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出産・子育て

体験談「先天性の病気を持った子どもを生んで思うこと」(2)

ゆー

■生後1カ月で検査、全身麻酔、病気判明「ヒルシュスプルング病」

入院中も、便がほぼ自分では出せない息子の処置を看護師さんに教えてもらいながら、一緒に頑張っていました。母乳をあげるだけでなくその処置にも神経を使いました。そして、主治医の先生が、ある外科医の先生を紹介してくれました(以下A医師と呼びます)。

レントゲンを撮ったものを見て、ある病気の疑いを持ったそうです。その病名は、「ヒルシュスプルング病」。なんとも覚えにくいですが、生まれつき、腸が細くなっているところがあり、そのために便が出ないという病気です。

その部分は、個人差があり、一般的な型であれば腸の細い部分を手術で切除しますが、ひどい場合には、大腸全摘、小腸まで切除しなければならないと言われました。そうなると、自分で栄養を取ることは難しく、静脈にチューブを通して栄養を取らなければなりません。

普通であれば、「この病気でありませんように」と思うのでしょうが、そのときの私はこう思いました。「ある意味ではこの病気であってほしい」と。というのも、ヒルシュスプルング病でなかったら、どういう処置が他にあるんだろう、そしてこの病気であれば手術すればなんとかなりそうだけど、そうでなかったら今の状況がずっと続くのではないかと思ったからです。

後に主治医となり、息子の命の恩人ともなるA医師は、もしその病気でなかったら次の手があると言ってくれましたが、親として心配は尽きないものでした。

そして、その病気かどうかをはっきりさせるためには、検査が必要になります。検査といっても、全身麻酔でなければ行えないもので、わずか生後1カ月の息子が耐えられるのか、万が一の場合の承諾書も震える手で書いた記憶があります。

いったん、退院して検査入院した日は、ちょうど息子の1カ月検診でした。産婦人科で検査している間、他のママと看護師さんのやりとりが聞こえてきました。うんちが出なくて病気かもしれない息子と、普通に生まれて元気な子ども、つい比較してしまってやり取りを聞くのがつらく、涙が止まりませんでした。

この気持ちは、病気を持つ子のママであれば痛いほど分かってくれるでしょう。他の子と比べても仕方ないのは分かっているけれど、比較してしまって苦しくなるんです。同じように苦しんでいるママがいたら、「大丈夫だよ、わかるよ。泣いていいよ」って言ってあげたいです。

検査前後は、絶食でした。飲みたいのに飲めなくて大泣きするわが子に、無理やり哺乳瓶の乳首をくわえさせるも、必死で吸い付こうとしていました。「ごめんね、ごめんね」って言いながら、これは良くなるためなんだよ、と自分にも言い聞かせて一緒に泣いていました。

思えば、よく泣いた入院生活でした。泣くことで少しはストレス発散にもなりました。でも、泣き過ぎると疲れてしまうんですけどね。

■生後2カ月で手術、息子は回復していくけれど…

検査後もすぐに結果は出ないので、その間一時的に退院しました。そして、A医師からヒルシュスプルング病であることを告げられ、手術日を決めてその数日前に入院することになりました。

しかし、入院して手術を目前にして、私は倒れてしまいました。無理をしたのかもしれません。私だけ退院して、自宅療養となりました。しかし、産後の不眠は精神科に行った方がいいということをもっと早く誰かに教えてもらいたかったです。

精神科に行って薬をもらって眠れるようになるまで結構日にちがかかり、その間がとてもしんどかったです。「人間、眠れないとだめ」ということを痛いほど実感できた経験となりました。

私が倒れている間、A医師の親身な対応のおかげで、息子は手術を受けて病院で預かってくれました。今でも本当に感謝しています。A医師がはっきり母に告げたそうです。「お母さんがよくなるまで、こちらで息子さんの面倒を見ます」と。本来なら、退院させていたでしょう。でも、私のことまで考えて息子を預かってくれたことには、感謝の意しかありません。

手術後も、息子は劇的な回復をみせていました。ようやく体調が回復し始め、面会に行ったときには、激やせしていた息子がふっくらとしていて、本当にうれしかったことを覚えています。

■息子が元気になって思うこと

2歳になった息子は、驚くほどよく食べて、話をしてくれます。手術後、外来での問診も回数が減り、今では半年に1度になりました。正直なところ、病気になって間もない頃は不幸だと思いましたし、妊娠中の自分の行動の粗探しをしては、自分を責めていました。

でも、病気にならなければ得られなかったものが数多くありました。一言では言い尽くせませんが、まずは、息子と関わるすべての人に感謝の気持ちで接することです。病院関係者を始め、保育園に通うようになったら友達や先生には、いつもありがとうという気持ちが持てるようになりました。

また、健康であることのありがたみが痛いほどわかるようになったし、同じように先天性疾患の子どもがいる親の気持ちもわかります。そして、子育てにおいても、やはり他の母親と比べれば落ち着いて取り組めるようになった気がします。

そこには、健康であることが一番ということが身に染みているからというのがあるかもしれません。もちろん、危ないことは止めるし、相手を傷つけるようなことをすれば本気で怒ります。でも、多少のことは、あの病気の頃を思い出すと、なぜかすっと落ち着いて対処できる自分がいるのです。

手術しなければおそらく今は生きていなかったかもしれない息子と今を過ごせることが当たり前ではなく、幸せです。そして、その幸せをくれたすべての人に一生感謝して生きていきます。

(文/ゆー 画像/123RF)

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カテゴリ:出産・子育て

ゆー
8歳、6歳、5歳、2歳の4人の子どもの育児中です。シングルマザーではありませんが、平日はほぼ1人で育児をしています。夫はいても安月給でそのうえ左遷されてしまい、いよいよ危機感を感じ、今年から徐々に本腰入れて働き始めました。産後にかなり体調を崩していましたが、ようやく立ち直りました。ライティングはこの数年で少しずつ始めました。ライティングの仕事では、主にこちらの「シンママstyle」にてお世話になっています。 仕事ではパワハラに会い、妊娠中は流産・死産を経験し、末っ子では産後に先天性の病気が見つかるなど、色々と人並みかそれ以上の苦労はしてきました。シンママと同じようにというわけにはいかないかもしれませんが、いち母親として子育ての大変さ、そして何ものにも代えがたい思い出や良かったこと、おすすめしたいこと、働くママの家事育児のコツなどを経験としてメッセージに乗せていけたらいいなという想いで執筆中です。 資格や免許は英検準1級、教員免許です。得意の英語を生かして子どもに英語を教えてきました。また、教育を通じて、思春期の時期の子どもともかかわってきました。好きなキャラクターは、すみっこぐらしのしろくま、ディズニーのダッフィーです。最近の楽しみは、インターネットショッピングやイベント参加、クーポン使ってお得に外食に行くことです。

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