• HOME
  • 支援制度・節約術
  • シングルマザーの働き方はどう変わる?社会保険の適用拡大について徹底解説
smm3202

シングルマザーの働き方はどう変わる?社会保険の適用拡大について徹底解説

平成28年10月より、社会保険が適用される範囲が変更となりました。しかし、その範囲拡大が生活にどう影響するのか、そもそも社会保険が何なのかよくわからない、という方もいらっしゃると思います。そこで今回は、そもそも社会保険とは何か、そしてその範囲が拡大されたことで人々はどのような影響を受けるのかについて説明していきます。

44

平成2810月より、社会保険が適用される範囲が変更となりました。しかし、その範囲拡大が生活にどう影響するのか、そもそも社会保険が何なのかよくわからない、という方もいらっしゃると思います。そこで今回は、そもそも社会保険とは何か、そしてその範囲が拡大されたことで人々はどのような影響を受けるのかについて説明していきたいと思います。

(1)社会保険とは

72

社会保険というのは、厚生年金や健康保険などをすべて包括して指すものです。

一口に社会保険とだけ言えば、

  • 病院での医療費の負担を軽減してくれる健康保険
  • 厚生年金など種々の年金
  • 会社を解雇されてしまったときの再就職を支援する雇用保険
  • 要介護者がいる家族に対する介護保険

が社会保険と呼ばれるもののうちに入ります。

このように、社会保険というのは、国民がトラブルによって収入を絶たれたり、健康上の理由で多額の医療費を支払わなくてはならなくなってしまったりしても最低限の生活を送れるようにするための保険なのです。そのため、現在は定職についているほとんどの人が社会保険に入り、社会保険料を支払っています。

(2)従来の社会保険の適用範囲は?

103

従来の社会保険の適用範囲は、「所定労働時間が一般的に週30時間以上である人」でした。また、収入面では、「年収130万円の壁」と言われ、年収130万円を超えると社会保険に加入する必要がありました。年収130万円を超えてしまうと、親や配偶者の扶養から外れてしまうこととなり、アルバイトやパートをする上での一つの基準となっていました。

今までの日本の社会保険制度では、規定はないものの、その適用範囲はほぼ週5日の通常業務に従事する一般的な会社員あるいは労働者に限られており、アルバイトやパート社員、勤務時間が短い場合などは社会保険の適用範囲外でした。アルバイト・パートの場合では、将来的にもらえる年金は全国民が加入する最も基礎的な国民年金のみで、健康保険も最も基礎的な国民健康保険のみでした。

一方で、専業主婦の方などは、年収130万円を超してしまうと、配偶者や扶養者の扶養から外れ、自分で社会保険料を納めなければならなくなります。そのため、年収130万円を超えないように働き、社会保険料を納めずに収入を得つつも、配偶者や扶養者の扶養の下で社会保険の恩恵を受けている人もとても多かったのです。

このような不平等が問題視されたのも、社会保険の適用拡大の一つの理由です。

(3)新しい社会保険の適用範囲は?

CSSS85_MBAwonozokujyosei20131019_TP_V

新しい制度では、従来の「所定労働時間が一般的に『週30時間以上』である方」という規定に加えて、新たにもう一つオプションが追加されました。新しい適用範囲では、対象者は

  • 「所定労働時間が『週30時間以上』」

あるいは、

  1. 「所定労働時間が『週20時間以上』」
  2. 「月額賃金8.8万円以上」
  3. 「勤務期間1年以上が見込まれる」
  4. 「学生でない」
  5. 「従業員規模501人以上の企業に勤務」

5つの条件をすべて満たす場合となります。この新しい規定によって、従来の社会保険の適用範囲には漏れてしまっていたアルバイトやパート社員、勤務時間が短い人も、より充実した厚生年金と、会社の健康保険、さらに雇用保険や介護保険に加入することが可能となるのです。

そもそも社会保険の適用範囲が拡大された理由は、

  1. 非正規労働者が年金をもらえないということを解決する
  2. 女性の社会進出を後押しする
  3. 年間130万円に満たないように調整しながら働けば社会保険料を納めなくてよいのでお得

といったことを解決するためです。このように、国と労働者双方の利益を目指して適用拡大が行われたのです。

(4)適用拡大による社会全体での影響

223

社会保険の適用拡大による影響はいくつか考えられます。

政府としては、非正規労働者やシングルマザーが社会保険から漏れてしまうことを防ぐほかに、適用拡大によってより多く社会保険料を徴収する狙いがあります。今まで自分で収入を稼いでいながらも、扶養内に入り社会保険料を払わず社会保険を受け取っていた人たちから保険料を徴収できるようになることで、より社会保障を充実させることができるでしょう。

最も大きな影響を受けるのは企業です。より多くの人が会社の健康保険に加入するため、その分の費用は増加します。これは企業にとっては痛手であるといえるでしょう。

そこで、企業側は特に短時間労働者の勤務体系の見直しをするところが多くなり、従来の社会保険の適用範囲から新しい社会保険の適用範囲に移行することではじめて社会保険の適用範囲に入るアルバイト社員やパート社員、短時間勤務の労働者の雇用条件を変更したり、雇用契約を解除したりして、その分の経費削減を図る企業も増えることが予想されます。その結果として最悪の場合非正規雇用者の解雇などが社会全体でみられる結果になってしまうかもしれません。

