養育費や面会交流のことなど全く取り決めなど一切しませんでした。

■離婚後はどのように暮らしていましたか。

離婚手続きを済ませた後、次々に想定してないことが続きました。経済的な負荷が背景にあったこともあり、所有不動産だったマンションが売却となったのです。弁護士に相談しましたが、不動産名義には私の名前はなく、離婚後だったため、売却についてこちらから希望を出すことはできませんでした。

ときを同じくして、海外で事業を立ち上げた夫から、息子を連れて仕事ができる環境であるということで、息子に語学の勉強をさせながら養育すると申し出がありました。

私自身、毎日仕事に忙殺され息子と一緒にいる時間が少なくなっていたことや、いずれ狭い家に引っ越さなくてはならないこと、夫と暮らした方が語学も学べていい環境かもしれないという思いが重なり、夫の元へ行かせることにしました。

息子には「語学の勉強ができるよ!」と前向きに伝え、引っ越しを見せずに旅立たせたかったのですが、あいにく都合がつかず、引っ越し先で息子と10日間ほど暮らすことになりました。

離婚後の不動産の契約や引っ越し先を見つけることの難しさに直面し、先が思いやられる不安でいっぱいになりました。息子が今まで住みなれた家からの引っ越しを悲しみ、押入れで泣いていたのを今でも覚えています。

その後、息子が父親の元へ行ってからは、今思えば私自身よく生きていたと思いうような日々でした。寂しくて仕方がないなか、仕事を4つほど掛け持ちし、とにかく無我夢中に働きました。

ところが、半年ほどで息子は日本に戻ってくることになったのです。詳しい理由はよく思い出すことができませんが、帰国後の息子は夫の実家で暮らさせるという条件でした。

それまでは夫には逆らうことはなかった私でしたが、このとき初めて、“夫の言うことは聞かない、息子を離さない”と決めました。そのとき、初めて心の離婚を感じました。その後、帰国した息子をあのときから手放すことはありませんでした。

こんな状況でも、息子にはパパのことを好きでいてほしいと思っていました。当然、夫や義両親への葛藤はありましたが、息子には絶対にバレないように接しました。父親の顔を忘れてしまわないように写真を家に飾ったり、父親の話もよくするようにしました。

■その後、息子さんと父親の交流はありましたか。

息子が帰国してから実際父親に会えたのは4年後、小学6年生になったころです。私は元夫も息子に会いたいはずと信じていましたし、私たちがどこにいても探せる社会であると思って探してくれることを待っていました。

今思うとそこは私の意地だったのかなと、もっと時間を短縮できたのではないかと思うこともあります。

小学校4年生になったときから、息子の誕生日のタイミングで元夫との共通の知人を通じてコンタクトを取りましたが、会うことには及びませんでした。小学校5年生のときには義理両親とは会うことができましたが、元夫と会うことは叶いませんでした。もちろんそこには夫婦の問題があることが原因であることはいうまでもありません。

どうしても小学生のうちに会わせてあげたくて、小学校6年生のときに直接元夫へ連絡をし、ふたりで会いました。穏やかな空気にとはいきませんでしたが、息子と会うことが確約できたので息子に伝え、その翌週に3人で会いました。息子と父親の再会は実に4年ぶりです。

息子は緊張すると言いながらもワクワクしていましたね。息子の要望で私も同伴したのですが、私の対応次第で雰囲気は変わるから明るく振る舞おうと決めていましたね。この日をきっかけに父子交流が再開しました。

■現在、どんなカタチで共同養育を行っていますか。

小学校6年生の再会以来、私にとってはまた寂しい日々が始まりました。週末だけではなく、年末年始や長期休暇は夫の方に遊びに行きます。夫は再婚していたので、息子を送迎する際に再婚相手とその子どもとも会いました。ザワつかないといえば嘘になりますが、息子が楽しく過ごせるために明るく接するようにしていました。

高校に入ってからは、息子は直接父親とやりとりしているので、私が介入することも減りました。代わりに息子が元夫の様子を伝えてきてくれています。

元夫の再婚相手が第二子を授かったときには、息子が私に「生まれてくる赤ちゃんの名前何がいいと思う?」って相談してきたんです。私にですよ。ただ、息子にとっては大切な兄弟ですからね。息子の大切なものは私も大切にしなくてはと思うしかないですよね。

今でこそ、当時のことを息子に話し「あれはないよね」って言いながら笑い話になっています。

■共同養育はどんなメリットがあると思いますか。

何よりも子どもにとっての安心感ですよね。パパもママも愛してくれていることが一番の心の安定になります。

一緒に住むことがすべてではないと思うんです。同じ家にいることが養育ではないし、離れたからこそいい関係もあるんですよね。我が家はパパも息子も気が強いから、毎日一緒にいるよりも今の距離の方が愛情が感じられると思います。

日々の子育てに対して元夫を頼ることはありませんが、ここぞというときには頼りになるのもいいですね。たまに相談することもあります。

息子が進路を決めるときに父親とも相談したのですが、私と同じ意見だったと言っていました。やはり離婚したとはいえ元夫婦、子どもを思う気持ちや子どもの未来へのビジョンは同じなんだなと再認識しています。

■お相手との関わりにおいてご自身が心がけていることはありますか。

今でこそほとんどやりとりはなくなりましたが、当時は普通にすることを心がけていました。友達のような関係とでもいうのでしょうか。結婚生活中は常に夫のペースでしたが、私のテンションに巻き込むくらいの感じで対等に関わるようにしていました。今もそのような距離感が心地いいですね。

■ご自身のこれからの夢やビジョンがあれば教えてください。

息子はいつのまにか頼れる存在になりました。誰よりも私を理解してくれているし、相談したときには一番のアドバイスをしてくれます。これからもきっとこの親子関係は変わらないですね。とはいえ、息子も自分の人生を歩んでいくなか、これからは私も誰かパートナーがいた方が息子も安心するかな、なんて思います。

今、力を入れているハートフルファミリーの活動は、シングルファミリーの心の支援と経済の支援をしています。私の実体験を生かして役に立てればいいですね。どんな困難があってもなんとかなる、笑っていられることを伝えていくことが私の役割です。

生きていると大変なことってたくさんあるけれど、子どもという宝物がいてくれていること、それだけで十分ですよね。元夫との過去やお金の悩みなんて、子どもを愛する感情に比べたらちっぽけなものです。

子どもが好きなパパは私も好きでいようって思います。愛する子どもが楽しく生きてくれていたらそれは親の喜びですからね。

<執筆者>

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一般社団法人りむすび 共同養育コンサルタント しばはし聡子

1974年生まれ。慶應義塾大学法学部卒。自身の子連れ離婚経験を生かし当事者支援として「一般社団法人りむすび」を設立。「離婚しても親はふたり」共同養育普及に向けて離婚相談・面会交流支援やコミュニティ運営および講演・執筆活動中。

*りむすび公式サイト:http://www.rimusubi.com/

*別居パパママ相互理解のオンラインサロン「りむすびコミュニティ」

http://www.rimusubi.com/community

*著書「離婚の新常識! 別れてもふたりで子育て 知っておきたい共同養育のコツ」

https://www.magazineland.jp/shopdetail/000000000427/

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