また、アルバイトを雇用するための従業員が500人以下の会社が新たに設立され、社会保険の負担を最小限にしようとする動きがみられるでしょう。

(5)社会保険に加入するメリット・デメリット

174

次に、社会保険に加入することによるメリットとデメリットについて紹介していきたいと思います。

メリット

社会保険に加入することができるようになることのメリットとして一番にあげられるのは、やはり様々な保険が充実するということでしょう。それぞれの保険について説明していきます。

年金

社会保険の範囲内に入っていない場合、受け取れる年金は基本的な国民年金のみです。一方、社会保険の適用範囲内に入っている場合は、厚生年金が国民年金に上乗せされ、将来的により多くの年金を受け取ることができます。

国民年金の年間受取額は、満額で780100円です。そして、厚生年金は、平均月収÷10000×660×加入年数という式によって求められます。年収150万円でこれから25年間にわたって厚生年金料金を払い続ければ、国民年金と合わせて112万円以上を受け取ることができます。

健康保険

社会保険の適用範囲外では、国民健康保険に加入することになります。こちらの場合では、医療機関での自己負担は3割です。一方、会社の健康保険に加入すると、扶養者、すなわち子どもの医療機関での負担額は3割ですが、被保険者、すなわちこの記事を読んでいる皆さんの負担額は2割になります。

雇用保険

雇用保険は、社会保険の適用範囲内に入ることで初めて適用されます。雇用保険に入ることで、万一失業して生活が困難になった場合、次に就職できるまで最長330日間にわたって保険料が支払われます。

デメリット

一方、デメリットとして挙げられるのは、親の扶養に入っている場合、払わなければならない保険料が増えるということです。親の扶養内に入っている限り、社会保険料は父親もしくは母親の収入から引かれる分に含まれているので、社会保険料は基本払わなくてよいです。しかし、今回の拡大で適用範囲内に入り社会保険に加入することによって、実質的な給料が減ってしまいます。

社会保険料を払うことによるメリットは大きいです。将来的にもらえる年金の金額が増えることはもちろんですが、健康保険に加入できれば子どもも含め自分も医療費の負担が少なくなります。その上、万が一失業してしまった場合にも、雇用保険があれば就職までの間の生活費も賄えるでしょう。

(6)シングルマザーは加入するべき?

263

では、シングルマザーの皆さんが新しい社会保険の適用範囲になり、適用範囲が拡大されてもし新たに適用範囲内に入った場合、社会保険に入るべきなのでしょうか。結論から言ってしまうと、社会保険制度の規則上、原則として適用範囲内に入っている場合は厚生年金と企業による健康保険、そしてそのほか労災保険や雇用保険料などを負担し、これらの社会保険に加入しなければなりません。そのため入らない、という選択肢は基本的にはないと思ったほうがよいでしょう。もし加入したくない場合は、条件を満たさなくなるように勤務形態や勤務先を変えて対応するしかないです。

では、社会保険料を負担するのと、社会保険に加入しないのでは、どちらが良いのでしょうか。ここで問題になるのは、親の扶養に入っているかどうかです。

親の扶養に入っている場合

社会保険に加入しない場合の最高年収は106万円です。一方、社会保険料は月収に応じた額を支払うことになります。健康保険料は、協会けんぽによる値から企業負担の半分を差し引くと月収の約5%、厚生年金料は月収の約8.5%が徴収されます。毎月13.5%引かれるということは、年間でも13.5%引かれるということです。そのため、社会保険料を払いつつ以前と同じ給料を得るためには従来の約1.18倍の賃金を稼がなければなりません。106万円の1.18倍は、1250800円です。よって、現在の生活の都合上1250800円まで収入を増やせない場合は、年収106万円以下で働くほうがよいでしょう。

親の扶養に入っていない場合

一方、親の扶養に入っていない場合は、すでに国民年金と国民健康保険の保険料を納めています。社会保険の適用範囲に入ることで、厚生年金の料金が今までの保険料より加算され、国民健康保険の料金がなくなり代わりに健康保険料が加算されますが、これは合計額を勤め先の企業と折半する形になります。そのため、結果的に個人の負担額は少なくなります。そのため、年収106万円以上で働いたほうが確実に良いでしょう。

総括すると、まず親の扶養に入っていて生活の都合上1250800円まで収入を増やせる見込みがない、あるいは今後も扶養に入っていたい場合は、106万円以下で働いたほうがよいでしょう。しかし、社会保険に加入できるメリットを考えれば、労働時間を今までと同じ収入が得られるまで増やすほうが良いでしょう。また、親の扶養下に入っていない場合は、年収106万円以上で働いたほうが現在払わなければならない保険料も安くなり、将来的にも保険の恩恵を多く受けることができます。

(7)社会保険加入の手続き方法

5062

基本的に、適用範囲の拡大によって新しく社会保険の適用範囲内になり、社会保険に加入する場合特に面倒な手続きは必要ありませんが、一部の手続きは自分で行わなければなりません。

まず、現時点で国民年金に加入しており、厚生年金へと変わる場合は、そのために必要な手続きはすべて勤務先の企業が行ってくれるので、こちらに関しては特別心配することはないでしょう。

一方、現時点で国民健康保険に加入している場合は、新たに加入する、企業の健康保険への加入手続きは、年金と同様企業がすべて行ってくれます。しかし、国民健康保険については、国民健康保険を受け取る資格を喪失したということを自分で各自治体に申請しに行かなければなりません。詳しい方法については、お住いの市区町村に問い合わせてみるとよいでしょう。

(8)最後に

4215

社会保険の適用拡大によって、シングルマザーの皆さんでも社会保険の適用範囲内に入るようになりました。家庭の将来のためにも、どうしても無理という場合以外は社会保険に加入し、より充実した保険を受けられるようにしましょう。